エルゲネコン逮捕の記者ネディム・シェネル、公判へ出廷―家族と涙
2011年04月18日付 Milliyet 紙
本日(4月18日)、記者のネディム・シェネル氏は係争中の裁判の公判に向け拘留中のシリヴリからバクルキョイ裁判所へ移送された。
過去の類似する状況では、アフメト・シュク記者から物的証拠が見つからなかったためベシクタシュ裁判所への移送は行われておらず、関連省庁もこの件に関する調査を開始している。
シェネル記者は、ハナフィー・アヴジュ元警察署長に関する捜査の守秘義務に反する記事を書いたため裁判にかけられており、バクルキョイ裁判所で公判に臨むこととなった。
同記者は、第二バクルキョイ第一審刑事裁判所での公判のため、「エルゲネコン」捜査で逮捕、拘留されているシリヴリ刑務所より手錠をかけられて裁判所に移送された。
エルゲネコン捜査に関連して拘束された同記者は、「シェナイ・アヴジュ:(偽の)身分証は任務の必要性から」という見出しの記事で「捜査の守秘義務違反」があったとして裁判にかけられた。シェネル記者は、テロ組織に対する捜査で家宅捜索を受けた元エスキシェヒル警察署長ハナフィー・アヴジュ氏に関して、アヴジュ氏の妻シェナイさんの談話に基づいた報道を行ったことで、「捜査の守秘義務違反」があったとして1年半~4年半の懲役が求刑されていた。
■シェネル記者、公判で妻とオルハン・ディンク氏と抱き合い涙を流す
シリヴリ刑務所で拘置されているシェネル記者と彼の弁護団は、第二バクルキョイ第一審刑事裁判所での公判に出廷した。公判にはシェネル記者の妻ヴェジデさん、殺害されたアゴス紙編集主幹フラント・ディンク氏の兄オルハン・ディンク氏、また、ウウル・デュンダル氏やセダト・エルギン氏を含む記者団も見受けられた。記者団の一部は法廷が狭く中へは入れなかった。シェネル記者が入廷する時、法廷の前で待ち構えていた記者仲間が「ネディム、きみを愛している」と拍手を送った。シェネル記者は、妻やオルハン・ディンク氏と抱き合い涙を流した。
■「エルゲネコン裁判の被告としてあなた方と向き合っているのだ」
エルゲネコン捜査で43日間拘留されているネディム・シェネル記者が、罪に問われている記事の執筆者であると述べ、「エルゲネコン裁判の被告としてあなた方と向き合っているのだ」と言うと、リュヴェイデ・チャクマク・カネル裁判長は「いいえ、あなたは守秘義務に反したのでここにいるのだ」と述べた。シェネル記者はさらに、(彼が)陰謀、誹謗の犠牲となったと付け加えた。
■「ハナフィー・アヴジュの妻シェナイさんと面談」
シェネル記者は自身をルポライターであると述べ、警察関係者である被疑者ハナフィー・アヴジュ氏の家で危険な銃が押収されたとの報道が行われたことを指摘した。同記者は、「事件を調査すべくハナフィー・アヴジュ氏の妻シェナイさんと面談した。彼女は、銃や(偽の)身分証は任務のため、諜報員であるために国が供与したものだと説明した。私がその根拠を問うと、彼女は家宅捜査の時に用意された記録をファックスで送ってくれた」と述べた。
■「一人のジャーナリストとして真実究明のため記事を書いた」
シェネル記者の弁論は続く:「この記録を調べたところ、無認可として報道された銃の記録は1行目に記載されており、さらに(この銃の)認可の記録が34行目に記載されている。つまり、その両方を確認せずにに不注意にもあたかも無認可で銃を所持していたかのように報道したことを私は確認した。一人のジャーナリストとして真実を究明し、正義を実現するため、この事件を問題とされている記事で取り上げることにしたのだ。記事のただ一つの目的はこれにある。」
■「無罪を」
シェネル記者は捜査の守秘義務に反するような意図はないと述べ、無罪を訴えた。弁護団のシェフナズ・ユゼンデン氏、ユジェル・ドシェメジ氏、ギュナイ・エルカン氏は、シェネル氏の潔白を主張し、無罪を訴えた。リュヴェイデ・チャクマック・カネル裁判長は、この捜査記録が判決に影響を与えるものであるとし、(捜査記録に関する)調査を行うよう決定し、次回の審理を5月31日に延期した。同裁判長は、シェネル記者に対し「次回公判への出廷を希望しないのであれば召喚しませんが」と問いかけると、同記者は「呼んでください、参ります」と応えた。
論告:ネディム・シェネル記者は捜査の守秘義務に反した罪で1年半から4年半の懲役を求刑された。
被告は2011年3月6日、エルゲネコン捜査のため逮捕され、以来43日間シルヴィリ刑務所で拘留されている。
■「シェネル記者へ友人たちからの支援」
シェネル記者の逮捕に抗議する友人や同僚は集まって「触ったら怪我をするとしても、我々は触ってやる!」とシュプレヒコールを上げ、シェネル記者を支持した。裁判所の前でプラカードを掲げ、「アフメト記者、ネディム(シェネル)記者は我々の誇りだ」と叫んだ。
■セダト・エルギン記者:全ての人に平等な正義を
裁判所の前で記者会見を行ったセダト・エルギン記者は、「我々は正義を求め、正義を望んでいる。普遍的な法規範に適った全ての人に平等な正義を望んでいる。拘留されている全ての記者たちのために、平等な正義を望んでいる。いつの日か、我々皆に正義が必要となるのだ」と述べた。
■私は抵抗する
ウウル・デュンダル氏は、「シェネル記者は、トルコの銀行資金が不正流用され、国外に何十億ドルも流れ、マフィアやギャングによる違法行為が未解決のままである中、これらを題材とする本を書いた。そして、『ナイロンホールディング』が幼い孤児をどのように搾取してきたのかトルコ全土に知らしめた。シェネル氏は貴重な、世界的に尊敬を集める記者でる。ネディムのことを一部の人々は批判している。トルコは収奪され、トルコの銀行資金は不正利用されており、マフィアやギャング、ススルルク・グループが未だ未解決の殺人を犯しているというのに、(それらに関して)たった一行の記事すら書かない連中が、ネディムやアフメトを尋問することなんてできようか?私は抵抗する」と述べた。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:22181 )