トルコ大国民議会(TBMM)本会議で裁判官・検察官高等委員会(HSYK)法案提出の際に平和民主党(BDP)スルナク県選出のハスィプ・カプラン議員がクルド語の詩を朗読すると、国会テレビの音声が中断された。
メラル・アクシェネル副議長は、音声の中断は機械の故障によるものだと明らかにした。
カプラン議員は、裁判官・検察官高等委員会法案の審議の際に法案について発言していた。
カプラン議員は、演説で今日(10日)が世界人権宣言の日であることに触れ、昨日(9日)に行ったクルド語での演説が国会議事録に、「ここで演説者によっていくつかの言葉がトルコ語でない言語で表現された」と記されたことを明らかにした。カプラン議員は本会議の席上、議事録を手にを、次のように続けた。
「これは恥ずべき行動だ。人権に対する侮辱だ。これよりひどい侮辱があるだろ うか。何百万もの人々に対し、アイデンティティを否定し同化せよといってい る。差別主義を助長し、(クルドの)民謡を歌ったからといって責め、(クルドの の)踊りを踊ったからといって、地下組織メンバーだでっちあげて罰してい る。・・・そしてその後に『世界人権宣言の日おめでとう』というのだ。共存と いうなら、現実を受け入れなくてはならない。」
カプラン議員は、クルド詩人ジエルフンの「ロブソン」というクルド語詩のなか から、「黒人だけが苦しめられたわけではない、私たちは白人だ、私たちも苦し められた」という部分をクルド語で、続いてトルコ語で朗読した。「黒人が1947 年に公民権を獲得した際、アメリカ合衆国の副大統領は、白人と黒人の学生と手 をつなぎ、一緒に大学の門をくぐった。そしてアメリカでは黒人と白人の間の人 種差別は国家主導で取り除かれたのだ」と話した。
カプラン議員がクルド語で詩を朗読している間、国会テレビ中継の音声は中断されていた。
BDPのムシュ県選出のスッル・サクク議員は、カプラン議員がクルド語を話す間、音声放送が中断されていたことを指摘し、「国営のTRT6ではクルド語の放送がある、TRT3ではどうしてダメなのか」と問いかけた。
公正発展党のスアト・クルチ党派副代表は、この問題に関して議長による本会議への説明を要求した。トルコ大国民議会のメラル・アクシェネル副議長は、この事態を収拾するため休憩をとった。
アクシェネル副議長に呼ばれ、カプラン議員、サクク議員、BDPムシュ県選出のヌリ・ヤマン、スアト・クルチュ議員らは、議長の部屋へと入った。休憩の後、アクシェネル副議長は、カプラン議員の演説の一部が機械の故障によって放送できなかったと判明したと述べ、カプラン議員に対しその場で伝えた。
カプラン議員は「これが機械の故障によるものであることを願っている」と述べた。詩の問題の部分をクルド語で繰り返したカプラン議員は、トルコ語の意味も述べた。
カプラン議員は、クルド語で「世界人権宣言の日を祝福する」とのべた。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:小松裕美子 )
( 記事ID:20926 )