アルジェリア国営テレビの論調が突如変化、メディア改革の兆し?
2010年10月09日付 al-Hayat 紙


■アルジェリア:政府系メディアの様相が「大統領の指示により」変化、テレビ放送が突然、行方不明者や非常事態令に関する話題を取り上げるように

2010年10月09日付『アル=ハヤート紙』(イギリス)HP1面

【アルジェ:アーティフ・カダーダラ(本紙)】

複数政党制やメディアの多元性への道を切り開いた激しい民衆革命 [注: 国民解放戦線(FLN)による一党支配が終わり複数政党制に移行するきっかけとなった抗議運動] が起きた10月5日の22周年記念日に、国営テレビが「この国には民主主義がない」という不満を持った若者のメッセージを放送するとは、アルジェリアのメディア関係者の中で最も楽観的な人たちでさえ、予想していなかった。さらに、政府系メディアのニュースからは大臣らの動静に関する公式報道が「突然」消え、「アブドゥルアズィーズ・ブータフリーカ・アルジェリア大統領の指示に基づき」アルジェリア国民の住宅・保健・教育にまつわる悩みについてのレポートがそれに取って代わった。

今年のラマダーン月が終わったあたりから、アルジェリア国民は政府系メディアの言動やニュース放送で優先的に取り上げられる事項が根本的に変わったことに気付いた。国営テレビ(以下5つの部門から成る国内唯一の放送:地上波チャンネル、フランス語チャンネル、アラビア語チャンネル、ベルベル語チャンネル、クルアーンチャンネル)は、国権に関わる内容や公共施設の落成式に関するものを除き、ニュースから「姿を消した」大臣たちの動静の公式報道に代えて、住宅・保健・教育・公共事業の問題点に焦点を当てたレポートを連日放送している。

わずか4か月前にアルジェリア国営通信の取締役から大臣に抜擢されたナースィル・マハル・アルジェリア通信相は、ブータフリーカ大統領から「国営テレビは公共サービスに全責任を負う」との「指示」があったことをすぐさま公表した。それどころか同相はラマダーン月間の国営放送の仕事ぶりについて、その質の悪さを謝罪したのである。ここ10年間、国営テレビは政治と経済改革の2分野における大統領の政策を宣伝するための最高のプロパガンダ装置であり続けていたというのに。

アルジェリアの『アル=ハバル』紙に掲載されたコラムで、ジャーナリストのアル=アラビー・ザッワーク氏はこう自問した。「どうやらここ数日、一人ぼっちのニュース放送(アルジェリア国営テレビに対する皮肉を込めた呼称)が、これまで国民に知らされてこなかった汚点や欠点を取り上げるようになったようだ。我々が目にしているのは、確信的に計画され、検討された開放政策なのだろうか。それとも数日後には消えてしまう、気まぐれに過ぎないのだろうか?」

この「突然の」変化に対し、独立系新聞の紙面上でもメディア関係者らによる自問が数多く提起された。ジャーナリストのジャラール・ブーアーティー氏は本紙に対し、「国民の関心事に対する、政府が言うところの“開放政策”と、それを音声や映像として国営テレビの画面に映し出すことは、来年に放送開始される地上デジタルチャンネルの開設を見越したステップだ」と語る。しかし、同氏はまた「アルジェリア当局は批判的な論調をつけ加えようとしているのだろう。いわゆる『政治やメディアの閉鎖性』をやり玉に挙げる民間の新聞や一部の野党に、その点を付け込まれたり、騒ぎ立てられたりすることがこれまで多かったから」と続けた。

アルジェリア国営テレビが何年もの間放置してきた「空虚さ」が、3500万人を抱える国の視聴者が他のアラブ諸国やフランスのチャンネルに移って行った原因になったことは明らかであり、北アフリカ諸国の広告業者もそのことに気付いている。アルジェリアの製品は、チュニジアやモロッコ、フランスのチャンネルが放送する「コマーシャル」で宣伝されるようになった。またその「空虚さ」こそ、フランスのチャンネル「フランス24」の担当者たちを首都アルジェに引き寄せて、明日日曜に開催される大規模な会議で24時間アラビア語放送の開始を宣言する場所として選ばせたのだ。
(後略)

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:20370 )