トヨタ・トルコ、「販売新記録達成、次の目標は新車種製造」
2010年12月01日付 Hurriyet 紙

トルコ・トヨタは、ALJグループ傘下となった後、積極的な攻めに転じた。史上最大のリコールに直面したにも関わらず、トルコでの販売新記録達成とともに今年を締めくくるトヨタは、来期の目標も非常に高く掲げている。一方、トルコ・トヨタの上層部は、トヨタに対し、トルコにおける新型商用車の生産を推し進めている。その歩みは、今のところ希望に満ち溢れている...。

トルコ・トヨタの最高経営責任者(CEO)であるアリ・ハイダル・ボズクルト氏と共に、カルタルにある本社にて、ここ最近の伸張を評価した。私はインタビューに行く前に、販売台数に目を通した。その成果は非常に著しいものだった。ボズクルト氏は、これを次のように裏付けた:「前年度の販売台数は、約2.5万台であった。しかし、今年度は現時点で約3万台を販売した。年末には、3.8万台程度となると見込んでいる。前年比50%超の増加となりそうである。」

■どのように販売台数を伸ばしたか?

私が知る限り、トヨタがトルコにおいて、これ程の販売台数を売り上げたことは無いはずである。ボズクルト氏は、過去の最高販売記録は3万1600台であったと述べた。すなわち、トヨタは今年、トルコにおいて販売新記録を達成することとなる。さて、何故新記録を達成出来たか?

ボズクルト氏は、ALJから派遣されて、まず最初に全てのシステムの写真を撮って歩いたと話した。全てのディーラーを見て周り、お客さんと直接話しをし、課題を見つけた。その上で、更に多くの調査を実施したのだという(ボズクルト氏の話は以下のように続く):

■コミュニケーション、メーカーの認識、そして金融

「社内で、コミュニケーションについての会議を行った。何が間違っていて、何が不足しているのだろうか?更により良い方向へ導く為に、目標を達成するために、何をする必要があるのか?この質問に対する解答を探しているうちに、いくつかの課題が浮き彫りになっていった。

それは、まずコミュニケーションである。我々は、メーカーとしてコミュニケーションに関して少し弱みが見られる。例えば社内(ディーラー間)とお客様とでは、マーケティング・コミュニケーションを使い分ける必要がある。 そのために、私たちは話し合い、マーケティングで用いる表現を変えていった。

次に、私たちがトヨタというメーカーをどう認識しているのかを確認した。その時の話し合いで返ってきた答えは、次のようなものだった:『トヨタは、世界で最大販売台数を誇るメーカーである。もちろんトルコでも販売している。しかし、一般市民には手の届かない存在である。身近には感じられていないし、ローンを組めば手が届くとも考えられていない。』そうであれば、我々がちょっと手の届かない存在のトヨタを、家族の一員と思える程身近な存在に変えていきたかった。」

この一年、自分たちに「皆がトヨタについて語り合う未来」という目標を立てたと話すボズクルト氏は、「このことで頭が一杯になった。そして従来我々が行っていたマーケティング活動、テレビ放送や広告もまたトヨタを変えていく試みの場となった」と述べた。

■トヨタローンの効果大

ボズクルト氏によれば、これほどの好調な販売台数を残せた最大の要因は、まずトヨタの新しいローン・システムの導入にあった。そしてこの方法により、最低月賦を500リラまで下げることが可能となり、トヨタ車を手の届く車にすることができたのだと強調した。

またトヨタローンを開始した7月時点で、トヨタのシェアは12.6%にまで上昇した。これについて、ボズクルト氏は以下のように説明している:

「このシステムでトヨタに興味を持ちディーラーに来場しトヨタを買わなかった人はいない。なぜなら低金利、長期返済期間が適応される為である。それに分割で月賦500リラまで下げたこともある。解決策は、提携する会社と強力な戦略を生みだすことにあった。しかし当然、我々もトヨタとして大きなリスクを背負っている。」

■何を予測できていなかったか?

ボズクルト氏は、トヨタ・トルコを買収したときに、中期的にみれば、トルコは年間5万台を売ることが可能であり、長期的にみれば、いくつかの車種を加えることで、マーケットリーダーに成れると予測したと話した:

「我々が計画をたてた時期、今年の自動車業界での一般的な予測は、市場の縮小であり、誰も拡大するとは思っていなかった。追い風は吹いていなかったし、減税もなかった。最悪のシナリオもあった。しかし、我々が何を予測できていなかったかわかりますか?自動車販売の推移と、金利がこれほど下がるということを予測できていなかったのです。」

ボズクルト氏はトルコで自動車購入者の70%がローンを組んでいることと、金利率が歴史的最低水準にまで下がったことを指摘し、「誰もが『待って、そこを通る時に車を買おう』と言ってくれるならどれほど事は簡単だったか。しかしそんなことを全く考えていなかった人達でさえ低金利を使って自動車の買い替えを考え始めたのです」と語った。

トヨタは、昔から頑なで柔軟性の無いメーカーだったが、自分たちの手でトヨタブランドを手の届く存在に変えることが出来たと言うボズクルト氏は、「そのためにローンを簡単に組めるようにし、販売台数3.8万台の新記録を達成する」と述べた。

■2011年は目標5万台

ボズクルト氏は、2011年の目標も明らかにした。来期の総販売台数の予測が今年と同じとして試算した。つまりおおよそ7.5万台辺りで市場が推移すると考えられる。その際、トヨタの年間販売台数は5万台を目標としている。

ボズクルト氏は、ここで以下の点を強調した「当初5万台は2014年の目標であった。しかしトヨタローンにより販売に火がついた。我々も目標を3年前倒しで立てています。2011年末以降は、販売台数を2年で2倍に増やしていきます。これは大変な成功となるでしょう。」

ボズクルト氏は、トヨタは乗用車のセグメントで6、7位を行ったり来たりしていたが、来年は4位になることも不可能ではないということも強調した。

■新規投資を望む

トヨタは乗用車のセグメントではシェアが高い一方で、商用車のセグメントでは優勢ではない。しかしこの課題に対しても、とても前向きな計画がある。トルコにける新型商用車の生産もこの計画の重要な一部である。ボズクルト氏はこう説明している:

「トヨタは、商用車のセグメントにおいても対策を練っている。かねてより日本のトヨタ本社に対して商用車の要望を出している。更にはこれをトルコで生産したいとも要望している。こうした新型車は国内市場において需要があるし、トルコで生産し輸出することも可能だ」と述べた。

■エンジニア団受け入れ

ボズクルト氏は、既存のものではなく、全く新しいデザインの車を求めていると語った。このため、その完成へのプロセスは、長期的なものとなるだろう。しかし日本のトヨタ本社の上層部は、この件に強い関心を示している。その証拠として、6ヶ月で、12のエンジニア団がそれぞれ個別にトルコを訪れ、様々な話し合いが行われていた:

「異なるエンジニア団が来土し、各地を訪問し、ライバル他社の商品の調査と市場調査を行った。車がどのように、かつどのような方法で生産されるべきかという点において、検討が続けられている。まだ結論が出たわけではない。しかし検討が始められているということ自体が大切な第一歩である。個人的には、彼らはこの件に関して前向きであると考えている。彼らはこの試みが価値のあるプロジェクトであると承認した。
しかし、新車の開発には4年から5年がかかる。よって、早急には結果を求めていない。」

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:有田潤 )
( 記事ID:20828 )