「サイゴン」探訪
2011年01月30日付 Hurriyet 紙

「ベイジン」ではなく「ペキン」と言うと、中国人はひどく苛立つが、ベトナムではそうではない。「ホーチミン・シティ」ではなく「サイゴン」と言っても怒ったりするような人はいない。むしろ看板の大半には「サイゴン」と表記されている。

7年ぶりにサイゴンにいる。あの頃とは違って、我々の飛行機、つまりトルコ航空(THY)機に乗ってきた。

アジアの天国・サイゴンは今やとても近くなった。税金を入れても600~650ユーロで購入できる航空券や一泊35~125ドルの豪華なホテル、そして際限なく可能な買い物のおかげでサイゴンは天国になった。しかし一番重要なのは、喧嘩をせず、何事に対しても最後まで怒らず、礼儀正しく、愛に溢れた人々…彼らがサイゴンを別世界にしているのだ。蜂のように錯綜する何千台ものバイクのすき間でさえも穏やかにいられるのだ。

たった15ドルで90分のマッサージを受けたり、有名ブランドの鞄の模造品を購入できる。さらに、より高価な革製でも20ドルである。料理も信じられないほど安価で、きちんとしていてとても美味しくて…

様々な場所にある壊れたアメリカのヘリコプターや、死をばらまいた飛行機でさえ驚かせることはない。まるで戦争などなかったかのように。彼らの顔からは苦しみは消えている。地面の下の戦争の証、つまり毛細血管のように張り巡らされたトンネルは、現在観光スポットとなっている…戦争の遺物はまるで千年前の遺跡であるかのようだ。戦争証跡博物館といった建物がなければ、ベトナムで大いなる悲劇が起こったことなど信じられない。

彼らは50~60ドルの稼ぎでも生活していけるのだ。しかし、普通の広さの事務所の家賃は3000ドル以上である。家賃は考えられないほど高いのだ。

ベトナムでの幸福な生活は田舎の方にある。田園の片隅に、バナナ園の中に…

■週4便

今現在の週4便がバンコクから就航されている。アタテュルク国際空港からA340「アダナ」機が運航している。我々の道先案内人であるトルコ航空広報アドバイザーのアリ・ゲンチ氏は、素晴らしい企画を考えてくれた。ヒュリエット紙インターネット版責任者のファーティ・チェキルゲ氏、雑誌編集長のセリム・アクチン氏、gecce.comの管理者のケナン・エルチェティンギョズ氏、NTVディレクターのオメル・オズギュネル氏といった古くからの友人と、今一緒にいる。

我々が搭乗した飛行機のパイロットはアティッラ・バチクル、アリ・ルヒ・ギュルカン、そしてイルケル・アフメト・オズデミル。パーサーのファトマ・アク、THYを利用するたびに偶然にも何度も一緒になった美しいチーフキャビン・アテンダントのメネキシェ・デレリオール、機内コックのキュルシャド・ビュルビュル、そしてその他のキャビンアテンダント達は我々に素晴らしい空の旅を提供してくれる。8時間36分後にはバンコクにいるのだ。ここで45分間待つ。

任務を終えたフライトチームは、今度はジャン・アルトゥンクム、デミトロス・コトサキス、オズギュル・エルトゥルクといったパイロットとパーサーのトゥルガイ・タシュテペをリーダーとするフライトチームと交代する。デミルトロスは25年間ギリシャ・オリンピック航空で働き、この夏8月からトルコ航空で働き始めた。再び仕事に就けたこと、そしてトルコ航空で働けることをとても幸せに思っている。

バンコクからサイゴンまでは1時間10分かかる。ホーチミン・タンソンンニャット国際空港で降りる。アメリカ軍が作らせた小要塞を目にすると、ベトナム戦争当時にタイムスリップしたような気がする。しかしこうしたノスタルジーは日本人が3年前に完成させた近代的なターミナルまでくると消えてしまう。

イスタンブルは寒かったが、ここは気温が32度もあり湿度も高い。トルコ航空のベトナム事務所代表のアクン・チャルクチュ氏、同営業責任者のメフメト・アカイ氏、そして同空港責任者のテムチン・ペケルが出迎えてくれる。昨年4月にベトナムに進出したトルコ航空チームは航空機すべてを、愛情をもって出迎える。

メフメト・アカイはベトナム勤務が決まると結婚のため、家族と一緒に相手の家に挨拶に行ったそうだ。相手の母親に「アジア側に住むのでしょ?」と訊かれると、「はい、アジア側ですが、ベトナムです」と答えたらしい。

■貨物は成長している

最初の就航は2010年12月29日。貨物は短期間で急速に成長した。常に貨物室はいっぱいである。乗客も増えている。トルコ航空は既にバンコク-サイゴン間でも航空券を販売している。目標は1、2年の間にこの路線に直行便を就航させ、この地域で支配権を得ることだ。

帰りは、ボーイング777-300ER機でウォルカン・アジャル、ステファン・プラムベルゲー、ジュネート・ギュネシ各パイロット、パーサーのゼイネップ・シェラレ・アルトゥンバイ、そしてクルーらとともにバンコクまで戻る。バンコクでは蘭の花を購入する。

バンコクでウォルカン・デミリョズ、マキシモ・メンニティ、マリオ・R・ブドラ各パイロット、パーサーのブラク・シェンギュンのフライトチームが任務を引き継ぐ。出発の際向かい風であったが、我々を乗せた777機は、9時間42分でイスタンブル・アタティルク国際空港に到着した。そして、我々は、サイゴンはもはやアジアの反対側にある隣人であることを理解するのである…

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( 翻訳者:百合野愛 )
( 記事ID:21301 )