エイズの猛攻:保健相「イラン国内でのエイズの性的感染が5倍に増加」
2010年11月29日付 Jam-e Jam 紙
【社会部:マンスーレ・バラーダラーン=ナスィーリー】保健相は世界エイズデー(アーザル月10日〔=西暦12月1日〕)を目前に控え、「不道徳な関係」によるエイズ感染が国内で5倍に増加する可能性について警告を発した。同相は以前にも、「エイズの爆発的感染が進行中だ」とした上で、売春婦女性の半数がHIVウィルスに感染しているとの内容をメディア上で取り上げたことがあった。
マルズィーイェ・ヴァヒード=ダストジェルディー保健相は、シンポジウム「医薬品とバイオテクノロジー設備の製造」が行われている傍らで、記者団を前に、特に若い世代で不道徳な関係によるエイズ感染例が増加していることに懸念を表明し、「この傾向が続けば、こうした経路による感染者数は〔今後数年間で〕5倍になるだろう」と述べた。
イランにおける第一次エイズ流行は、エイズ感染した血液製剤の輸入に始まる。その後、注射を使った麻薬中毒がエイズの蔓延を数倍にした。そして現在、〔性道徳を〕守ろうとしない不道徳な関係による第三次エイズ流行が、この病気の新たな脅威となっている。
保健相はこの問題について、注射を使う麻薬中毒者の問題について指摘し、次のように述べた。「イランにおけるエイズの根本的要因である注射による麻薬中毒者の問題については、幸運にもこうした人々の間でのそれ〔=エイズ〕の蔓延を抑えることに成功した。〔麻薬中毒患者における〕この病気の感染者の年間数は、きわめて少ない」。
しかしダストジェルディー氏によると、「我々にとって大きな危険は、むしろエイズ感染に至る不道徳な関係に関する問題である。われわれの未来予想が示すところでは、現在の傾向が続けば、今後4~5年でこの経路での感染者数は5倍になることもありうる」という。
ISNA(イラン学生通信)によると、同相は次のように明言する。「2万人以上のエイズ感染者が確認をされており、この数の3~4倍の感染者が未確認ながら存在するものと思われる。このような状況を考えるならば、我が国でエイズは抑制されていると言えるだろう。ただ市民、特に若い世代が守るべき倫理的側面についてのみ、われわれは懸念を抱いている」。
保健相のこうした警告は、同相の以前の発言と対照させると、〔単なる懸念というよりはむしろ〕「脅威」としての様相を帯びる。ダストジェルディー氏はかつて、次のように述べていたことがある。「テヘランで売春に従事していると自己申告した女性200名に対して行われた検査の結果、彼女たちの50%がエイズのキャリヤーであることが判明した」。
同相は、「彼女たちはいずれも、1年間に少なくとも5人をエイズに感染させることが可能だ」とも述べていた。
保健相はさらに、道徳を遵守し〔エイズに対して〕より一層警戒するよう、若者たちに強く警告し、「かつては、注射を使った麻薬中毒者を通じて、社会にエイズが広がるケースが多かった。しかし現在、こうしたモデルは変化を遂げており、エイズ感染の最大の要因は性的接触となっている」と述べている。
麻薬から不道徳な関係まで
不道徳な性的関係によるエイズ増加の危険の傍らには、別の警告も存在する。それは、「エイズの脅威」、「婚姻外の許されざる性的関係の増加」、そして「麻薬の使用」という「トライアングル」の一角を、麻薬が〔着実に〕占めつつある、というものだ。
この問題に関し、イラン・エイズ委員会の委員を務めるモフラズ博士は、若者たちの間に麻薬が入りこむことは第三次エイズ流行にとって新たな危機だと警告している。
ミ-ヌー・モフラズ氏はISNAに対し、「麻薬の使用は偽りに満ちた形で、個々人に性的欲求を増加させ、若者から決断力や思考力を奪う。故に麻薬を使用する人間は、危険に満ちた行動へと誘導される」と語る。
彼女によると、「最近、若者の麻薬の使用およびアルコール摂取が、第三次エイズ流行にとって新たな危険となっている。もし適切な介入によってイラン国内のエイズ感染者の増加を抑えることに失敗すれば、危険に満ちた行動による第三次流行が今後5年のうちに訪れるであろうことを、われわれは覚悟しておかねばならないだろう」とのことである。
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( 翻訳者:三浦由佳理 )
( 記事ID:20876 )