MHP候補者、ビデオ映像スキャンダルを語る
2011年05月22日付 Radikal 紙

イスタンブル第三区7番目の候補者であるアルズ・エルデムは、ドイツ生まれの異色の理想主義者。ビデオ映像スキャンダルであわや党を離脱するところであった。

■なぜ民族主義者行動党から立候補したのですか

子供の頃から政治に関心がありました。2005年にこの夢をかなえようと決めました。しかしどの政党から?公正発展党(AKP)の最盛期でした。しかしこの政党には大きな欠点もあるという事が分かりました。個人の利益に目を向けていない事や、言葉に中身が無いという事が分かりました。共和人民党(CHP)はもともと興味のない政党でした。民族主義者行動党とコンタクトをとりました。なぜなら、外国に住み育った人間としていつも二等国民扱いを受けてきたからです。自国で国そして国旗を愛する一等国民として政治が出来るのは民族主義者行動党(MHP)でした。選んだのにはデヴレト(バフチェリ)さんの紳士的な人柄の影響もあります。

■どのような家庭で育ちましたか

私はドイツ生まれです。トルコに戻ったのは大学生の時でした。母は専業主婦です。妹が一人います。父は54歳で若くして亡くなりました。ドイツで型紙製作をしていました。昔は仕立て屋用に写真が撮られていました、彼らもその写真によって型紙を出し、裁縫に取りかかったそうです。男前で、素敵な人でした。かなり貯金をしていたようで、父が亡くなった後も金銭的に困る事は全くありませんでした。私も妹も高等教育まで全て終えました。

■あなたの専攻は何でしたか

イスタンブル大学のドイツ語文献学を卒業しました。言語学で修士号も取りました。私の専門は言語教育です。

■女性の避難所に関してあなたの案があるというのは本当ですか

はい。文学の文献や宗教書をもとに書いた修士論文は、19世紀のトルコとヨーロッパにおける女性問題を扱ったものです。トルコでは人口5万人以上の町で女性の避難所を開く事が義務付けられています。公正発展党は女性の地位が高まりすぎる事を望まないため、避難所は必要ないと言っています。彼らが設けた避難所のベッド数はとても少なく、受け入れ条件はとても厳しいです。私の案では、女性の避難所に職業教育を行う会館を設けます。女性は避難所を離れた後、その女性を脅かし暴力を加える夫から離れた所で新しい生活を始めます。一定期間家賃の援助も行われます。この案をまず公正発展党員が(首長である)自治体に相談しました。「そもそも女性の避難所は必要ない」というような返事をもらいました。あの党ではこの件に関しかなりの抵抗があります。

■民族主義者行動党の女性問題への気配りに関しどのような事が予想されますか

私がデヴレトさんにこの案を持ちだしたときは、とても評価してくださり、支持してくれました。この案を実現するためにEU寄付基金からどうやって予算を得るかも説明しました。その上「もしも国会の審議会でこの案を実現できなくても別の所で、社会的責務の計画として実現しよう」と言ってくださいました。アレヴィー派に関する案もあります。これも共有してくださいました。みなさんもこの党の「モスクからジェム・エヴィへ」という言葉を聞いているはずです。

■私はそれでも民族主義者行動党の女性への見方があなたが考えているような事につながらないのではないかと思いますが…。

そうお考えになるのも無理はないです。きっとそうです。今日まで民族主義者行動党は男性中心社会の象徴でした。男性が前面に立ち、女性が台所に縛り付けられていた場所でした。つまり、一般に知られているのはこれでした。しかし見えない所では民族主義者行動党の女性支部組織が非常に活躍していました。もはや21世紀に女性を見えない所に置いておくのはどの政党にとっても意味のない事です。しかし全ての女性が国会に入る必要もありません。国会に行っても人形のように座っているだけなのか、それとも国の問題に対し解決策を生み出せるほどの頭脳を持っているのか。国会に議席を持つ女性は警察官を平手打ちするような女性であるべきでしょうか、それとも感情にまかせずに行動できる人でしょうか。

■平手打ちをした状況に関し、(国会議員の)セバハト・トゥンジェル氏に共感できますか

もちろん。事件の前にあそこでどれだけひどい扱いを受けたのか知っています。報道されている部分は上手く抜き取られたのだと思います。しかし国会議員は同時に人々の手本なのです。怒りをコントロールしないといけません。セバハトさんも正しい立場にいたのですが、(あの行為で)追求される立場なりました。これがとても残念です。

