■アル=カッザーフィーの家族の一部のチュニジアへの出国は、アル=カッザーフィー本人の最終的出国の端緒になるかもしれない

2011年05月18日『クドゥス・アラビー』

【本紙：マドリード】

　フランコ・フラティニ外相をはじめとするイタリアの高官や、報道機関が伝えたことには、衝撃が感じられる。それらは、リビアの独裁者ムアンマル・アル=カッザーフィーが行き詰まりに直面し、リビア出国を計画し始めたかもしれない、という内容である。これまで無名だった者も含むアル=カッザーフィーの家族の一部がチュニジアへと出国していることは、リビア危機の解決の始まりとなる。
ベルルスコーニ首相がアル=カッザーフィーとの親交を理由にリビアの危機への対処に距離を置いて以後、フラティニ外相が“ SISMI[Servizio per le Informazioni e la Sicurezza Militare；情報・軍事保安庁]”と共にリビア問題を担当している。SISMIは、リビア危機の軍事的側面を担当している。その上、経済相は、リビアにおけるイタリアの膨大の経済権益とその保持を理由にリビア危機への対処に関与している。経済相の関与は、フランス政府がリビアの次期政権への影響力を強化しようと公言して以降顕著になった。

リビアにおけるイタリア権益保持の一環として、イタリア政府は昨日[17日]イタリアの大企業・政府の全体会議を設置した。その目的は、ベンガジにある暫定国民評議会と貿易の保障、石油輸入のためのイタリアからの投資の保障のための合意に至ることである。イタリアは、石油需要の30パーセントをリビアから輸入しているのである。

フラティニ外相はイタリアの大手新聞が伝えたように、過去数週間アル=カッザーフィーやその家族、側近たちを引き受ける国を探していた。それは、リビアの危機の収束のため、国連と連携して行われた。フラティニ外相は、後にアル=カッザーフィーらの出国のための交渉をしていた事実を認め、これらの努力は言及するほどの成果を上げるところまで到らなかったと強調した。しかし、イタリア政府は、アル=カッザーフィー自身と同人が情勢を変えられないことについて失望し、二つの決定をした。一つは空爆に参加することであり、もう一つは、暫定国民評議会をリビアの（原文ではチュニジアとなっているが誤り）の人民の唯一の代表であると認めたことである。フラティニ外相は二日前[16日]アル=カッザーフィーと革命支持者らとの間の交渉を通じたいかなる解決策も遠ざける立場に戻った。同外相は記者会見で、「交渉を通じた解決策は情勢に進展とともに非現実的なものとなった。」と述べた。また、同外相は、革命支持者らとアル=カッザーフィーの息子であるサイフ･アル=イスラームとの間の秘密交渉を否定した。この件に関し、フラティニ外相は、「国際法廷がアル=カッザーフィーとその息子たちに逮捕状を出した後は特に、この種の秘密交渉があったとは思わない。」と述べた。
イタリアは、リビアに歴史的・軍事的に強固な存在感を持っているため、イタリアは消息筋や専門家、報道機関にとって信頼できる情報源となっている。長らくその所在が不明な、アル=カッザーフィーの運命を知るため、イタリアへ注目が集まっている。

フラティニ外相は2日前の記者会見でアル=カッザーフィーの所在について、「誰もアル=カッザーフィーが現在どこにいるか知らない」と述べた。アル=カッザーフィーは、先週のチャンネル5での興奮した記者会見で姿を現したが、同人は最終的に姿を消すための名誉ある出口を探しているように思われた。

複数の消息筋は、アル=カッザーフィーの家族の一部がリビアからチュニジアへ出国し始めたということは、（アル=カッザーフィー本人の）リビア出国の準備と考えている。この動きは、アル=カッザーフィーが自身と息子に逮捕状が出されたことにより、自分たちがいかなる政治解決の参加者にもなりえなくなり、リビア危機の政治解決がないことを確信した後の動きである。こうしたなかで、アル=カッザーフィーの妻と娘のアーイシャは、先週土曜日[14日]チュニジアのジェルバ島へと到着した。そして、一昨日息子のムハンマドが彼女たちに合流した。このことは、アル=カッザーフィー家族がリビアから永久に出ていくことを意味している。

いつものことながら、アル=カッザーフィー大佐をとりまく不明瞭な事態において、インターネット上のサイトでニュースがリークされた。それは、真実の情報を含んでいるのかもしれないし、欺瞞情報を含むかもしれない。また、“Ilsul 24 Uri”紙が報じたように、NATOがしかける心理戦争の一環かもしれない。これらのニュースの中には、アル=カッザーフィーと大国の一部が合意するシナリオについて報じるものもある。そのニュースよると、アル=カッザーフィーは現在リビア南部におり、後日アフリカのある国へ、次いでラテンアメリカのある国へと移る予定であり、その国がアル=カッザーフィーの残りの人生の間完全に秘密な滞在を保障するとのことである

Tweet

この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

　同じジャンルの記事を見る

（ 翻訳者:松尾愛 ）
（ 記事ID:22555 )