スーダンの南北分離により、エジプトがナイル川水資源の利権保持に危機感
2010年12月07日付 al-Hayat 紙

■エジプト、南部スーダン分離後もナイル川水資源のシェアを保障するよう要求

2010年12月07日付『アル=ハヤート』紙(イギリス)アラブ国際面

【ハルツーム:アル=ヌール・アフマド・アル=ヌール】

現在スーダンを訪問しているエジプトの情報機関代表団は、南部スーダンの分離がエジプトのナイル川水資源利用量に影響を与える恐れについて注意喚起している。南部スーダン分離は、1ヶ月と少し先に実施される住民投票によって決定される。同代表団は、スーダン北部と南部両サイドに対し、スーダン分割のイニシアティブをとった見返りとして51年前にハルツーム・カイロ間で合意した水資源配分を変更しないよう求めた。

情報機関幹部らを含むハイレベルのエジプト派遣団は、ハルツームで、アリー・ウスマーン・ムハンマド・ターハ副大統領、ナーフェア・アリー・ナーフェア大統領補佐官らのスーダン政府代表、ならびに、南部政府の平和協力大臣パガン・ウムーム氏とデング・アロル氏、北部担当のヤーセル・ウルマーン氏らを含む「人民解放運動」幹部らと個別に会談を行った。会談では、スーダン情勢とエジプトの立場、南部の今後を決める住民投票の準備などについて集中的な議論が行われた。

報道によれば、エジプト代表団は南北両政府に対し、南部分離がナイルの水利用配分に影響を及ぼさないとの保障を求めた。また、エチオピアがナイル流域諸国を代表して、1959年にエジプト・スーダンにより調印された水配分合意の撤廃を要請するとの懸念を双方に伝えた。更に代表団は、南部スーダンに樹立される新国家が、スーダンとエジプトだけではなく全流域諸国へ水の配分を許可すべきとの見解を示した。

1959年11月のエジプト・スーダン間の合意は1929年のナイル川流域諸国の合意を補強するもので、エジプトとスーダンが得る水資源量を固定することが含まれていた。その背景には、当時の地域に現れつつあった新しい状況、アスワン・ハイ・ダム建設計画とナイル上流で水量を増加させ多数のダムを建設するという開発プロジェクトがあった。両国は毎年220億立方メートルにのぼるアスワン・ハイ・ダムの水資源を分け合い、スーダンは145億立方メートル、エジプトは75億立方メートルを利用することが決定された。これを合わせ、エジプトは年間555億立方メートル、スーダンは185億立方メートルの配分を受けている。

エジプトのアフマド・アブルゲイト外相は、北部と南部の首脳陣はアフリカ最大であるスーダンの統一を維持するための真の努力をしてこなかったため、スーダン分裂は必然であるように思われるとの見解を示した。

(後略)

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:中島希 )
( 記事ID:20887 )