これが新オスマン文書館―TOKİによる建設順調、今年末開館へ
2011年01月27日付 Hurriyet 紙


イスタンブルに4つあるオスマン文書館を一箇所にまとめようと、首相府の集合住宅局(TOKİ)が建設を進めている国立文書館施設は、今年末にもサービスを開始する予定だ。(オスマン帝国期においては国家文書が保存されていた場所を、『Hazine-i evrak(文書館)』と呼んでいた。)

TOKİのエルドアン・バイラクタル局長は、1億6500万リラ(約84億1500万円)を投資した建設計画が完了すれば、「38カ国の「記憶」が安全に保管されるだろう」と語った。ストラスブールで開かれた欧州評議会議員会議 (AKPM)総会でのアブドゥッラー・ギュル大統領による「ジェノサイド(集団殺戮)があったとおっしゃるのなら、共同で調査委員会を設立しましょう、そしてお互いに文書を公開しましょう」という提案でも言及されたオスマン文書群は、今後、TOKİによって建設された国立文書館施設で保存されることになる。国内外の研究者がさまざまな情報に容易にアクセスできるよう設計された文書館は、TOKİの尽力によって公式発表の日付より一年早く完成予定で、年末には開館する。

TOKİと国立文書総局の協力で、キャウトハーネで建設が始められていた文書館の完成によって、オスマン文書群が一箇所に集められることになる。かつてトルコの領土だった地域で起きている全ての争いについて言及される際にも、根拠として提示されるオスマン文書群は、TOKİによって建設された新しい建物で、全く損傷を受けることなく数千年もの間の保存が可能となる。

■ 核兵器でさえ影響なし

国立文書館施設に関する情報を提供したTOKİのエルドアン・バイラクタル局長は、9ヘクタール(9万㎡)の敷地に建設中の建物については、現代的な文書館に必要なことを隅々まで検討したと述べた。

バイラクタル局長は、ジェンデレ谷の後方にある岩場を削り取ってつくられた地域で建設中の建物は、地震や洪水をはじめとしてどんな自然災害にも耐えられるよう設計されていると語り、保存される文書は、核兵器、生物兵器、そして化学兵器からも、最良の方法で守られると述べた。

また局長は、火事発生時には、文書館の文書に害を与えないガス状の圧縮フォームを使用予定だと語り、次のように述べた:

「文書館には耐火ガラスを使用する予定だ。外装にはオスマン帝国期建築を想起させる書道作品が用いられる。この国立文書館施設には、定員350人の閲覧スペース、文書関係部署、研究所、図書館、博物館、デジタル化推進室、損傷が見られる作品を直す修復室、広報室、定員2000人の会議ホール、社会施設、管理棟、会議室、展示スペース、宿泊施設、利用者用駐車スペース等を設置予定だ。」
バイラクタル局長は、オスマン文書群の重要性を大変よく理解していると語り、新しい文書館では、文書が保管される棚から空調や、湿度を一定に保つシステム、また盗難対策システムに至るまで、細部にまで検討が加えられており、1億6500万リラが投じられたこの計画が完了すれば、38カ国の「記憶」が安全に保管されると述べた。


■ 1億もの文書が集結

世界で最も大きな歴史文書館となるオスマン文書館には、約37万点の台帳、約1億の文書が所蔵される。かつてオスマン朝の統治地域であった、約40ヶ国の歴史に関する情報や文書が、オスマン文書館に残っているため、これらの国々の歴史家たちは自国の歴史を記すためにオスマン文書館に足を運んでいる。そのためオスマン文書館は国外の研究者や歴史家によって、とてもよく知られている文書館でもある。

文書館施設内に設けられる博物館には、イギリスやアメリカの文書館でよくあるように、特に有名な史料の見本が展示される。市民、研究者、学生などは博物館にてヨーロッパにおける初の人権宣言の一つである『征服王(メフメト2世)のボスニア勅令』や、『カルロヴィッツ条約』、『バルタリマヌ通商条約(トルコ=イギリス通商条約)』など他国との間で結ばれた、学生が歴史の授業で学んだ諸条約の一部も見ることができるようになる。

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( 翻訳者:大久保はるか )
( 記事ID:21277 )