エルドアン首相、サウジアラビアで講演「新オスマン主義は認めない」
2011年03月20日付 Radikal 紙
首相はサウジアラビアでリビアへメッセージを送った。「われわれは地中の富(鉱物)を求めているのではない。諸国の市民の側にいる。われわれは地域の平和のために努力している」
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相はサウジアラビアで開催されたジッダ経済フォーラムにて、リビアに対して行われた軍事行動に関する声明を発表した。首相の声明の要約は以下の通りである。
「リビア国民が不幸であるとき、われわれも幸福にはなれない。われわれは中東地域のすべての国家における領土の一体性と独立を尊重する。どの国に対しても密計などありえない。トルコの枢軸は明白であり、非常にオープンなものである。リビアで血の涙が流されているとき、われわれは何もできないなどと傍観してはいられない。トルコは中東の平和と安定のために、すべての立場の人々に対して対話の呼びかけを続けていく。われわれはあの国々の地中の富を求めているのではない。諸国の市民の側にいる。われわれは中東の平和のために努力している」
■新オスマン主義
「新オスマン主義だなどという批判を容認することは絶対に、断じて不可能だ。このような主張は底意ある主張である。すべての国にトルコの友好と兄弟愛を確信していただきたい。われわれの誠実な努力を不快に思う者は、この地域で血による政治解決を望む者たちである。われわれはこの地域において、ただ兄弟愛だけを主張する。兄弟愛以上の目的はなく、この先もそれは変わらない。」
■不安定な情勢はイスラエルにも影響を及ぼしている
「中東地域の不安定な情勢は、われわれに影響を及ぼす程に、イスラエルとイスラエル市民にも影響をもたらしている。イスラエル政府は暴政によりパレスチナを苦しめるだけに留まらず、自国の市民をも虐げている。一般市民を襲撃し、地中海で海賊行為を行うような政府がいる限り、中東における平和への努力が実を結ぶことは不可能だ。イスラエル政府は自国の市民たちをも苦しめることを、真っ先に止めなければならない」
■「今こそ抱き締め合う時だ」
今こそ武器を自国の市民や兄弟たちに向けるのではなく、互いに抱き締め合う時だ。今こそ血を流すのではなく、血の争いを終わらせる時だ。われわれはパレスチナのために涙を流し、パレスチナ闘争の崩壊はわれわれの心を悲しみの血で満たす。リビアで起きた数々の悲劇もまた、われわれをひどく傷つけた。(そして)イラクにおいて人々がモスクで殺害されたことは、われわれの希望を傷つけたのだ。」
■「リビアの安定化を願う」
「リビアに今後の方向性を定めるよう求めた。リビアの問題がこのような事態に至らなければどれほど良かったか。軍事介入の即時終結と、リビアの一刻も早い安定化を願っている」
■フォーラムでの質疑応答
エルドアン首相は講演後、質疑応答の時間に質問に応じ、以下のように答えた。「われわれのEUとの関係は約50年にわたる。われわれにとって現在、EUがわれわれの加盟を承認するか否かはそれほど重要ではない。私は折々こう述べている:『われわれの加盟を承認しないのならば、そうはっきり述べてください。われわれからこのような発言を期待しているのでしたら、そのようなことはしません。われわれはコペンハーゲン基準ではなくアンカラの基準を、マーストリヒト基準ではなくイスタンブルの基準を明白にし、我が道を歩み続けましょう』と。トルコはEUに加盟している多くの国々よりも、現在良い状況にある。いつの日か、EUはトルコを自ら迎え入れなければならなくなるだろう。このことも私は常に述べている。」
■「カダフィは自己矛盾している」
エルドアン首相は、「リビアに対する軍事行動が昨日(19日)から始まりました。カダフィはすぐに(リビアから)立ち去るべきでしょうか?」という質問に対し、次のように答えた。「これについては、そのような段階は既に過ぎている。カダフィは今、自己矛盾している。彼は『私は公的な職務を以てして、リビアを統治しているのではない』と言っていた。彼がするべきことは、公的職務を以てリビアを統治する人物に職務を委譲することであった。私は、彼にだけでなく彼の息子にも、市民の意思を尊重しなければならないと話した。私がこれを話したのは3月1日だ。」
■サウジアラビアと同じ感情を共有している
チュニジアとエジプトで市民が変革のために声を上げた際に、エルドアン首相はトルコとしてエジプトとチュニジアの政権に必要な警告をしたと述べた。同首相はこれらの国々の統治者に対し、非常に明快かつ誠実な形で市民の声に耳を傾け、市民の要求に注意を払うよう忠告したと述べ、次のように続けた。「リビアに対しても、これと同じ信条に従い臨んだ。われわれは『リビアで誰もかすり傷ひとつ負うことがないよう』と伝え、『リビアにおいて地に倒れたすべての命は、われわれの命だ』と言った。市民に対する爆弾攻撃には賛同しないということを、それを伝えるべき指導者に話した。ただ伝えるだけに留まらず、指導者に冷静になり、そして市民の声に耳を傾けるよう呼びかけた。(現政権と改革派の)両方の立場と会見した。われわれからの進言と警告を提示し、血が流れることも、誰かが犠牲となることもなく、リビアの今後の方向性が明らかとなるよう求めた。もしもリビアの事件がこのような事態に至る前に解決されていたならと思う。リビアが、エジプトやチュニジアのように変革のプロセスをこの種の代償を払うことなく完了していたなら。残念ながらそうはならなかった。事件はまったく望んでいなかった状況にまで至ってしまった。今後のためにも、リビアが自身の意思と自身の決断により、この先の方向性を明らかにすることを望む。もちろん兵士たちの戦いや、この軍事行動が真っ先に終止され、リビアが一刻も早く安定化することを望んでいる」。決して落胆することなく、希望を失ってもいないと話したエルドアン首相は、この中東地域で流れ続ける血と涙を、ともに止ませることができると述べた。これを達成することができると述べた同首相は、以下のように発言した。「信じてほしい。今現在とはまったく異なる絵をともに描くことはできる。(物事は)変わりうるものであり、われわれは変えることができるのだ」
サウジアラビアとトルコは、この件に関し同じ感情を持ち、細心の注意を払っていると強調したエルドアン首相は、中東地域の安定のためにともに努力し、ともに闘い、団結し続けていくと述べた。
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:21881 )