司法改革を妨げるもの―ザマン紙の見解
2011年01月11日付 Zaman 紙

刑事裁判法第102条に基づく(注)(収監者の)釈放は、司法改革問題を改めて議題にあげることとなった。今日までの司法改革に対する努力は、最高裁判所、行政裁判所、裁判官・検察官協会(YARSAV)、及び共和人民党(CHP)により度々妨害されてきた。CHPは、「党派化と司法の分断である」として政府を非難し、最高裁判所は、「(司法改革により)混乱が生じる」として司法改革に反対してきた。

(注:2010年12月31日施行の刑事裁判法第102条における拘束期間改正に伴い、上告裁判中、あるいは長期に及ぶ裁判中の被疑者の最大拘束期間が3年に短縮された。現在5年以上拘束されている被疑者の釈放が行われている)

最高裁判所の書庫に眠っている100万以上の書類から生み出される結果(がどのようなものになるか)は、何年も前から明らかだった。公正発展党(AKP)政権時代に、司法の「業務量」を減らすために準備された3ステップは中途に終わった。行政裁判所は、裁判官及び検察官の採用面接をカメラで記録するようになった。過去4年間のうち5回にわたって執行停止を決定し、裁判官・検察官の空席を埋める道も塞いだ。裁判の一部を最高裁判所に移管せずに、(設置予定の)地方司法裁判所(上訴裁判所)で行うことは、最高裁判所の業務を軽減させる重要な改革と考えられていた。高等裁判所は、(2010年9月12日の)国民投票以前は、最高裁判所及び行政裁判所の法廷数増加を望んでいたが、現在は(法廷数の増加に)反対しており、地方司法裁判所が始動することを望んでいる。法律によれば、地方司法裁判所は2007年に設置されるはずだった。

法務省は、法律の可決後、地方司法裁判所の設置に向けて動き出した。このために裁判官・検察官高等委員会(HSYK)に提案を行った。HSYKは、2007年5月18日にアンカラ、イズミル、イスタンブル、コンヤ、アダナ、エルズルム、ディヤルバクル、ブルサ、サムスンに設置予定の地方司法裁判所は、裁判官・検察官の人員増加後に、設立することが適当であると判断した。

地方司法裁判所の設置が待たれる一方、最高裁判所は異なった反応を示し、全部で6つの法廷設立を要求した。その後、最高裁判所と行政裁判所は、共同で(地方司法裁判所の設立を)妨害する側に回った。2008年に行政裁判所では、地方司法裁判所法の準備に向けて委員会が設置された。行政裁判所は、組織として見解がまとまらなかったとして、会議を延期してきた。

地方司法裁判所の設置過程のにおいて、興味深い議論が行われた。当時の最高裁判所長官であったオスマン・アルスラン氏は、2007年の司法年開始スピーチで、(司法の)基本制度を整備する必要性を述べた。アルスラン氏は、(地方司法)裁判所が2010年6月1日に業務を開始するよう提案した。最高裁判所及び行政裁判所の法廷数増加の反対派として知られていた最高裁判所長官のハサン・ゲルチェケル氏も、現在は擁護しているが、(2007年)当時は地方裁判所設置に反対していた。ゲルチェケル長官は、「足りない部分は後から埋め合わせればよいというような考えは、司法に混乱を生じさせる原因になることを忘れてはなりません」と述べていた。

■「地方司法裁判所は解決とならない」と述べていたが

(2010年12月31日に施行された刑事裁判法第102条の改正施行による長期収監者の)最近の釈放に対して最も厳しい反応を示すCHPは、地方司法裁判所に関して思いもよらない懸念を述べた。ニーデ県選出議員で、高等規律委員会のオルハン・エラスラン委員長は、「地方司法裁判所の設置は、国の一体性を壊してしまうことになる」と発言するのであった。CHPのイズミル県選出のアフメト・エルスィン議員は、「地方司法裁判所の設置は、司法の業務軽減にはつながらないでしょう。逆に、今日のトルコで連邦制や自治制の議論に付け込もうとする人々に好機を与えることとなるでしょう」と述べた。コンヤ県選出のアッティラ・カルト議員の発言は、政府を標的にしていた。「地方司法裁判所が政治問題化することが問題なのです。このため、地方司法裁判所が機能するには、時間がかかるでしょう」

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:21160 )