「深層PKK」活動を牽引
2011年05月08日付 Zaman 紙

トルコが「新憲法(案)」を巡って進めている6月12日の総選挙が近づくにつれ、いくつかの団体は見覚えのあるゲームを再び起こしている。

衝突がない状況であったにも関わらず、ここ1か月間で行われた軍事作戦により25人のPKK(クルド労働者党)メンバーが殺害された。彼らの葬儀の際には、東南アナトリアではデモが行われた。その後、カスタモヌ県で首相の護衛車両の1台が襲撃され、1人の警察官が犠牲となった。この図はトルコ西部で愛国主義の波を呼ぶことを目的とする一方で、東部や東南部では異なるゲームが繰り広げられている。これの最も際立った例が、ハッキャーリ県ユクセコヴァ郡で起きている。イラン、イラクそしてトルコの3か国に囲まれたユクセコヴァでは陰鬱な日々が過ぎている。1990年代まで穏やかだった旧名ゲヴェル郡は、テロや村の過疎化の結果、大量の移民を受け入れた。約20万人の人口を有するこの郡は、PKKをその組織内にかくまうKCK(クルディスタン社会連合)がまるで「解放地区」にすることを目論む場所である。これを実現するためにあらゆる方法が試された。たとえば、2月18日の夜には郡の中心部でクルド人とPKKの敵対関係が書かれたアラビア語の張り紙がばらまかれた。KCKはその事件に介入し、この張り紙は「メズィト」という名の、政府の支援で設立された組織がばらまいたものだと主張した。宝石商に強盗に入ろうとしたある者は、手に持った爆弾を装飾の施された小包と一緒に道に置いて逃走した。これもメズィトの仕業だとされた。しかしそれほど日を置かずに事件の真相がはっきりとした。事件に関して尋問を行っていた治安部隊は、犯人を短期間で逮捕した。市民を脅かした「メズィト」が偽装組織であり、その背後にはPKKがいることが明らかとなった。メズィトは一瞬で消え去ったのだ。

ユクセキオヴァでの別の事件は3月2日に起きた。3年と6ヶ月の間収監されていたある人物を引き受けに行った警官たちがリンチされた事件である。一団のKCKメンバーが「コントゲリラが愛国者たちを連行している。彼らを処刑するつもりだ」という言葉で市民を挑発し、犯人を解放した。リンチ襲撃に遭いそうになった3人の警官はその場から逃げたが、その内の1人が重傷を負った。容疑者は平和民主党(BDP)に近い人物であり、以前に誘拐の罪で有罪判決を受けていたことが報じられた。KCKの企てはこれによって幕を閉じたわけではない。4月24日には2人の上級軍曹が武器による襲撃を受けた。(現場に居合わせた)市民たちが襲撃者たちを捕まえたが、その殺し屋が「われわれを雇ったのはKCKだ」と言うと、市民は殺し屋を解放している。

最後のゲームはヒズブッラーに近い人物たちによって引き起こされた。高等選挙委員会(YSK)の拒否権発動が決定された後に警官と小競り合いになったBDP支持者たちは、4月21日にムスタザフ協会ユクセキオヴァ支部を襲撃した。襲撃者たちが投げた火炎瓶は、協会のビルの屋根で火災を引き起こした。協会の人々は死の寸前に追い込まれ、理事たちが負傷した。そしてKCK支持者たちは、2日前に大きな扇動を起こした。トゥンジェリ県で7人のPKK兵士が殺害されたことに抗議したグループが警官と衝突し、それぞれ別の5箇所で爆弾が爆発したのである。以前にも燃やされそうになった協会の屋根に登った数人の市民に対し、デモ参加者たちは抗議した。この時に起きた火災により、ムスタザフ協会のウベイドゥッラー・ドゥルナ副会長が命を落とした。

■自分たち以外の人々に生きる権利はない

ユクセキオヴァ郡内ではここ数日、襲撃者たちの中に「ライフルを携えた人々」も混ざっている。ドゥルナ副会長を撃った者も彼らだろうと主張されている。この地域を混乱させる可能性を持つこの事件の後、緊張状態は高まった。ドゥルナ副会長の葬儀には、周辺に位置する県や郡から派遣された150台の護衛車両が出動した。葬儀後、郡内で金曜礼拝も行った参列者たちが郡から出ようとしたまさにその時、衝突が起きた。ムスタザフ協会の支援者たちとPKK支持者たちの間で石の投げ合いやバットでの殴り合いが繰り広げられる中、空に発砲音が響いた。治安部隊の介入後、ムスタザフ協会の人々は護衛車両が同行してユクセコヴァ郡から離れた。KCKは声明を出し、この殺害事件と無関係であることを主張した。しかしPKKの支持者たちは、その夜再び事件を起こした。ムスタザフ協会のビルに加えて、協会のメンバーが所有する4箇所のオフィスに放火したのである。公正発展党(AKP)の郡支部にも放火された。これらすべての事件を見渡すと、自分たち以外の人々の生きる権利を認めないKCK支持者たちは、この地域を混乱させるために深層での策略の中に入ってしまったように見える。選挙前に混乱を作り出すために、あらゆる方法を試している。ヒズブッラーをもこの火種の中に引っ張り込もうとするこのような扇動は、まさに狂乱の様相だ。郡内での事件に対し十分に力を発揮できていない治安部隊は、より注意深く行動する必要があるだろう。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:22426 )