モサドがパレスチナ人技師をウクライナで拉致
2011年03月11日付 al-Quds al-Arabi紙

■西岸地区でハマースがイスラエル人の誘拐を狙っているとの警告
■イスラエル情報筋、先月ウクライナでモサドがパレスチナ人技師を拘束したと明かす

2011年03月11日付『クドゥス・アラビー』HPアラブ世界・国際面

【ラーマッラー:本紙ワリード・アウド記者】

 イスラエルの情報筋は金曜日、先月ウクライナで消息がわからなくなったパレスチナ人技師のディラール・アブー・スィースィー氏について、モサドが同氏を連れ去り、イスラエル国内の刑務所に移送したと明らかにし、イスラエル当局とウクライナとの治安協力体制を賞賛した。

 イスラエルのハアレツ紙は金曜日、この数年でウクライナとイスラエルの関係は、政治・安全保障の両面で強化されてきたが、これはウクライナとアメリカの関係強化と並行して進められたものであると指摘した。

 同日のマアリヴ紙によれば、アブー・スィースィー氏は二人の治安当局員によって、列車内で拘束された。二人は同氏に近づいて自身のIDを示してから、彼をどこか未確認の場所へ連行した。こうしたことは、拉致がウクライナ治安機関の協力の下で行われた可能性を示唆している。

 またハアレツ紙によれば、イスラエルとウクライナは数年前に、二国間協力に関する相互理解の覚書に調印した。この覚書は、両国の軍高官の相互訪問や様々な地点での情報交換を含む、両国治安機関の協力を定めている。

国連難民高等弁務官事務所は、ハマースが実効支配しているガザ地区の発電所で要職に就いているアブー・スィースィー氏がイスラエル国内で拘束されたことを確認した。パレスチナ情報筋によれば、同氏は2月19日にイスラエルに移送された。つまり、拉致からわずか一日で移送されたことになる。同氏は現在、アシュケロン刑務所内におり、イスラエル人女性弁護士が刑務所内で同氏と面会を果たした。イスラエルの複数の高官は、かん口令が出ているとして、この件へのコメントを拒否した。一方でイスラエル人権組織の担当者は、パレスチナ人技師はイスラエル南部の刑務所に、2月19日以来収監されていると語った。

アブー・スィースィー氏の妻の話では、拉致された際、彼は列車でポーランドのクラクフからウクライナの首都キエフに向かっていた。ウクライナ生まれの妻と6人の子どもを伴って、ウクライナ国籍取得を申請するために、ウクライナに行くところだったという。

ガザに住む同氏の妹スーザンさん(45歳)も、兄は先月ウクライナの列車内から連れ去られ、イスラエルのアシュケロン刑務所に送られたと語っている。

また、同氏のいとこにあたるムハンマド・アブー・スィースィー氏がパレスチナメディアセンターに語ったところでは、拉致された技師はいかなる政治潮流にも加わっていないという。ヨルダンで家族と共に生まれ育ち、高等教育を受けるためにウクライナに行った彼はその地でウクライナ人女性と結婚して6人の子どもをもうけた。発電所網の研究で博士号を取得した後、ガザに移ったという。

ムハンマド氏はモサドがいとこを拉致したと疑っており、その理由として次のように述べた。「いとこは発電所で特別な地位にあった。彼は稼働の責任者で、ガザ地区の発電所での作業が直面するあらゆる困難を克服してきた。メンテナンスや、重油をイスラエル製からエジプト製に切り替えた責任者も彼なんだ。そのため私たちはモサドが彼を拉致したと疑っている」。

キエフのパレスチナ大使館は、この事件について承知していると述べたが、コメントすることは拒否した。

イスラエルが彼の拉致と刑務所への移送に関与したとの情報が一部リークされる中、イスラエルの情報筋は、ガザ地区を支配しているハマースの西岸地区にある細胞組織が、西岸地区の入植者やイスラエル兵を誘拐しようとするのではないかと警告した。

(後略)

*注:その後、ディラール・アブー・スィースィー氏は、2006年にガザ地区で拉致されたイスラエル兵ギラード・シャレット氏の消息を知っていると疑われてモサドに拉致されたと報じられた。なお3月31日に法廷に現れた同氏はイスラエル兵の消息について何も知らないと否定した。


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(翻訳者:大橋泰斗)
(記事ID:21924)