12名の無所属の国会議員立候補者に関する高等選挙委員会(YSK)の決定は、民族主義者行動党(MHP)以外の全政党の反発を招くこととなった。共和人民党(CHP)は、国会の緊急会議を召集して憲法改正を要求し、「人民の声」党(HAS)と至福党(SP)も、同様の態度を示した。大統一党(BBP)は、この決定は混乱を望む者に好機を与えると強調した。メフメト・アリ・シャーヒン・トルコ大国民議会議長シャーヒン国会議長も、「この決定は、国の民主主義の良心が許せる決定ではない」と述べた。
YSKが平和民主党(BDP)推薦の7名を含む12名の無所属の国会議員立候補者の申請を却下したことが、世論で反発を招いている。諸政党も、YSKによる決定は民主主義に対する打撃であるとの見解で一致した。
メフメト・アリ・シャーヒン国会議長:この決定は国の民主的な良心が許す決定ではない。
ケマル・クルチダルオールCHP党首:選挙の延期は話にならない。このことは、(法の)暫定条項で解決できる。
エルトゥールル・ギュナイ文化観光大臣:この出来事は、我々にとって新憲法が必要なことを示している。
ヌマン・クルトゥルムシュHAS党党首:どんな理由であれ、この決定は9月12日クーデター後の暫定軍事政権の拒否権を想起させるものだ。
ムスタファ・デスティジBBP事務総長:YSKは、トルコの混乱を望む者にその手で好機を与えた。
シェラフェッティン・エルチ氏(BDP推薦の無所属国会議員候補):YSKの決定に政府がからんだとは思わない。(YSKの)判断に影響力のある別の圧力が働いている。
YSKが、BDP推薦の7名を含む計12名の無所属による国会議員立候補者(の申請)を却下したことに対し、政界から一斉に反発があがった。近年は常にどの問題においても意見割れしていた各政党だが、今回の問題でようやく初めて一様の態度をとった。議会はYSKに対して、民主主義と立憲政治を喚起した。与党はYSKを批判し、YSKが長年にわたり論議を醸す決定をおこなってきたと指摘した。諸野党は緊急会議を召集し、必要とされる憲法改正の実施を要求した。ただ、アフメト・カフラマン法務大臣は現行法に鑑みて、「選挙実施前に行われた(憲法の)改正事項は、改正後初の選挙では適用されえない。従って、この(6月12日の)総選挙において効力はない」と指摘した。
アリ・シャーヒン国会議長はYSKを批判して、「この決定は、議会の使命を弱体化させる決定である。YSKの決定は、恐らく現行の憲法の範囲内で解決することができるが、国の民主主義の良心が許す決定ではない」と述べた。シャーヒン議長は国会で記者らの質疑応答に答え、トルコにおいて、いかなる問題であろうと、その唯一の解決場所が国会であることを強調した。シャーヒン議長は「私が望むことは、可能ならばYSKがこの決定についてもう一度見直してくれることだ」と述べた。「選挙の延期要求についてどのように考えているか」との質問には次の通り答えた。「憲法では選挙がいつ実施されるのか明確である。このことは、法でもっても覆されない」。
エルトゥールル・ギュナイ文化観光大臣も、YSKの決定は非常に遺憾であると述べた。ギュナイ大臣は、「トルコの民主的発展の観点から、不安を覚える状況である。このYSKの決定は、新憲法を作る必要性とともに、我々がどれほど毎日新しい出来事と新しく向き合っているかを現すものだ」と話した。
■クルチダルオールCHP党首:緊急国会を召集するべき
YSKの決定を受けて、昨日CHP中央執行委員会(MYK)が緊急召集された。その後、記者会見したクルチダルオールCHP党首は、選挙での最低得票率の引き下げを含め、必要な対応策をとるために国会の緊急召集を要求し、選挙延期の提案は正しい判断ではないと述べた。クルチダルオール党首は、選挙法は(公布後)一年間は施行されないと憲法で定められていることから、「このことは、暫定条項で解決できる」との見解を述べた。デニズ・バイカル前CHP党首もYSKの決定に対して強い反発を示した。選挙運動に際して出身地のアンタリヤで小売商人らと朝食をとったバイカル前党首は、記者らの質問に答え、YSKに対して、「罠を仕掛けているのか、妨害しようとしているのか。何という過ち、恥ずべき不適切なことか。とても遺憾に思う。(YSKの決定は)トルコにそぐわないものだ」と述べた。
ムスタファ・デスティジBBP事務総長は、「YSKがこうした反発があることを見越して、予め整備したり注意を促していれば済むことだった。(無所属による)立候補者を元から受け付けなければ、こうはならなかった。誰かが、政治上トルコを混乱させ、トルコの安定を壊そうと機会をねらっている。こうした人々に対し、YSK(の決定)によって機会が与えられたことになってしまった」と述べた。
ヌマン・クルトゥルムシュHAS党党首は、次のようにコメントした。「誰もこの状況を、『裁判の決定だから、どうしようもない』といって見過ごすことはできない。理由や根拠が何であろうと、この決定は9月12日クーデターの暫定軍事政権の拒否権を想起させるものである。いまAKPとCHPがなすべき重要な責務がある。未だ手遅れではない、すぐに国会を召集し、この危険な図を是正するために憲法と法の改正を行うべきだ」。
ハサン・エルチェレビDSP事務総長は、「国会を新たに召集し、決定するべき」と述べた。一方、ビロル・アイドゥンSP副党首は、「我々は政治が国民の総意でもって形成されるべきだと考える。YSKの決定に関し、与党、及び最大野党をはじめ、全ての政党が再考し、手遅れになる前に行動を起こすよう呼び掛けている」との見解を示した。
デヴレト・バフチェリMHP党首は、皆が(YSKの)判断による決定を尊重し認める必要があると述べた。
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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:22195 )