コプト教会総主教がエジプト当局に鎮静化を要請
2010年11月25日付 al-Quds al-Arabi 紙

■コプト教会のシェヌーダ3世総主教がエジプト当局に暴力行為の鎮静化を要請

2010年11月25日付『クドゥス・アラビ―』紙(イギリス)

【カイロ】

 エジプトにおけるコプト正教徒の精神指導者であるシェヌーダ3世総主教は、政府高官と治安関係者に対し、カイロ西部でコプト教徒が教会建設停止に対して行った抗議行動から生じた一連の暴力事件を鎮静化するよう求めた。同国のメディアが木曜[25日]に伝えたところによると、シェヌーダ3世は毎週行われている説教において、騒動が生じたギザ県の県知事および治安部隊に呼びかけ、「神が一部の人々の権力を与えたのは、その下で人々が安心して暮らすためである。暴力は暴力を生むだけだ」と述べた。

 水曜日[24日]には警察がギザ県庁舎の前でデモ参加者を解散させるために催涙ガスや火器を用い、少なくとも一人のコプト教徒が死亡し、治安部隊員を含む数十人が負傷している。

 また24日から25日にかけての深夜に行われた説教においてシェヌーダ3世は、先週エジプト南部で20世帯以上のキリスト教徒の家屋がイスラーム教徒によって燃やされたことを非難し、国に対し彼らへの補償を求めた。さらに総主教はコプト教徒に対して忍耐を呼びかけ、「神は忍耐強く預言者ヨナに接し、彼が改悛し、正しい道に戻るまで、クジラの腹の中に留めた。神の人間に対する忍耐強さは、私たちも忍耐と長寿を授かるための模範を示している」と述べた。

 一方で、前IAEA事務局長のムハンマド・エルバラダイは25日、前日に生じた暴力事件を非難した。同氏はフェイスブックの個人ページを通じて発信したメッセージにおいて、「[ギザ県の]オムラーニーヤ地区での今回の事件はすべてのエジプト人の面目を失わせるものである」と述べ、「宗教は神のもの、祖国は全国民のためにある」と指摘した。

 24日の朝には何百人ものコプト教徒たちが同地区にある「聖母マリアと天使教会」の前に集結し、治安部隊との間で激しい衝突が生じた。これにより、キリスト教徒の若者1名が死亡し、双方合わせて25名以上の負傷者が生じた。さらに治安筋によれば、警察は25日、警察部隊に対して投石し衝突が生じた教会で再度暴動を扇動しようとした3人のコプト教徒を逮捕した。これにより、逮捕されたコプト教徒の数は159名に上った。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:石塚慎平 )
( 記事ID:20859 )