イスラエル国内報道「ヒズブッラーがレバノン軍事制圧の大規模訓練」
2010年11月08日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ハリーリー元首相暗殺に関する特別国際法廷の決定を葬り去るためか
■ イスラエル報道:「ヒズブッラーが国家や重要施設を支配下におくシミュレーションのため大規模訓練」
2010年11月08日付『クドゥス・アラビー』紙(イギリス)HP1面
【ナザレ:ズハイル・アンドラウス(本紙)】
イスラエルの「高レベルの」治安及び政治情報筋は昨日月曜日、「イスラエルは最近のレバノン情勢の展開を非常に懸念している」と述べた。特に最近の展開や、一昨日発行されたウォールストリートジャーナル紙で、特別国際法廷がレバノンのラフィーク・アル=ハリーリー元首相を2005年に暗殺した主要な容疑者の一人として、ヒズブッラーの元軍事責任者を訴追する意向であることが報じられる中、ヒズブッラーの動きに懸念を抱いているという。
イスラエルのテレビ局2チャンネルの中東情勢アナリスト、エフード・ヤアリ氏が昨夜の放送でテルアビブの政治及び治安情報筋の話に基づいて語ったところによると、ハリーリー元首相暗殺事件に関する特別国際法廷の訴追決定を葬り去るためにヒズブッラーがレバノンを軍事支配するのではないかという重大な懸念をイスラエル首脳部は抱いている。
ヤアリ氏が政府高官筋から得た情報として述べたところでは、ヒズブッラーは最近大規模な軍事訓練を行った。イスラエル当局筋によると常備・予備部隊合わせて4万人に上る同党の部隊によるレバノン軍事制圧をシミュレーションするためだったという。
またヤアリ氏は「ヒズブッラーはレバノン国境の検問所やベイルート国際空港及び主要な諸都市を制圧する訓練を行った」と述べ、「ヒズブッラーが軍事的決着をつけるのに長い時間はかからないだろう」と指摘した。
イスラエル・テレビによるとイスラエル政府の想定するシナリオでは、軍事的決着の後ヒズブッラーは同党の命令に従う傀儡政府の樹立に着手し、首相にはヒズブッラー党員ではなく親ヒズブッラーのスンナ派の人物を任命し、キリスト教徒の閣僚複数を任命することになる。ヤアリ氏によればこの傀儡政府の原則的決定に基づいて、レバノンはハリーリー元首相暗殺に関する国際特別法廷の決定を忌避することを宣言する。それが、ハリーリー元首相暗殺事件への関与をめぐる訴追からヒズブッラーが逃れる唯一の方法だというのだ。
ヤアリ氏はさらに同筋の発言を引用しつつ、「イラン・イスラーム共和国は上述の計画を実行にうつすため、ヒズブッラーを支援している」と述べ、「イランとヒズブッラーの主要な目標はレバノンを、ヒズブッラーを筆頭とするシーア派勢力が主要な決定権者となるイランの衛星国家に変えることである」と指摘した。
しかしヤアリ氏は、上述のシナリオが実行に移された場合のイスラエル側の反応については一切語らなかった。
その点に関して注目に値するのは、2006年夏にレバノン侵攻での失策を問われ解任されたイスラエル軍北部管区のウディ・アダム元司令官の2005年の発言だ。同元司令官は当時、「イスラエルがヒズブッラーに対して大規模な軍事行動を行わなければ、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がレバノンの実質的な統治者になってしまう」と述べている。
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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:20675 )