社説:ヨルダンの改革は約束されるか?
2011年02月01日付 al-Quds al-Arabi 紙

2011年02月1日付『クドゥス・アラビー』紙19面(イギリス)

ヨルダンのアブドゥッラー国王は、リファーイー内閣の罷免を求める国民の要請に応じた。同内閣の下では、生活必需品の価格が高騰し、失業率は上昇、また議会選挙は公正さに欠け、国民のさまざまな階層や政治的欲求を真に反映した形で実施されなかった。

新たに任命されたバヒート首相は、誰一人として排除することなく国民のあらゆる勢力と包括的な対話を行うことを優先すると約束した。また、イスラーム主義勢力の参加も示唆しながら、強力で実行力のある諸政党による政治を目指すとも語った。しかし、当のイスラーム主義者らは、同首相の任命ならびに同首相との協力を拒否した。不正を理由に先般の議会選挙をボイコットした反体制派のイスラーム勢力は、「バヒート首相は、新たな移行期において行政を取り仕切り、ヨルダンが苦しんでいる危機を乗り越える上で適切な人物ではない」と述べた。

同国最大の政治勢力の一つである同組織の立場は、新政権の任務が極めて困難なものとなり、抗議行動は今後も相変わらず続けられるかもしれないことを意味している。

アブドゥッラー国王は、「新政権の使命は、同国の真の政治改革に着手することである」と述べたものの、その改革の性質や方途、および最大の特徴について具体的に触れなかった。またこうした方向性は、内閣任命の際に行われてきたほとんどの演説の中で国の基本路線として示されてきたが、どの政権もそれを政策として実行し成果を示したことはなかった。むしろ実際には演説内容とは正反対の政策がなされ、国民同士の差別化を図る措置がとられたり、数千人の市民が国籍や身分証明書番号をいかなる説得力のある理由もなしに剥奪されたこともあった。

ヨルダン政府高官は2日前に次のように語った。「パレスチナ系ヨルダン人の実業家数百名は、ヨルダンへ帰国して同国に投資することを恐れるようになった。なぜなら、国籍を剥奪されたり、クウェートやその他一部の湾岸諸国における『ビドゥーン』(※訳注:withoutの意)と呼ばれるいかなる権利も与えられない人々と同じ状況に陥ることを心配しているからである」。

ヨルダンには数多くの問題がある。しかしその最たるものは、治安機関が国民の日常生活の細かいところにまで幅をきかせているという問題である。それ故、靴磨きの道具箱を路上に置くことですら、当局から事前に許可を得なければならなくなった。この状況は、個々人の率先的な取り組み、創造的な活動、投資や労働の機会拡大、および経済的自由を奨励してきた同国の開放的な特質とは矛盾している。

求められている対話においては、透明性と率直さが確保されなければならない。過去のすべての時代、国の経済を落ち込ませて現在の政治的閉塞感をもたらした汚点だらけの政策を包括的に見直さなければならない。

寛容と参加に基づく国民的利益の実現。これこそが溜まりに溜まった国民の不満を解消するために是が非でも必要とされている。こうした「鬱血状態」は治安を脅かすような混乱をもたらしかねず、その結果何が引き起こされうるのか予想し難い。

 中東地域は現在、包括的な変化を迎えようとしている。この変化を導くのは、「民衆蜂起」、否、むしろいかなる形の抑圧や恣意的権力、自由の剥奪および選挙の不正を拒否する「民衆革命」である。それ故に、国民のあらゆる要求に応えない改革はすべて拒絶される運命にあるだろうし、それ以上に、既に赤々と燃える国民の怒りに対して油を注ぐことになるかもしれない。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

Tweet

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:岡崎弘樹 )
( 記事ID:21328 )