イスタンブル・イズミル高速道路予定地、官僚による買い占めか
2010年11月02日付 Milliyet 紙

イズミト湾橋も含むゲブゼ-オルハンガーズィ-イズミル間の高速道路計画では、イスタンブル-イズミル間の移動が3時間半に短縮される予定である。その工事は、先週、基礎工事着工となったが、この高速道路計画を以前から知っていた道路公団官僚らが2006年以降、土地を安価で購入していたことが明らかになった。

2006年以降、ヤロヴァ県内の1000ドヌム(100万㎡=約1000個のスタジアムに相当)の土地が売買されていたことが明らかになった。土地の大部分を購入したのは道路公団官僚らとその関係筋の会社社長らである。(高速道路の)ルート上にある諸町村の一つであるチフトリキキョイ町のメティン・ダー町長は、村々を個々に回り、村人たちに「土地を売ってはいけない」と忠告した。

ヤーヴァ県で土地を安価に買い占められた人々は、組織をつくり、「インサイダー」(内部の秘密情報により利益を得られる一般非公開の重要情報を収益に転換させる)取引をおこなった道路公団関係者らを告訴し、本件を首相府高等監査委員会へ提出する準備を進めている。


(高速道路の)全長421キロメートルであり、約110億トルコリラ相当の費用がかかる高速道路計画の基礎工事は先週着工した。人々の視線は、最近4年の間に計画ルート上にある村々で安価に土地を購入し収集した人々に向けられた。5年間で完成予定の高速道路計画のルート上にあるチュクルキョイ、デニズチャル、クルチキョイ、ラーレデレ、カバックル、イルヤスキョイ間に位置する約25の村の土地、及び(イズミト湾)橋脚周辺の約1000ドヌム(100万㎡)の土地が、高速道路計画を知っていた人々、及び彼らから聞き知っていた人々により、安価に買い占められていたことが明らかになった。

■ 全くの偶然?

道路公団総裁ジャーヒト・トゥルハン氏の妻が勤務するEMAYという名の建設会社社長のハムディ・アイドゥン氏は、2006~2007年の間に約405ドヌムの土地を購入した。また、道路公団第17管区局長ヤクプ・ドスト氏の友人でもあるハムディ・アイドゥン氏は、ヤロヴァ県のラーレデレ、クルチキョイ、チュクルキョイ、デニズチャル、カバクル、デレキョイから土地を購入した。チフトリキキョイ村役場に登録されている土地の不動産諸税はハムディ・アイドゥン氏の名で支払われていた。2008年に離職した道路公団第17管区局長ヤクプ・ドスト氏の従兄であると見られるアリ・イフサン・ソイルオール氏、道路公団第17地管区副局長メフメト・チェティン氏、技術監督のメティン・キュチュクオール氏及びエルドアン・デデオール氏らが土地を購入したと記録されている。ヤロヴァ県特別行政体に勤務する複数の官僚らの親戚を含む多数の人々が、「自分で作って、自分で食べる」(自分のために計画し、自らが利益をえる)やり方で、土地を買い占めた。

■ 会計局長を告発

ヤロヴァ県不動産業会議所会長アデム・シェン氏は、ヤロヴァ県特別行政区の会計局長を務めるケマル・セヴェル氏が、高速道路計画地図を持ち(高速道路建設の)ルートとなる地域の村々へ赴き、土地を購入したと述べた。シェン会長は、セヴェル氏がイスタンブルのグランドバザール内に店をもつセヴェルという名字の親戚の多くに土地を購入させたと述べ、「セヴェル氏と複数の職員らは、どうも高速道路建設予定地で投機を行っているようです。村々から二束三文で購入した土地を、現在高値で売ろうとしています。価格は10倍に高騰したのです。これほど投機性の高い土地の購入を、高速道路建設の計画者らがおこなうとは、なんと不正義なことでしょうか。この判断は国民が下すでしょう」と話した。

■ 町長は村人に忠告しているが

イズミト湾橋のルート上にあるチフトリキキョイ町のメティン・ダー町長は、村人たちが特に最近2年間に土地を売ったことに関し、ラーレデレ、クルチキョイ、チュクルキョイ、カバクル、デレキョイの村々に赴き、村人らと何度も繰り返し話し合いをもった。村長らを頻繁に町役場にも招集していると話すダー町長は、次のように述べた。

