エルドアン首相、ムバーラク大統領へ呼びかけ「民衆の声に耳を傾けよ」
2011年02月01日付 Radikal 紙

エルドアン首相は、エジプトで8日間続き本日(2月1日)ピークに達した騒乱について初めて語った。

チュニジアやエジプトでの抗議運動を間近で追い、アラブの民衆を直接取材しているアル・ジャズィーラ・テレビは、レジェプ・タイイプ・エルドアンが本日トルコ大国民議会(TBMM)の公正発展党会派会合で行った演説を生放送した。

演説でエルドアン首相は、エジプトの動向に言及し、ホスニー・ムバーラク大統領に対して改革を呼びかけたが、その演説をアル・ジャズィーラ・テレビは、冒頭からアラビア語同時通訳で放映した。
エルドアン首相は議会での会派会合で同党所属議員に向けて演説を行い、あなた(ムバーラク大統領)にいくつか勧めたいことがあると述べ、エジプトのホスニー・ムバーラク大統領に語りかけた。以下がエルドアン首相の演説の骨子である。

「我々人間は、有限な存在であり、永久的なものではない。我々は皆死に、それまでの行いのために審判を受ける。我々皆が向かう場所は2平方メートルの墓穴である。我々は儚い存在である。この世に残した善行は、天空に心地よい音を響かせる。敬意を持って追悼されることは、慈悲でもって追悼されることである。

我々は民衆のためにいる。民衆のために仕事を行っている。だからといって、明日我々が死ぬときに導師がやってきて次のようには言わない。『大統領や国務大臣のためにアーメン』とは言わない。『ある男のために』、『ある女のために』と言うだけだ。

あなたとともに死出の旅を行くのは(死体の)覆いの布だけ。ならばその布の価値を知ろう。民衆や良心の声を聞きなさい。民衆の叫び声や人々の求めに耳を傾けなさい。変革の求めを受け入れなさい。搾取する者たちや、汚れた権力、闇の力がでてくる前に、あなたが一歩を踏み出しなさい。民衆が満足するよう対策をとりなさい。自由への要求を、もはや無視することはできない。何ヶ月も続く選択などありえない。(そんなことは)我々なら24時間で終わらせる。

この出来事がエジプトにとってつらい出来事とならぬことを望む。エジプトは歴史や文化の豊かな国だ。エジプトの同胞には、武器は持つな、といいたい。歴史や文化を守らなければならない。自由を求めるためだけに行動してほしい。自由は施しとして与えられるものではなく、権利としてもっているものだ。エジプトで一人の命が失われることは、(我々にとって)我々トルコ人の命が失われることに等しい。エジプトの全ての人々が満足する変革をともに背負うことは、我々の最大の望みである。」

■演説はシリアのメディアでも放映

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相が公正発展党会派会合で行い、エジプトでの事件に時間を割いた演説は、シリアのメディアでも取り上げられた。

シリアの国営通信SANAは、演説に関する報道で、エルドアン首相の「トルコは圧制に反対し、抑圧されたものの側にいる」という発言を取り上げ、「トルコが隣国を気遣い、それらのために安定、繁栄や自由を望み、このために努力している」と語ったと伝えた。

この報道は、エルドアン首相がエジプトでの出来事がなるべく早く解決されることを望んでいると伝え、次のように報じた。

「トルコの首相は、地域の人々の安定を望まない者が、その目的に到達することはできないと述べた。エルドアン首相はエジプトにおける問題がなるべく早く終結されるよう望むが、これはエジプトの人々の望みに答えることによってのみ達成されると語った。」

Champressというインターネットサイトはこの演説を、「トルコのレジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、エジプトのホスニー・ムバーラク大統領に民衆の叫びに耳を傾け、新たな改革の時代を迎え入れるよう警告した」との見出しで伝えた。

同記事では「トルコがついにエジプト危機に関して沈黙を破った。エルドアン首相は公正発展党会派の会合で行った演説でこの問題に重点を置いた」と伝えられた。

エルドアン首相がホスニー・ムバーラク大統領に対して「安全保障や安定を構築するためには民衆の望みを聞かざるを得ない」と訴える一方、デモ隊に対しては「皆は自由のために闘う権利を持っているが、暴力はいけない」と述べたことが伝えられた。

同記事では、トルコがイスラーム世界における唯一の民主国家であると伝えられた。

エルドアン首相の演説は、シリアで放送されるテレビチャンネルの定時ニュースでも取り上げられた。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:21316 )