核科学者、再び殺害される:大統領府、イギリス諜報機関の関与を指摘
2010年11月30日付 Jam-e Jam 紙
昨朝、テヘラン市内2ヶ所で爆破事件が発生した。記事が印刷に回される現時点までに、犯人、ないしは犯人たちに関する情報は一切なく、事件への関与を認める組織も現れていない。
爆破事件はヴェレンジャク地区と国軍通りの二ヶ所で発生した。このテロの結果、大学教授1名が殉教、また別の大学教授が妻とともに負傷し、病院に搬送された。
今回の暗殺事件は、〔イラン暦で〕昨年起きたアリーモハンマディー教授の殉教をはじめ、偽善者たち〔=人民聖戦士機構(MKO)〕の過去の活動を思い出させるものだ。今回起きた2件はともに同じ方法で、しかし別々の場所で朝7時45分頃に発生した。テロリストらはバイクに乗って教授が乗る車に近づき、爆弾を車に貼り付けた上で、その場から離れて車を爆発させる、という手法を用いていた。
マヌーチェフル・シャフリヤーリー教授は国軍陸上部隊通りで、プジョー405に乗っていたところを爆破され、間もなく殉教した。またフェレイドゥーン・アッバースィー教授も同様の方法で、プジョー206に乗っていたところ、シャヒード・ベヘシュティー大学の向かいでテロに遭い、直ちに病院に搬送された。
大テヘラン治安維持軍長官は、今回の2件の爆破事件、及びシャヒード・ベヘシュティー大学教授の暗殺について、詳細を説明した上で、「この事件への関与を認めた者は、いまだ現れていない」と語った。
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■公式筋の反応
今回のテロを受け、公式筋は声明を発表し、亡くなった殉教者の歩んできた学問の道を今後も継続すると強調した。また、マジード〔※マヌーチェフルの誤り?〕・シャフリヤーリー教授へのテロには、様々な反応があった。
大統領府は今回のテロを、イギリス情報サービス海外部(MI6)やシオニスト、及び抑圧主義諸国が関わっているとの見方を示した。声明には、次のようにある。
「シオニスト体制は今回、自立的で力強きイスラーム的イラン国民による科学技術の分野での進歩を阻止せんとする妄想から、マジード・シャフリヤーリー助教授を殺害した。この〔イランという〕大地が生んだ最も優秀なる子の血がテロによって流された今、スパイを雇い入れ、イラン・イスラーム共和国に敵対的な活動を行うことも必要だとするイギリス情報局(MI6)長官の最近の発言、ならびにアメリカのブラックリストから反イラン的テロ組織の名を外すべきだとするEU議会の最近の姿勢と、今回の非人道的な事件とが関連しているのではないかと、政治・安全保障問題の専門家らは分析している」。
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■ラーリージャーニー氏:今回のテロをたどれば、シオニスト体制の行動に行きつく
ダマスカスを訪れていたラーリージャーニー国会議長は、記者会見の席上、昨日テヘランで起きたテロ事件について触れ、「今回のテロをたどれば、シオニスト体制の行動に行きつくのではないかと推測している」と述べた。
ファールス通信の報道によると、アリー・ラーリージャーニー氏は「今回のテロは、彼らの力の表れではなく、むしろ無力さの表れである。シオニスト体制は程なくして後悔することになるだろう」と指摘した。
■サーレヒー氏の声明
アリー・アクバル・サーレヒー原子力庁長官も、今回のテロに対して声明を発表し、そのなかで「シャフリヤーリー博士は、何年も私が指導した学生の一人であった。彼は原子力庁とよく協力をしてくれたし、原子力庁の巨大プロジェクトの1つを名誉に感じて、見事に実行してくれた」と述べている。
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■科学者2名のテロに対する西側諸国の関与の可能性、強まる
今回のイラン人核科学者2名へのテロにアメリカやイギリス、ないしはシオニスト体制が関わっているとの可能性が強まっているのは、〔暗殺未遂となった〕フェレイドゥーン・アッバース=ダヴァーニー教授の名が対イラン安保理決議第1747号の〔制裁〕リストに載っているためである。
ダヴァーニー博士の名前は、安保理決議第1747号の付属文書の中で、弾道ミサイル計画と関係があるイラン国防省の科学者として、制裁対象者のリストに掲載されている。
これに加え、今回の核科学者2名に対するテロがイランで発生する前、米中東軍司令官やイギリス海外諜報機関の長官が、イランに対する治安措置の必要性を語ったという事実も、今回のテロの背景として考える必要があろう。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:上山詩織 )
( 記事ID:20938 )