コラム:「自由な見解」 独断の政策などもうあってはならない
2011年05月04日付 Al-Ahram 紙

■コラム:「自由な見方」
2011年5月4日 (『アハラーム』)

マンスール・アブール・アズム

エジプトと(アラブ)湾岸諸国、そしてイラン!
1月25日の革命が掲げた優先事項に従い、エジプトがアラブ湾岸諸国に関する政策を見直すこと、さらに新たに世界との関係を作りなおすことは正しい。そして民衆の利益に関してもそうだ。大統領の権益でなければ外相の利益でもなく、民衆の利益を。

私は日本に約9年間、ほぼ連続で生活したことがあり、間近から日本における意思決定プロセスを見てきたが、この民主的な国では、首相であれ、外相であれ、またどんな大臣であれ、重要なあるいはある程度重要な決定を独断で下すことはできない。外交に関するものであれ、内政に関するものであれそれは同じだ。

たとえば、日本が中東のあるひとつの国、あるいはこの地域全体に関わる重要な決定を下そうとしているとしよう。すると、外務省はこの地域から大使たちを東京に呼び戻す。そして決断が待たれている事項に関して、数日間、話し合うために一堂に会するのだ。そして出席者の見解やコメントの要旨を含む、一致した報告を提出する。そして外務省の中東担当の課の中でこの報告についての議論がなされる。その後、その報告は外相のもとに上げられ、外相は閣議でその報告を検討し、その後内閣が決定を下す。

それと比較して、1979年以来断絶していたイランとの外交関係を回復する決意を明らかにした時のナビール・アラビー(エジプト)外相はどうだろう。我々は外相が外交を担当するや否やそれを公表し、それに続けてイスラエルとの和平協定を見直すことについてさらに物議を醸すような発表を行ったのを見ている。

我々はアラビー氏が新しい段階におけるエジプトの外交に関し、異なる考え方やヴィジョンを持つことに異を唱えているわけではない。前政権の政策には多くの誤りや、ときには犯罪すら混じりこんでいたのは確かなのだから。

しかしながらこうしたことはすべて、深い議論を必要としている。外務省の内部だけでなく、識者、専門家、文化人、現大使および前大使など幅広い層を含めての議論を。私はアラビー大臣が外務省の中であれ、国家安全議会の中であれ、こうした議論を行うのに充分な時間を与えたとは思えない。それは彼のもとで動く閣議に関しても同じだ。

その結果、この声明はエジプトと利害を超えた強い結びつきを持っている兄弟国であるアラブ湾岸諸国の間に多くの不安をかきたてることになった。さらに、この声明は次のようなタイミングで出されたのだ。それはイランが湾岸諸国に対して脅威、脅迫という政策を採り、影響力を行使してこの(湾岸)地域における支配を確立することを目的として湾岸諸国の内政問題に介入しようとしていた時だったのである。

これによってシャラフ博士(首相)が(エジプトの)見解を説明すべく、サウジアラビア、クウェート、カタルを訪問することが必要になった。さらに、来週にはアラブ首長国連邦に行くことになっている。ワンマンショー、一人の男の(独断の)政策など、1月25日の革命以降はもうあってはならないと私は考えている。

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( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:22394 )