大使交代―「新経済対策」立案のアクチェ氏、駐キプロス・トルコ大使に就任
2011年02月10日付 Milliyet 紙

北キプロスでの抗議デモが発端となってはじまったKKTC(北キプロス・トルコ共和国)とトルコ政府との間の緊張関係に、新展開。大使が解任。後任には、北キプロス・トルコ系住民の抗議活動の原因となっている財政改革を主導した官僚、KKTC技術委員会ハリル・イブラヒム・アクチャ委員長が任命された。アクチャ委員長は、トルコで国家計画庁政務次官時代、KKTC担当に任命され、北キプロスの経済を軌道に乗せるため財政改革を率いた。(この改革は)最近、KKTCで特に労働組合の大反発を招いている。

■ 舞台裏

ある外交筋によると、「目的は、KKTCにおける支援面の一本化」らしいが、キプロス島での雰囲気はちがったものである。

KKTCの経済対策に対して徐々に高まった反発と、度のすぎた抗議ミーティング・・・。その集会での横断幕やスローガンを発端に始まった議論の結果、レフコシャに変化がおきた。

トルコのレフコシャ(北キプロス)大使館で大使交代が行われたのである。カヤ・トゥルクメン大使の職を、トルコ共和国技術委員会ハリル・イブラヒム・アクチャ委員長が受け継いだ。

トルコから北キプロスに行われている支援は、定期的に開催される北キプロスとトルコの技術委員会の会議で決定されている。ハリル・イブラヒム・アクチャ委員長は、8年間この委員会でトルコ側の代表職に就いていた

しかし、アンカラ側は、大使交代に余計な意味を持たせることを防ごうとしている。最初の情報では、「レフコシャ、大使解任」という形だった。しばらくして外交筋から、「解任ではなく、大使交代だ。我々の目的は、キプロスへの支援を一本化してすすめるということだ」との説明が届いた。

しかし、キプロスでの雰囲気はそうではない。アンカラが今回の抗議活動を非常に不愉快に思っていることは、秘密ではない。「責任者が罰せられるように」という(トルコ側の)期待が、KKTC政府へ、様々なルートを通じて伝達された。

■「キプロスの人々を罰せよ」と言ったか?

キプロスでの報道によると、様々なルートのうちのひとつは、KKTCのデルヴィシュ・エルオール大統領とトルコ技術委員会ハリル・イブラヒム・アクチャ委員長の間で行われた会合だった。この会合でアクチャ委員長がエルオール大統領に「キプロスの人たちを罰せよ」と言ったと報道され、後にアクチャ委員長は、レヴェント・オザダム新聞記者に次の訂正を送付した。

「親愛なる大統領は、『判断ミスから経済を悪化させたのは前政権で、(その状態で)我々は引き継いだ。それなのに、トルコは、我々現政権に対し(無理な)経済対策を求めている』と語った。これに対し、私は『もし判断ミスの代償を払うのであれば、この代償は、トルコ共和国の国民でなく、KKTCの国民が自分たちで支払わなくてはならない。実際ここで政権を選んでいるのはKKTCの国民に他ならない』と述べたのである。」

現在、キプロス島では、今回の会合に関する詳細をメディアに漏らしたのは、カヤ・トゥルクメン大使と見られている。大使館での任務交代は、このために行わなわれたというのがもっぱらの評判だ。

■エルオール大統領:「関係は壊れない」

KKTCデルヴィシュ・エルオール大統領は、トルコとの関係が崩れる可能性はないと述べ、「1月28日の集会後、両国間で行われているメッセージや主張の応酬が早急に終了することが必要だ」と語った。

エルオール大統領は、自分に課せられていることはこの状況の鎮静化であり、実際に状況の打開に努めていること、さらにはこの論争が、(キプロス統合の)交渉のテーブルにおいて、こちら側の立場を弱めることになる、と語った。

エルオール大統領は、外国報道連合委員長や運営委員会の委員も出席した会合で、母国(トルコ)-子国(北キプロス)の関係が緊密なものでなくてはならない、まさにこの時期に、「このような活動を通して突然、冷や水があびせ、非難合戦によって、まるで関係決裂を望むかのような妄想にとりつかれた人々がいる」と語り、しかし母国との関係は壊せないだろうと述べた。

エルオール大統領は、緊張高まりは、誰にとっても利益をもたらさないであろうと語った。

エルオール大統領は、会合は持続しており、ギリシャ側が非妥協的な態度を続けているこの時期にKKTCで、協調と協力が乱れること、また、一部の人々が異なる考えで行動することが、自分たちの交渉での立場を弱めると語り、実際、こうした反響を、(キプロス統合の)交渉のテーブルやギリシャ側キプロスの報道でみることができると述べた。

■ アテナは、推移を注視

ギリシャ外務省グリゴルス・デラヴェクラス報道官は、アンカラ-レフコシャ間の経過を注視しており、KKTCで開かれた集会と、トルコ海軍のエーゲ海航行に関し、(会見で)言及、コメントした。

KKTCでの集会に関する質問を受けた報道官は、「占領」という言葉を繰り返し、「このデモは、占領地区にある現実を反映しており、長い間続いている占領の産物である」とのべた。

デラヴェクラス報道官は、アテナがKKTCの経過を「注意深く見守っている」と述べ、「トルコがキプロスの喉元をつかむのをやめ、そして全キプロスの住民が欧州連合の恩恵を受けるためには、キプロスのトルコ・サイドが、(キプロス統合)交渉に建設的態度で臨む」ことが必要だと語った。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:大久保はるか )
( 記事ID:21442 )