参謀司令本部はインターネットサイトを通して、最近議論されている“2言語化”に関するする見解を明らかにした。平和民主党(BDP)の党首からはすぐさま反応があった。「政治上の保護を訴えるいかなる声明も、私どもの観点からすると、どれも民主的なアプローチではない。注目しているのは、『軍による保護を廃す』と言う政府はこの声明について何をいうつもりなのかということだ」と述べた。
参謀本部は、トルコ共和国憲法の改正不可規定中の第3条に、「トルコ国家は、国土と国民が不可分の一体性をもち、その言語はトルコ語である」とあることに触れ、「トルコ国軍は、憲法中にある、トルコ国家の独立と統一、国土の不可分性、共和制と民主主義を擁護するという役割の中で、国民国家と中央集権国家、世俗国家を守ることにおいて常に同じ立場でいたし、これからもそうあり続けていく」と述べた。
参謀本部の公式インターネットサイトに載せられた声明文は次の通り。
「偉大な指導者アタテュルクがトルコ国民に授けた最も偉大な作品であるトルコ共和国は、国民主権に基づいた、設立理念の基に『中央集権国家』や『国民国家』という物を据えた、民主的な仕組みと健全な法制度に基づいて、発展し今日に至っている。
トルコ共和国憲法の改正不可条項の第3条で『トルコ国家は、国土と国民が不可分の一体性をもち、その言語はトルコ語である』と制定されている。言語や文化、理想の統一は、一国民たるに最も必要不可欠な条件である。言語の統一がなされていなければ、それがいかなる結果を生むかは、歴史上の数々の痛ましい事例をもってすれば明らかである。
最近『国語』に関して世論を賑わせている一連の論争が、共和国の基盤である組織原理を根底から変えてしまう段階に急速に仕向けようとしているのを、懸念をもって注視している。トルコ軍は、憲法の中に記載されるトルコ国家の独立と統一、国土の不可分性、国家の共和制と民主主義を擁護するという役割の中で、国民国家、中央集権国家、そして世俗国家を守っていくと点において常に務めてきたし、また今後もそうあり続けていく。」
■ デミルタシュ党首からの参謀本部の声明に対する反応
平和民主党(BDP)の党首セラハッティン・デミルタシュ氏は、EU加盟国の大使らと共に、ベルギー大使公邸で行った会談の後、参謀本部の出した“2言語化”に関する声明にコメントした。デミルタシュBDP党首は、この件に関し、「政治上の保護を訴えるいかなる声明も、我々の観点からすると、民主的なアプローチとはいえない。『軍による保護を廃す』と言う政府がこの声明についてなんと言うのか、大変興味深い」と話した。
デミルタシュ党首は、この問題の受け手は政治家であると言い、参謀本部が国内政治に対しいかに振舞い、向き合うべきかは「クーデター政権下でつくられた憲法(1982年憲法)」の中さえ規定されているとした。そして、「したがって、政治上の保護を訴えるいかなる声明も、我々の観点からすると、民主的なアプローチとはいえない」とし、次のように付け加えた。
■ 「現在の状況は、トルコ共和国の設立理念に反している。トルコ共和国は、人種差別主義者的考え方で設立されたのではない」
「もし参謀本部が、われわれがトルコの問題にどのように取り組んでいるのかに関心があり、知りたいのであれば、党としてはこのことに関して彼らに情報を提供できる。政治家として、全ての人に、官僚にも軍人にも情報を提供できる。しかし直接政治に対してこのようなやり方で圧力をかけるような考えや方法は、民主主義に適さない。トルコ共和国の設立理念をこのように解釈した人々は、1921年憲法や最初のトルコ大国民議会を見てほしい。そこにクルド語による発言はあったのか、なかったのか、クルド人議員はいたのか、いなかったのか。したがって、現在の状況は、トルコ共和国の設立理念と考え方に完全に反する考えや方法である。トルコ共和国は、一元論的な考えや人種差別主義的な考えで設立されたのではない。トルコの全てのコミュニティーや人々は平等、自由、同胞愛に基づいてこの国を共に作りあげ、共に生きていくことを決めたのである。したがって誰ひとりとしてこの問題を自らの思いのまま揺るがせてはならない。トルコは民主的な国となるのである。この民主主義をみんなで発展させていこうではないか。先のような非民主主義的やり方は、われわれの観点からすると認められない。参謀本部のこの声明は政府に向けたものである。軍による保護を廃するという政府がこの声明についてなんと言うのか、大変興味深い。」
■ 「文民政権下では、軍が一政党に対して声明を出すものではない」
民主主義諸国では、民主的な文民政権下では、軍が一政党に対して声明を出すものではないと述べたデミルタシュ党首は、政府がBDPの政策に対して議会の場で批判したり、異なる提案を出したりすることは出来ても、軍は(政治に対する)自らの意見表明を出すことは出来ないのであると語った。
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( 翻訳者:猪股玲香 )
( 記事ID:20997 )