危険にさらされるイラクのキリスト教徒をナジャフ県が受け入れ
2010年11月30日付 al-Hayat 紙

■ナジャフ市がキリスト教徒に同都市での定住と就職を呼びかけ

2010年11月30日付『アル=ハヤート』紙(イギリス)HPアラブ国際面

【ナジャフ:ファーディル・ラシャード】

 ナジャフ市(バグダードから160km南に位置する)の政府機関および住民は、キリスト教徒コミュニティにイラクから移住しないよう呼びかけ、ナジャフに定住して働くよう促した。

 ナジャフ県議会のファーイド・アル=シャムリー議長は、「本県議会は、キリスト教徒のイラク国民にナジャフ県内に定住し就職することを許可するよう県内すべての部局に指示を出した」と述べた。

 アル=シャムリー議長は、本紙に宛てた声明の中で以下のように発言した。「今回の指示は、イラク憲法に完全に適合する、合法的なものである。また、キリスト教徒をいかなる攻撃からも守り、彼らの安全を保障するために行動することを義務付ける正しいイスラームの教えと照らし合わせても適切である。」また、「この指示は、最近の彼らを標的とした事件の後、キリスト教徒の安全を保証するため、そして彼らのイラク国外への移住に歯止めをかけるために出されたものである。」と付け加えた。

 またクーファ大学学長のアブドゥッラッザーク・アル=イーサー博士は、キリスト教徒の学生および高等教育省からの研修生を受け入れる準備があると表明した。

 同学長は、本紙に宛てた声明の中で、「この提案の目的は、イラク国民の統合と相互協力を示すことである。クーファ大学は、学内の学科で学業修了を希望する学生たちの受け入れを拡大し、無料の交通手段を提供する予定だ。そしてそれは、イラク国内の数県で脅迫や犯罪にさらされているキリスト教徒との連帯を示してのことである。」と述べた。

 宗教指導者のムンイム・アル=アンサーリー師は、「ナジャフの市民は寛容であり、彼らにとってムスリムとキリスト教徒の間の違いは存在しない」と強調したうえで、「我々の正しい宗教は、全ての宗教と平和に共存するよう我々に義務付けている」と述べた。また、同氏は、「我々の家の扉は、我々の兄弟たるキリスト教徒が住まうために開いているし、彼らが雇用機会を見るけるための手助けもするつもりだ」との見解を示した。

 サイイダ・アル=ナジャー教会での事件から数日後、イラクの複数の都市において、キリスト教徒の住宅が爆破装置によって爆破された。アル=カーイダ傘下の組織「イラク・イスラーム国家」が犯行声明を出し、キリスト教徒を標的とした攻撃を行うと脅迫した。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:中島希 )
( 記事ID:20835 )