宗務庁、椅子に座っての礼拝に「好ましくない」判断
2010年12月14日付 Zaman 紙


宗務高等委員会は決議において、礼拝用にモスクに列状に並ぶ固定の椅子を設置することは、モスクのあり方や文化に沿うものではなく、「病気や障害といった類の不具合がある人々でも、どうしても必要でない限りは、礼拝を行う際は椅子に座ってではなく、床に座って行うのが適切である」とされた。

宗務庁宗務高等委員会は、12月1日水曜日に実施された会議で、「椅子に座っての礼拝」問題を議題として採りあげた。

会議の最後に採決された決議では、一日5回の礼拝は人間がアッラー(唯一神)に最大限近づくための宗教行為であり、預言者ムハンマドはこの祈りを「最良の宗教的実践」として位置づけ、最後の審判の日に問われる最初の行為は礼拝だとされていると語った。

このため、(宗務高等委員会の)決議では、礼拝を放棄することは許されないとされ、間接的な表現ながら、礼拝の完全実施が強調された。そしてその理由として、預言者ムハンマドの「あえて礼拝を行わないのであれば、アッラーの御加護は(礼拝を行わない)その人から遠ざかるであろう」とのハディースが示された。

(宗務高等委員会の)決議には、礼拝時に両手を両膝に置いて前傾する動作の意味は、コーランとスンナ(ムスリムが手本とするよう推奨される預言者の慣行)にて説明されており、実践方法については、預言者ムハンマドの自らの言葉と実践として語られていることに言及しており、正当な理由なしに礼拝時に両手を両膝に置いて前傾する動作のうち、一つでも疎かになった場合には、礼拝は有効なものではなくなるとの指摘がなされた。

しかしながら、(宗務高等委員会の)決議では、宗教上の責任は人間の能力に応じて決定されること、能力を超える状況下では簡略化の原理が働くとし、礼拝時に両手を両膝に置いて前傾する動作のうちの一つを実践する際に妨げとなる(身体的)不具合等の問題は、礼拝時の動作を簡略化させる理由とみなされうると強調された。

(宗務高等委員会の)決議では次のような説明がなされている。

「(礼拝時の動作の簡略化というのは)礼拝を通常形式通りに、足で立って礼拝を行うには力が足りない人のために、本来の礼拝形式の代わりに、座って礼拝することである。このような人は、自分自身の状況を鑑みた上で、膝を折ったり、あぐらをかいたり、あるいは足を横にずらす、またはキブラ(礼拝を行うときに向かうカーバの方向)に足を伸ばすなどして礼拝を行う。これと同様に、預言者ムハンマドは、礼拝をどのように行うのかを問うた病気の信者に、「礼拝は足で立って行う。もしその力がないのであれば座り、座る力もないのであれば、横たわって行いなさい」と答えたとされる。

足で立て、床に座れるにも関わらず、ひれ伏してお祈りをできない人は、礼拝を立って始め、両手を両膝に置いて前傾する動作の後に、床に座ってひれ伏すつもりでお祈りをおこなう。

足で立てるが、床に座った後に立ち上がれない人は、礼拝を立って始め、ひれ伏してお祈りした後、礼拝を座ったまま終える。

足で立ち、両手を両膝に置いて前傾する動作はできるが、床に座ることが出来ないものは、礼拝を立って始め、両手を両膝に置いて前傾した後に、ひれ伏す動作を腰かけ、あるいはそれに準じたものに座って、そうした動作をしたつもりで祈る。

足で立てず、床に座ることもできない人は、礼拝を腰かけ、椅子、それに準じたものに座り、両手を両膝に置いて前傾する動作、及びひれ伏す動作を行ったつもりで礼拝する。

人間は、アッラーに祈りを捧げる際、真心から誠意にあらねばならず、宗教の提示する諸条件を完璧に実践する努力を示さなければならない。(椅子等に座って礼拝することは)努力と感受性が欠けているゆえに、アッラーに対して責任を負うことになることを意識しなければならない。このため、礼拝時に腰かけ、椅子、それに準じるものの上に座って礼拝を行う信者が述べるところの弁解は、良心という観点から自分自身を納得させるものでなければならない。礼拝を本来の形式で適切に行う上で妨げとはならない軽い身体的不具合は、座って礼拝するための正当な理由となってはならない。一方で、宗教的な観点からは、必要上の正当な理由がない限りにおいては、モスクにおいて椅子に座って礼拝を行うことは好ましくないという見方が出てくるのであり、教団間に様々な議論を引き起こしている。特に、礼拝用にモスクに列状に並んだ固定の椅子を設置することは、モスクのあり方と文化になじまないものである。この理由から、病気や障害のような類の不具合がある人々でも、どうしても必要でない限りは、礼拝を椅子に座ってではなく、床に座って行うことが適切である。」

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:20967 )