■イラン最高指導者との会談は「深く、包括的だった」
■ハリーリー氏とアフマディーネジャード氏の間で交わされた「秘密」の結果近く明らかに
2010年11月30日付『アル=ナハール』紙(レバノン)HP政治面
【テヘラン:サミール・マンスール】
サアド・アル=ハリーリー首相がイランを公式訪問した直後、イランとレバノン双方の担当者らはこの訪問について「すべての面で非常に成功した」との意見で一致した。イラン側の首相に対する評価は訪問の最後の瞬間まで好意的で、最終声明では一度ならず訪問を「喜ばしい」と形容し、「あなた方の尽くされた努力を高く評価する」、「あなた方の聡明な政府」等、相互理解を実質的ステップと解釈した楽観的見方をうかがわせる表現が目立った。
また駐レバノンイラン大使のガドニフィル・ルクン・アッバーディー氏は、閣僚代表団、記者団とともにベイルートに戻る間、終始楽天的な様子で、最後には本紙に対し「今回の訪問の成果は近く現れると確信している。そのうち良いニュースが届けられるだろう」と断言するにいたった。また、ハリーリー首相が会談の後にアフマディーネジャード大統領と行った短い二人きりの対談で「様々な件に関し合意がなされた」ことや、イラン最高指導者との会見が「深く、包括的」だったことも明らかにした。更に、合意がなされた「秘密」は近く明らかになり、その結果が広く知れ渡るだろうという。
この会談に参加した、信頼すべきレバノン情報筋によれば、訪問は「地域的にも二国間関係的にも、あるいは経済的、政治的にも、非常な成功を収めた」。政治上では、この訪問は、過去5年間特定の政治派閥によって制限されてきた両国の関係を、政府機関を通じ再び活性化させた。経済上では、特にレバノン政府のプロジェクトに対するイランの投資について、真剣で深くかつ入念な議論に向け広く門戸が開放された。これらのプロジェクトは、石油やガスの発掘調査や発電、ダム、沿岸部ガスパイプ、鉄道網を敷きそれをイラク、シリア、レバノンを通過してイランからトルコまで広がる鉄道網と連結させるといった大規模なものである。また両国間の双務については、今回の訪問でイラン・レバノン最高委員会が改めて設置され、イラン側については第一副大統領が、レバノン側については首相が、それぞれ同委員会代表に就いたことで双方が格を上げた。第一回目の会合は来年早々(この2、3か月以内)に設定されている。
また、地域的な諸案件についても以下のような成果がもたらされた。
第一:イランは、レバノンについて、何よりもまずその国内の安全と安定を最大限支援する。イラン指導層は「我々はイランにおける安全と安定に熱心であるのと全く同じ形で、レバノンのそれに熱心である」との表現を用いてこれを確認した。
第二:レバノンを安定させようとするサウジアラビア・シリア間の努力をイランは絶対的に支持、後援する。
第三:会談中および公式声明においてイランは、ハリーリー首相が繰り返し呼び掛けている冷静な対話路線が、すべての側から評価され、支持、奨励されている姿勢であり、イランとアラブ諸国が互いに近づき溝を埋める要素のひとつになるとし、かつては「イランの親友」ラフィーク・アル=ハリーリー首相がその役割を担っていたことを確信する。
恐らく、今回の訪問が実現したということだけでも、第一の肯定的成果とみなされるだろう。この訪問の真価に対する判断は、双方において、その成果ならびに各派の様々な立場をどのように実質的なステップに変換していくかにかかっている。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:加瀬冴子 )
( 記事ID:20864 )