CHPとBDPの選挙協力議論に、CHP混乱
2010年11月19日付 Zaman 紙

平和民主党(BDP)のセラハッティン・デミルタシュ党首は、バイラムの挨拶訪問で共和人民党(CHP)に「左派ブロック」の結成を提案した。その提案をCHPのスヘイル・バトゥム事務局長が歓迎したことで、最大野党であるCHP内に混乱が広がっている。

オンデル・サヴ氏(前CHP事務局長)に近いシャーヒン・メンギュ氏は、インターネットサイトのテュルク・タイムに発表したコメントで、バトゥム氏の行動はCHPの伝統に反していることを強調した。彼はバトゥム氏が、CHPをまとめて代表するような形で発表を行ったことを非難し、「だれであれCHP執行部の代わりにこうした発言をする権限はない。テロリストにテロリストだと言えない政党と我々は選挙協力などできない」と語った。CHPのケマル・クルチダルオール党首は、昨日(11月18日)この件に関して聞かれると、「連合に向けた模索はしていない」と答えた。BDPの側はというと、大方の見方は前向きである。ムシュ県選出のスッル・サクク議員は、CHPや他の左派政党と合流することで政権を担うことができると述べた。

CHPとBDPは、1991年に社会民主人民党(SHP)と人民労働党(HEP)の間で行われた選挙協力と同様のものを、2011年の選挙で実現できないか話し合っている。セラハッティン・デミルタシュBDP党首の「左派ブロック」の呼び掛けは、CHP内で議論を巻き起こした。クルチダルオールCHP党首は、「我々の最優先の目標は単独で政権を取ること、その後は神のみぞ知る、です…」と語り、完全には否定しなかった。スヘイル・バトゥム事務局長は「どんな政党とも手を組むことはあり得る」と語り、BDPに対しても門は開かれていると語った。今回のこの発言が党内の反対勢力から厳しい反発を生むことは必至だ。

(1991年の)SHPとHEPの選挙協力はすぐに大きな議論を呼び起こしたうえ、HEP議員たちは選挙からたった5ヶ月後に離党し、新たに民主主義党(DEP)を立ち上げた。(DEPの)レイラ・ザナ議員が国会で行ったクルド語での誓約や、一部SHP議員のパリ・クルド人会議への参加などの事件は、SHPに大きなダメージを与えた。何年もこのイメージを払拭しようと奔走してきたSHPを引き継いだCHPは、HEPの流れをくむ政党と距離を置いてきた。こうしてCHPは、民主市民党(DTP)やBDPをバイラムの祝賀会にも招待しなかったのだ。

CHP元党首のデニズ・バイカルは、これらの政党の党首たちと話し合いの場をもつことはなかった。しかしクルチダルオールがCHPの党首になると、党の「クルド系政党」への対応方針が変わってきた。CHPが数年ぶりにBDPをバイラムの祝賀会に呼んだことで、二党間の緊張はやわらいだ。デミルタシュ党首がCHPに「選挙協力」の提案を行ったことも、この構図と関係があるとされている。

ただし、かつてのSHPとHEPの選挙協力の結果、CHPは多くのものを失ったと考える党内の一部勢力は、こうしたことが20年ぶりに再び話題になったことに不快感を示している。クルチダルオールが「BDPと選挙協力はしない」とはっきりと明言しなかったことや、バトゥム氏が「あらゆる政党と手を組む可能性がある」と発言したこと、またメスート・デール副党首が、CHPはBDPを含めていかなる政党も(もし先方が望むなら)CHP傘下に入れることはありうると明言したことなどが、党内一部勢力が不快感を厳しい言葉で表明する原因となった。(解任された前CHP事務局長の)サヴに近い人物として知られるマニサ選出のシャーヒン・メンギュ議員は、バトゥム氏を非難した。会派副代表のムハッレム・インジェ氏はツイッターで「私は人生をCHPの活動に捧げてきた。今日のBDPとの協力関係などあり得ない、協力するならばそこに私はいない。それだけだ!」と語り、バトゥム氏のような考えに強く反発した。

■BDPは選挙協力に期待

CHPで議論が激しさを増すいっぽうで、BDPの議員たちの選挙協力に対する見解は一致している。スィイルト選出のオスマン・オズチェリキ議員(BDP)は、トルコにおける「民主主義諸勢力」が結集することを望んでおり、「CHP内の改革の流れは、CHPを真の普遍的で社会民主的な政党路線に導いてくれると、我々は希望を持っている」と語った。トルコ大国民議会(TBMM)にSHPの議員として入り、その後DEPを結成したムシュ選出のスッル・アクク議員(BDP)も、CHPや他の左派政党と協力体制を築くことを望んでおり、それが成功すれば政権獲得は実現すると主張した。

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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:20734 )