今回の小説は、1970年代にロンドンへ移住したあるトルコ人一家について語っている。
新しい小説を書くためロンドンに滞在中のエリフ・シャファックは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSEにて会議を開いた。今回で第3回目となる「思考のための領域」と名付けられた文学フェスティバル内での講演は、「境界を超える作家:争いの時代における共感」というタイトルを掲げている。
LSEの現代トルコ研究部門長であるシェヴケト・パムク教授がモデレーターを務め、またガランティ銀行のスポンサーにより実現したこの会議にて400人に向けて講演を行ったシャファックは、作家活動を始めた経緯や現在の本の準備段階、そして登場人物たちの作り方について語った。
夫と別れ(家計のために)働く母親と過ごしたつまらない幼少期の日々の中で、夢の中で作り上げられた人格を日記に描くことで小説家としての活動を始めたと語るシャファックは、今でも日記をつけているのかという質問に対し、散漫で三日坊主な性格のため日記を(毎日)つけることができないと答えた。
毎回本を書き始める準備段階にとても力を入れ、書こうとしている時代について説明する多くの本を読むと話すシャファックは、しばしば1年近く準備期間に費やすこともあると述べた。
■書いているときはよく涙が出ます
作家にとって感情移入することの意味を強調するエリフ・シャファックは、このようにして作品と読者の間に繋がりができると付け加えた。
エリフ・シャファックはさらに、昨年9月に新しい本を執筆するためにロンドンを訪れたことや、今回の新作では1970年代にトルコからイギリスへ移住したある家族のストーリーを描くつもりであること、そしてこの本のテーマはとても悲しみに満ちており、書きながら頻繁に涙を流していると話した。
加えてシャファックは、トルコでは概して男性が本を書き、女性が本を読んでいること、そして男性が本を読むことを促進しているのもまた女性であると言葉を続けた。
執筆に際し、六つのテーマを重要視していると話すシャファックは、それらを共感(感情移入)、マクロではなくミクロであるものの観察、ユーモア(風刺)、流動性、移住、そして結び付けること、と列挙した。
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:21579 )