予算審議最終日の首相演説、「クルド主義に反対」
2010年12月27日付 Milliyet 紙

エルドアン首相:この国で私は首相としてクルド問題を弁護している、これからも弁護し続けるつもりだ。だがクルド主義には反対だ。

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、自治制要求と二言語制に関し沈黙していたことで批判されていたが、「私はこの国の首相としてクルド問題を弁護している、これからも弁護しようと努めるつもりだ。だがクルド主義には反対だ。誰であれトルコの領土を分断することは認めない。自治制議論は民主主義を受け入れることができない人々の醜い陰謀である」と述べた。またエルドアン首相は、陰謀の首謀者らはテロ組織とその支援組織と共に政府の内部にじわじわと手を延ばしているギャングであると述べ、「トルコ共和国の公用語はトルコ語である。この現実を変えようというような動きは一切許容できない」と話した。
エルドアン首相は、トルコ大国民議会(TBMM)通常国会における予算審議の終了に際して演説した。これに対し公正発展党(AKP)党員らは立ち上がって拍手し、平和民主党(BDP)と始めとする野党の党員らは野次を飛ばして演説を遮った。この演説でエルドアン首相は次のように述べた。

■「共和国の害虫」

「我々は1923年にこの土地に共和国の種を蒔いた。枝を広げようとしてもその度にその枝を切ろうとする者がいた。共和国の木は外部からだけでなく、内部に潜む害虫によっても蝕まれ、朽ちさせられ、弱らせられそうになった。我々は内部の害虫やギャングやマフィアに対し容赦なく闘った。

■「足切り条項を設けた人たちに訊け」

(ハスィプ・カプランBDP党員の「10%の足切り条項を引き下げろ」との訴えに対し)この国で10%の足切り条項を設けたのは我々ではない、設けた当人たちに訊いて下さい。党を設立して16ヵ月後に我々は10%の足切り条項を乗り越えて政権を獲得した。あなたも同じようにすればいい。実力があるならあなたも乗り越えて来て下さい。

■「一つの国民、一つの祖国」

その地域では外出できないというような(危険な)イメージが形成されようとしている。しかし西で希望が膨らんだように、東でも同じだけ希望は膨らんでいる。我々は「一つの旗、一つの国民、一つの祖国、一つの国家」と言った。国民7,300万人はトルコ共和国-上位アイデンティティの下に一つである。上位アイデンティティとは、トルコ共和国の国民であること(国籍)である。この下に数多くの民族的要素が存在する。私は首相としてクルド問題を弁護している、これからも弁護し続けるつもりだ。だがクルド主義には反対だ。同様にトルコ主義にも反対だ。我々に人種差別主義的な考え方はなく、各民族集団に対し敬意を抱いている。
地方自治体も国家の公的な組織であり、そこではトルコ語が使われるべきである。政治・行政的には、自治制という考え方には反対である。我々は国民のためになるものを支持する。国民の言語は一つである。公用語、共通語はトルコ語だ。このことを今日まで学ぶことができずにきたというのなら、今後も学べないだろう。この現実を変えようというような動きは一切許容できない。

■PKKとギャング

何度も何度も絶えず行なわれてきた陰謀が再び計画されている。トルコが選挙を迎えようとしているとき、暗躍者によって再び同じようなゲームが準備されている。このシナリオはとても醜く、この陰謀は汚れた陰謀であり、我々はそれを罠だと知っている。国民はこの陰謀に我慢できないだろう。もはやこのゲームを黙って受け入れないだろう。国民も我々もこの企みを容認しない。この陰謀の裏にはテロ組織とその指示の下で活動している人々がいる。苦しみに悶え死んでいくギャングとマフィアがいる。

■脅迫行為と向き合いなさい

(BDPの国民投票のボイコット運動を指して)我々に民主主義の何たるかを説こうとする者は、自分たちが9月12日に国民の投票権をいかに脅迫し奪い取ったか、まずこれと向き合うべきだ。南東部でNGOや作家に対して行なった脅迫行為と向き合うべきだ。この国は主のいない国ではなく、国民の状況は絶望的ではない。誰であれこの土地で隠れて工作することは認めない。再び手を組んで政治を操ろうというテロ組織とその支援組織の企みを、我々は放っておかない。ディヤルバクルで会議が行なわれている。本来なら注目されないこの草案が、何日ものあいだ長々と紙面やテレビ画面を賑わせている。この上なく虚偽で悪意ある形で噂になっている。国会で憲法改正は完了した、明日にでもトルコは異なる行政構造や政治形態をとるようになるだろう、とあなた方は思っているかもしれない。これは危険なシナリオだ。自治制の議論は、民主化や、トルコの民主主義の前進を妨げる醜い陰謀である。

■クルチダルオール「誇りに思う」

ケマル・クルチダルオール共和人民党(CHP)党首は、エルドアン首相の演説に対し、「首相がCHPを批判するために1974年まで遡ったことは、CHPを批判するのにどんなに苦労したかを表している」と述べた。クルチダルオールCHP党首は挑発されたのになぜ発言しなかったのかという点について「私をHıdırと呼んでくれたことを嬉しく思う。これを挑発だと見なしたら、全てのHıdırたちを貶めてしまうことになる」と話した。
クルチダルオールCHP党首は、予算審議の終了後、新聞記者の質問に答え、エルドアン首相の予算についての演説は表面的なものだと感じたと述べた。

■バフチェリ「過ちからの回帰」

デヴレト・バフチェリ民族主義者行動党(MHP)党首は、エルドアン首相の演説に対し次のようにコメントした。
「今回の首相の演説は、2005年8月12日にディヤルバクルで行なったレジェプ・タイイプ・エルドアン氏の演説に対し、2010年12月26日にアンカラからレジェプ・タイイプ・エルドアン首相として行った返答である。こうして考えると、憲法の最初の3項の延長線上において、今日までの過ちからの回帰、現実の直視、憲法への忠誠、テロとの戦いにおいて国民に与えた約束として、私は(エルドアン首相の演説を)受け入れ、その意味では評価している」

■バフチェリ党首とクルチダルオール党首と握手

エルドアン首相は、予算案の承認後、野党の議席に歩み寄り、まずクルチダルオールCHP党首と、次にデヴレト・バフチェリMHP党首と握手し、彼らに感謝した。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:21068 )