リビア進出トルコ企業、株価下落
2011年02月23日付 Milliyet 紙

2月17日以来、株式市場は1.9%後退し、北アフリカ諸国に進出している企業の株価は6.7%下落した。5つの企業の市場価値は、4日間で9億8,100万トルコリラ(約510億円)の価値を失った。

中東諸国の情勢緊迫により株式市場での緊張が高まっている。この動きはトルコ経済に影響を与えるのか。株式市場はどのように動くのか。こうした問いが聞こえ始めた。
最新の動きを見ると、短期間では、北アフリカ諸国に進出した企業だけではなく、外資系大企業も影響を受けていることが分かる。イスタンブル証券取引所(IMKB)で大きなウェイトを占める銀行から資金の流出が見られる。しかし、実際に影響を受けているのは建設会社である。

■リラ安、1ドル=1.6リラは危機的水準

リビアと関係のあるアクフェン・ホールディング社(Akfen Holding)、テクフェン・ホールディング社(Tekfen Holding)、エンカ建設社(Enka İnşaat)、アネル電工(Anel Elektrik)、 TAV空港会社(TAV Havalimanları)の市場価値は2月17~22日の間で9億8,100万リラ(約510億円)下落した。2月17日に198億リラ(約1兆296億円)であった5つの企業の市場価値は、2月22日には188億リラ(約9,776億円)に下落した。株価では3~9.8%の間で損失が見られた。1米ドル=1.6リラ(約83円)は危機的水準である。この水準に対し、売りのプレッシャーが起こりうる。しかし、現在様々なリスクがあり、米ドル投資家は一定期間様子見を選択するであろう。混乱の中、信頼できる資金の行き先を探すとなると、それは米ドル買いとなりうる。しかし、この買いは制限されるだろう。より多くのトレーダーたちには、儲けるチャンスとなりうる。

■トルコ経済に影響なし

JPモルガンはこの動きを分析し、リビアの情勢がトルコ全体ではなく、トルコの建設業界にリスクを増大させつつあると述べた。JPモルガンは、リビアで拡大しつつある政情不安の中で、トルコとリビアの貿易関係を分析し、2国間の直接的な貿易関係はそれほど大きな規模ではないことを強調した。
しかしながら、JPモルガンは、トルコ企業にとってリビアはロシアに次いで2番目に大きな市場であるとし、トルコ外務省発表の最新のデータでは、リビアには115のトルコ企業、2万5,000人の社員が働いているとしている。トルコ企業がリビア政府から請け負った建設プロジェクトは250億ドルに達すると説明するJPモルガンは、(トルコ企業は)2010年だけをみても26億ドルの新プロジェクトを獲得していることを強調した。
JPモルガンは、トルコの年間平均建設工事収入が10億ドルであることを鑑みると、リビア情勢は短期間では、トルコ経済の対外均衡への影響は見込まれないが、トルコの建設会社にとってはリスクとなると分析した。

■トルコへの観光客増大の可能性

オカン大学金融リスク研究応用センターは、北アフリカの政情不安は、トルコの観光収入に良い影響をもたらしうると述べた。行われた説明は次のとおり。
「最近発表された統計は、インフレ問題が経常赤字問題にとって替わられたことを裏付けている。このため経常収支バランスにおいて重要なシェアを占める観光収入をさらに追求しなければならない。最重要課題となっている北アフリカ諸国のうち、特にリビア、チュニジア、エジプトでの政情不安の結果、トルコにより多くの観光客を呼び込めることが期待できる」。

■北アフリカ諸国進出のトルコ企業の株価への影響

アクフェン・ホールディング社:TAV空港会社の資本の26.12%を所有している。リビアで直接引き受けているプロジェクトはない。このためリビア情勢によるリスクはみられない。

アネル・ホールディング社:リビアのトリポリ空港の8,970万ユーロ相当の電気工事を請け負っている。現在のところリビア情勢から損害を被るような状況にはなっていない。

エンカ建設社:アラビア半島、オマーン、ジブチ、リビアにて継続中の建設プロジェクトがある。会社の総売上高のうち、北アフリカ諸国に対する投資分の占める割合は低い。このため、リビア情勢は現段階でエンカ社にとって深刻なリスクとはなっていない。

TAV空港会社:チュニジアのモナストゥル空港、エンフィドハ空港を運営している。カタール、オマーン、リビアでトリポリ・セブハ計画を請け負っているTAV建設社の資本の内、TAV空港の持ち分はない。このため会社が影響を受けるような深刻な状態にはない。

テクフェン・ホールディング社:関連会社のテクフェン建設社は、リビアで大河川プロジェクトを請け負っている。暴動発生時に建設現場から自動車や資材が略奪され、建設工事を停止した。テクフェン社は、政情不安の見られた他の国々でのプロジェクトはなく、リビア情勢から最も影響を受けた企業となった。

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:21603 )