イスラエル:ムバーラク辞任による動揺と条約への懸念
2011年02月13日付 Al-Ahram 紙

■イスラエルはムバーラク辞任に打撃を受け両国関係と条約を懸念している

2011年2月13日『アル=アハラーム』

【テルアビブ:ハーリド・アスマーイ】

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、政府関係者たちに向け、ムバーラク大統領辞任後のエジプトの現状に関連するいかなるコメントの公表も差し控えるようにという指示を出した。イスラエル高官多数が、ムバーラク辞任とそのエジプト・イスラエル関係への影響を懸念する発言をしたためとみられる。

クネセット[イスラエル国会]議員ベンヤミン・ビン・アリア―ジルは、イスラエルは地域で最大の同盟国の1つと、同人の表現によれば「長年地域の安定を維持してきた」最大の指導者の1人を失ったと述べた。

同議員は、イスラエルTVのチャンネル10へのコメントで、60年間国のために多くを犠牲にした後ムバーラクが望んだのは尊厳ある退場だけだったが、成功を収め目的を達成したのは街頭であったと述べた。

さらに、ウマル・スライマーンをエジプトの次期指導者とみなしたが、同議員の見方によれば、問題は、ムバーラクの弟子であるスライマーンではムバーラクと同じだということだ。アリアージル議員は、スライマーンが統制権を委任されている状況にも関わらず、エジプトの人々は彼を受け入れないであろう、彼であれば、イスラエルとの和平協定を維持し、パレスチナ・イスラエル協議やガザ問題について実質的な貢献ができるのだがと述べた。

一方、元駐エジプト・イスラエル大使ザーフィー・マージールは、昨日『イディオット・アハロノート』紙への談話で、ドラマチックなムバーラク辞任のニュースを聞いた直後、悲観的な考えを示し、終わりだ、エジプトは最早強国ではなく地域における地位を完全に失った、トルコ、イランが浮上してくる、全く異なる世界になる、と述べた。また、ムバーラクの存在によって中東地域との関係は絶えることが無かったが、いま我々は非常に困難な状況にあると指摘した。

また、イスラエルは不安を招く数々の理由を抱えているとし、エジプトでの新政府形成にはある程度時間が必要でこのプロセスには1年ないしは2、3年の期間を要することが予測されるとした。

マージール元大使の発言によると、この先数年の二国間関係の成り行きは予測が難しい。ハアレツ紙での最新談話でマージールは、ムバーラク辞任による二国間の平和条約への影響をイスラエルが恐れていることを明らかにした。また彼は国軍総司令官で国防相であるムハンマド・フサイン・タンターウィー将軍を賞賛したが、エジプトでの戦略的情勢は承知していないとし、イスラエルとの和平合意をエジプト軍が守ることが好ましいが、現時点では予測不可能な展開もあり得ると述べた。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:尾崎仁美 )
( 記事ID:21476 )