PKK、バイデミル市長に「方向転換指示」―その背景は?
2010年11月25日付 Radikal 紙
クルディスタン社会連合トルコ議会(KCK/TM)は、昨日(25日)行われた声明において、「批判される必要のあるものは批判されるし、自己批判が必要なものは自己批判することになる」と述べた。
ディヤルバクルのオスマン・バイデミル市長は自身の「武装闘争は時代遅れ」という発言で、彼を批判したオジャラン氏に弁護士を通してメッセージを送ったとされている。ドアン通信(DHA)の昨日(25日)の報道によると、バイデミル市長はアスルン法律事務所所属の弁護士に一昨日会い、「もう立候補しない、自己批判をする準備はできている」と言っていたという。しかし、バイデミル市長自身はDHAの報道を「憶測である。ねつ造で、イラつかせることを目的にしたもの」だとコメントした。
アナトリア通信(AA)の昨日(25日)の報道によると、バイデミル氏は文書による声明において、「国民は、私個人やわが党の公的組織によってなされた声明や発言以外、出されたあるいは出されようとしているいかなる主張にも重きを置くことのないよう、また信じないよう、さらには重視しないよう、強く申し上げたいと思う」と述べた。
■クルド労働者党(PKK)
クルディスタン社会連合トルコ議会(KCK/TM)執行部は、昨日(25日)、「一部勢力が、故意に異なるいくつかの文書を、一部の新聞を通し世論に示し、クルド政策への歪曲した結果を出したがっている」と述べた。フラト通信社の昨日(25日)の報道によると、声明では次のように述べられている。
「私たちの指導者(注:オジャランを指す)が、何人かのクルド政治家に対して批判や警告を行った。これは当然だ。(クルド政治家は)皆個人の考えをもちろん自由に表現することができる。しかしながら彼らがわきまえるべき基準がなければならないということも明白である。」
発表では「批判される必要のあるものは批判されるし、自己批判が必要なものは自己批判することになる」と述べられた。オジャランの弁護士らは、オジャランに会うために昨日、イムラル刑務所へ向かった。
■今回の事態は何を意味しているのか
PKKがおこなった以上の声明は、オジャランのバイデミル市長に対する批判を含む発言の、11月23日にマスコミにでたヴァージョン(11月14日にフラト通信社にでたものより、批判の程度という点でかなり厳しいものであった)が、「本物」であることを示している。
またこの声明は、オジャランがバイデミル市長を批判した11月14日の発言が、オジャランがイムラル刑務所で弁護士らに行った発言を編集したものであったことを暗にしめしている。その上で、バイデミル市長が自己批判をした/することになるということを、非常にはっきりと表明している。
このPKKの声明は、また、11月15日付の「オジャラン氏はPKKが国境外に撤退するためにいなかなる条件を付けたか?」という見出しの『北イラクジャーナル』に載せられた記事が正しいものであったことも示している。この『北イラクジャーナル』の記事は、「(現PKK代表である)カラユランが11月9日に行った(バイデミル氏のものと)同様の声明に対するオジャランの厳しい反応は、イムラル(=オジャラン)/カンディル(=現PKK指導部)のクルドサイドが、アンカラに有利となるようなを不協和音の発生を望まなかったということを示している。これは、当該地域(=南東アナトリア)の政治の流れのPKKの路線からの逸脱阻止を目指すものでもある」というものだった。こうした状況は、今後この地域の市民団体に対し、「足並みをそろえよ」との圧力が一層強まることを予測させる。
うがった見方をすると、このPKKの声明は、イマラル刑務所でオジャラン氏が弁護士に対して行った発言を、政府が漏らしたということも示唆している。オジャランが、自分の発言がこうした利用のされ方をすることを計算できないほど怒っていること、さらに「(政府とPKKの間で)うまく調整しよう」とするうちに、事態が手に負えない方向に進んでしまったことを示している。ともあれ、オジャランからのパスをアンカラ政府はうまく打ちかえした。現在、カンディリ(のPKK首脳部)が、事態をなんとかおさめ、(クルドサイドの)亀裂をこれ以上深くならないように努力していることがみてとれる。
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( 翻訳者:池田峻也 )
( 記事ID:20785 )