■クルド人問題についてはどうお考えですか

私はクルド労働者党が作り上げた偽りのクルド問題があると思います。でなければクルド人は何を望んでいるのでしょうか。クルド語があるべきだと言うなら、あったらいいでしょう。テレビ局でも、何でもつくったらいいでしょう。自治でもなんでも議論したければすればいいでしょう。しかしこれらのどれもテロを正当化しません。クルド人たちのアイデンティティを生み出すことの妨げとなるものはすべてなくなるべきです。障害はあるのでしょうか、クルド人たちがあると言ったらあるのでしょう。彼らがそう感じるのならばあると言う事です。

■民族主義者行動党ではこうした問題はどのように議論されていますか

私たち新人議員たちはよく議論しています。先日ある地方紙のインタビューで教会の保護の重要性について触れました。一部党員は今教会のことを何で持ち出すんだと言いました。私もしっかりと説明しました。国の一体性に言及するためにはあらゆる人々とその間の相違を包括するシステムを築く事が必要になります。皆認めているのです。古びたトルコ性という概念はもはや遅れていると思われています。民族主義者行動党も変わっていますし、修正してきているのです。

■新憲法制定の過程において、国会における民族主義者行動党の存在はクルド人問題の解決の障害になると言う声もありますが…。

民族主義者行動党抜きで生まれた憲法は国の多様性を包括できません。私たちは障害にはなりません。クルド問題の解決が土地を割譲することならば、そうなのでしょう。しかし今日イスタンブルに住むクルド人と話してもこのような望みは全くありません。私の母方はクルド人です…。母方を割譲した土地とともに送り出し、父方はここに住み続けるというのですか…。しかしこういうことについて語る事は党内で全く問題ではありません。新しい民族主義者行動党は21世紀ではこのような形でのみ存在しうるのです。そうでなければ無くなって消えていくでしょう。

■民族主義者行動党のビデオ映像スキャンダルについて最初に聞いた時は何を感じましたか。

問題はビデオ映像の内容ではありません。最初に聞いた時、さて当事者たちはどうするのか、党や党首はどのような態度に出るのかと待っていました。そして自分の中で決心しました。もしビデオ映像により辞職にならなければ私が辞職する、と。かなりの人がふざけるななどと言いました。

■あなたはどう答えたのですか

本気だと言いました。信用できない候補者グループとは一緒に行動できません。民族主義者行動党は道徳的価値が崩壊していると訴えていた政党です。この政党に属する人たちの婚外関係が明らかになった時、私たちには関係ない、妻側が考えればいいなどとは言えません。政治とは別です、(一般人なら)20人であれ、50人であれ…。その時は妻側が考えれば良いです。しかし政治において手本となるべき人間は自分の立ち振る舞い、発言に責任を持たねばなりません。タイイプ・エルドアン氏は絶えず下半身の問題について話しています。ええ、私たちは「自制できない人たちのグループ」である事を認めました。問題の人物たちは辞職もしました。しかし公正発展党員たちも立ち振る舞いに関してはあまり良い過去を持っていないと言う事も忘れないでおきましょう。

■女性としてはこのビデオ映像により不快に思いましたか

民族主義者行動党員の女性として非常に不快に思いました。ただ女性であるからだけではありません。信用できない事をする人がいるなら自分の政党を弁護できないでしょう。

■このビデオ映像についてご主人は何と言いましたか。

主人はそもそも共和人民党員です。ビデオ映像について聞いたとき「お気の毒」と言いました。当事者たちの辞職がなければ私がやめると言う事を分かっていました。私の事を分かっているからです。面と向かって批評はしませんでした。しかしもちろん私のいない所で笑っていたかもしれません。

■ビデオ映像の出所に関して党内ではどのような事が話されていますか

情報源には全く関心がありません。これは結果的に私的生活への干渉であり、私たち皆にとって脅威です。悪意があるのです。ビデオ映像は理想主義者を名乗るウェブサイトから出たと言われています。ボズクルトのポーズをとる皆が理想主義者と言うわけではありません。

■あなたの事を十分な理想主義者としない人たちもいるそうですが、本当ですか。

叩き上げの、数多の艱苦をくぐり抜けてきた人たちがいます。私の年齢はそうした人々の域には達していません。私に「民族主義者行動党をステップとして利用しているんだろう」と言う人たちには、次のように言っています。民族主義者行動党はステップとして使われ得る最後の政党です。私は困難を選びました。望めばこれまでに公正発展党からも共和人民党からも立候補して、国会に入れていました。実際に誘いも受けていたのです。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:22609 )