シュルナク県ジズレ郡に拠点を置くメマン族は、かつてPKKと激しい闘争を繰り広げていたが、3カ月前に自警団を総辞職し、ついにクルド系政党の平和民主党(BDP)の支持者へと立場を変えた。
シュルナク県のジズレ郡及びギュチリュコナク郡に居住し、およそ5,000人を抱えるメマン族は、過去幾年にも渡って対PKK軍事作戦において治安部隊と共に活動してきた。しかし婚礼に訪れたハスィプ・カプラン議員(シュルナク県選出無所属国会議員)のため、祝いの雰囲気の中、歓迎会の宴が設けられるなど、クルドとメマン族の関係が好転している。ジズレ県ウラシュ村では、メマン族の族長でかつて自警団の団長を務めていたタヒル・ギュベン氏の子息、アリ・ギュベン氏の婚礼に訪れたカプラン議員を迎えて、自警団の旧メンバーらがカラシニコフ銃で空砲を響かせ、またメマン族の若者たちも爆竹を鳴らしてこれを祝った。
■「私たちはBDPの支持者だ」
メマン族のタヒル・ギュベン氏は、現在テミゾズ退役大佐(元カイセリ郡ジャンダルマ長官)と共に服役、公判中のタイン族族長、カミル・アタク氏(元ジズレ郡郡長)の弟、ラウフ・アタク氏と共に村の入り口でカプラン議員を迎えた。タヒル・ギュベン氏はカプラン議員の写真を手に取り、「私たちは今ではBDPを支持している。故にBDPが支持する無所属候補を私たちも支持しよう」と話した。
カプラン議員の訪村に際し、村落のPKK党員の衣服に似た伝統衣装を身に付けた若者たちが、太鼓や笛に合わせてハライを舞い、女性達はズルグトを披露してカプラン議員への敬愛の意を示した。カプラン議員が婚礼を見守る際、彼の両脇にはラウフ・アタク氏と、タヒル・ギュベン氏が着席した。村でしばらく婚礼を見物したカプラン議員は、地元の伝統衣装を着た若者たちと一緒に何枚も記念撮影をした。
(訳注:ハライはアナトリア中東部地域の伝統舞踊。またズルグトは同地域に伝わる風習で、愛や悲しみの感情を、意味を持たない言葉を声に出してメロディーを奏でるもの)
■「下り坂を駆け降りるトラックのように」
ウラシュ村を離れギュチリュコナク郡へ向かったカプラン議員は道中、ジュディ山とキュペリ山の間で停車し報道陣に会見を行った。議員はジュディ山とキュペリ山を指して次のように話した。
「私はここで総理に申し上げる。この停戦状況において、そして母の日であるこの日に、子の亡骸を母親の元に届ける者は誰であろうと、地獄の底に行くことになるだろう。もはやこの人々(クルド人)の行い、服装の色、発言に対してテロリストなどと言う者を、そして政府のテロ活動を、私たちは呪わずにはいられない。毎日戦闘機やコブラ・ヘリコプターで私たちの山や町、村を爆撃する者は、もう人間ではない。彼らは人間性を逸脱している。私はここで総理に警告する。『クルド問題はない』などと発言する者は、歴史の塵となって跡形もなく消えていった。総理、あなたも消えていくのです。あなたは、クルド問題はないとおっしゃるので、下り坂をトラックが猛スピードで下降するように、落ちていくのです」。
■「アルンチは、女性議員に謝罪を」
またカプラン議員はビュレント・アルンチ国務相についても批判し、「女性政治家たちに対し無礼な発言をしている。ものごとにはそれを行う権利と限界というものがある。あなたは女性の敵なのか?女性議員をその様な方法で攻め立てるのは、選挙マナーに違反している。トルコの全ての女性議員に対し、謝罪すべきだ」と語った。
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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:22435 )