ダヴトオール外相の夢は「オスマン連邦」―米誌インタビューでの発言
2010年12月07日付 Milliyet 紙

ダヴトオール外相はイギリスが実施している連邦制の例を示しつつ、トルコもかつてオスマン帝国領だった地域にリーダーシップを発揮できるであろうと述べた。

アメリカのワシントン・ポスト紙の記者のジャクソン・ディエール氏は、先週ワシントンで取材したトルコのアフメト・ダヴトオール外相が、トルコがかつてオスマン帝国領であった諸国家にリーダーシップを発揮する夢を語ったことを記事にした。「ウィキリークスの情報は、21世紀のトルコをどのように映し出しているか」という分析記事を書いたディエール氏は、「トルコはNATOのメンバーであり、そしてアメリカ合衆国が国外で行う軍事作戦のために基地を提供している。しかしながら、本当のところ、(トルコは)依然アメリカ合衆国の同盟国なのか?」と問うた。そして「ウィキリークスの情報が暴露したことは、ブッシュ政権もオバマ政権も、この問題に関して窮していることを示している。穏健的イスラム主義を標榜する公正発展党が、8年間政権を担当している間、トルコは、アメリカと一筋縄ではいかない21世紀関係を築いてきた」と述べた。またディエール氏は、ダヴトオール外相が、ワシントンを訪問している間に行った声明と、自身の取材での外相の発言も以下の様に掲載した。

■トルコ版「9.11」

「ダヴトオール外相は微笑みながらこう繰り返した。『はい、5月にガザの沖合でイスラエル軍とトルコのイスラム活動家達が衝突したことは、アルカイダがニューヨークとワシントンを攻撃したことに匹敵すると言えるでしょう。』
ダヴトオール外相は、『繰り返しますが、この事件はトルコにおける9.11テロ事件なのです!』と語気を強めた。9.11テロ事件では、2,900名が、艦船襲撃事件では9名が死亡したことを指摘しながら、『数字は問題ではないのです。トルコでの精神的ショックを言いたいのです。我々の国民が、外国の軍隊によって殺害されたのです』と付け加えた。」

「実際、事態はこれほどシンプルなものではなかった。(支援船に乗っていた)トルコ人は無防備な民間人などではなく、挑戦的な民兵であった。自爆攻撃によってではなく、まず最初にペイントボールと催涙弾を使うプロフェッショナルな兵士だった。このため、ダヴトオール外相が、『(この事件が)トルコ政府とオバマ政権の間で不和を引き起こす理由はない』と語ったことは、耳を疑わせるものであった。」

■ 新オスマン主義

ディエール氏は、ウィキリークスの情報で、「非常に危険(な人物)」、また「新オスマン主義的イスラム主義幻想の中で道を見失った(人物)」と書かれたダヴトオール外相が、自身への取材でも、「イギリスがかつての植民地と連邦制の形をとっているのに、何故、トルコがかつてのオスマン領であったバルカン諸国や中東、そして中央アジアに、再びリーダーシップを発揮してはいけないのでしょう?」と述べたと書いた。ディエール氏は以下のように続けた。

「事実、アラブ人の市井では、エルドアン首相は、見込みのある指導者として、ヒズボラの指導者であった故ハサン・ナスラーフ氏の様なライバル達の中で、より魅力的な人物とみなされています。もちろんトルコは、ヨーロッパの通商や資本の影響下にあります。トルコは民主的なイラクや核のないイランを望んでおり、NATOがアフガニスタンで勝利することを願っています。現在のイスラエルも認めています。本質的には、真のムスリム民主主義を標榜しています。これはトルコが昔よりもパワフルであり、そのうえで、ある意味良い同盟者であることを意味しているでしょう。」

■ハサン・ジェラル・ギュゼル前国務大臣が2008年に述べたこと

かつて、ギュゼル前国務大臣は、2008年5月にラディカル紙での記事において、以下のように述べていた。

「連邦制がイギリスでどの程度の重要性をもっているかを今さら述べる必要ないでしょう。イギリス女王がトルコを訪問なされているのを見ていると(訳注2008年5月にトルコを公式訪問している)、我々の頭には、我々の民族が作った壮大な世界帝国であるオスマン帝国が思い浮かびました。オスマン帝国の支配が行われていた領土には、現在45の国家があります。ご存知のように、帝国の最も当然かつ正当な後継者はトルコ共和国です。我ら共和国政府は、体制形態といった点では、確実にオスマン帝国とは異なっています。しかしながら、オスマン帝国の社会、経済、そして文化的遺産を我々は引き継いでいるということを、イデオロギー的な偏見から自由になり、我々は受けいれることが必要なのです。」

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:20891 )