「村人らに「土地を売らないように」と諭しています。この地方では、最近、特に投機家らが侵略している疑いが、次第に強まっています。村の公民館、路地、広場等に村人全員を集めて「建設予定地であるあなたがたの土地の価値は上がります。ブローカーを信用して、決してその土地を安価で売らないでください」と忠告しています。ある土地は、1ドヌムが3,000トルコリラ相当であったところが、現在は3万 5,000~4万トルコリラに高騰しました。借金を抱えていたり、(高齢で)畑仕事が出来なくなった村人たちは土地を売るのです。村人たちは頻繁に私のところにやって来ては、助けを求めます。しかし、既に彼らが手に負える問題ではありません。この問題が新聞に掲載されれば、もしかすると村人たちは目がさめるかもしれません。とても残念ですが、しかし仕方ありません。儲け方が分かる投資家や抜け目ない者たちが土地を安価に買い占めているのです。」

■ 道路建設予定地を買い占めた道路公団官僚ら

メフメト・チェティン:道路公団第17管区副局長。2006年5月26日、チュクルキョイの19ドヌムの土地購入。
アリ・イフサン・ソイルオール:元道路公団第17管区局長ヤクプ・ドスト氏の従兄とされる。2007年2月13日、デニズチャル村の46ドヌムの土地購入。
ハムディ・アイドゥン:EMAY社社長であり、ヤクプ・ドスト氏の友人。EMAY社には、道路公団総裁ジャーヒト・トゥルハン氏の妻が勤務する。405ドヌムの土地購入。
メティン・キュチュクオール:道路公団第17管区局のプロジェクト責任者。クルチ村の土地購入。
エルドアン・デデオール:道路公団第17管区の橋技術監督。2006年、カバクル村の32ドヌムの土地購入。

■ 道路建設計画の棚上げ

すでに1996年にその計画が発表されていたイズミト湾橋建設計画は、イスタンブルとイズミル間の移動を3時間半に短縮する。全長421kmの高速道路建設計画は 1999年の(マルマラ)地震の後、棚上げとなっていた。高速道路建設計画は、今回新たに議題となった。

■ 技術監督:「土地購入しましたが、財産申告書はあります」

第17管区局に技術監督として勤務するエルドアン・デデオール氏は、カバクル村から32ドヌムの土地を購入したと話し、次のように述べた。「問題となっている村から2006年に32ドヌムの土地を購入したことに間違いありません。私は公務員なわけですから、財産申告書にてこの土地のことを確認できるでしょう。何も不法なことはありません。2006年に2万5,000トルコリラで購入しました。購入を促した理由は、安いからでした。若干の蓄えはありました。それを土地購入に充てました。」

普通の取引で土地を購入しただけだと述べるデデオール氏は、「道路公団に勤務する局長、副局長、技術者らが建設予定地を買い占めることはモラルに反しているとは思わないのか」との質問に対しては、「不正なことは全く何もありません。(高速道路の)ルートとされるところは、以前から公表されてもいました。私は貯金していた若干の蓄えをうまく活用したのです」と答えた。

元道路公団イスタンブル県第17管区局長ヤクプ・ドスト氏は、「秘密の計画ではありません。10年にわたって知られています。私の友人も可能な範囲で、例の土地を購入しました。彼らを呼んで(この件を)話しました。全ての土地は、財産申告書に明記されています。アリ・イフサン・ソイルオール氏は私の従兄ではありません。この購入土地では、非合法なことは何もありません」と述べた。

■ 「職員は貯金を土地購入に充てたようです」

ヤロヴァ県の土地購入に関係したとの疑いから我々が取材を行った道路公団ジャーヒト・トゥルハン総裁は、妻のメラル・トゥルハンさんが10年間 EMAY社で勤務したことを明らかにし、次のように話した。

「この会社の社長が405ドヌムの土地を購入したことは知りません。しかし、我々の職員たちに関する状況については遺憾に思います。1万9200名の職員がいます。全員を検査することは不可能です。高速道路計画のルートについては、皆さんが知っているように、職員たちも知っていました。こうした状況下で貯金を(土地購入に)充てたようです。悪い企みによるものだとは考えていません。高速道路建設は諸自治体の計画に従って進められました。(公開)入札もなされました。不満があるならば、我々職員の財産申告書が正しいかどうか調べてみましょう。そうでなければ捜査されるような状況ではありません。利益をもたらす土地を、人々は注視しています。職員たちもこうして貯金をそれに充てたと考えられます。捜査の必要はありませんが、調査はさせます。」

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:20575 )