Fatih Cekirge コラム:MHPビデオ映像スキャンダル、首相発言の真意は?
2011年05月23日付 Hurriyet 紙

「ビデオテープ陰謀」について共和人民党(CHP)と民主主義者行動党(MHP)の執行部がどのように考えているのか、我々は知っている。
支持層までもが同じように強く反発している。


彼らは与党を非難しているのだ。

では公正発展党(AKP)は何と言っているのだろう?

最近のエルドアン首相の見解は、この点で大変注目すべきものであった。

彼はこう述べた。「ある者たちがCHPに対して行なったように、次は、MHPを刷新したがっている!」

これは重要な発言である。これを述べたのが首相とくれば、更に重要である。

この文章の真意に注目するなら、エルドアン首相はCHPとMHPの「ビデオテープ陰謀」が、同じ「根源」により指図されていると認識していることが読み取れる。

これは初めて示された見解である。そしてこの認識は多くの疑問をもたらしている。

順序立ててみよう。

・誰がこの「刷新」を行なうのか?

・これについてエルドアンはなんらかの情報を掴んでいるのだろうか?

・CHPとMHPをビデオや隠しカメラによって崩壊させ、刷新しようとしている人物は、どこからその技術や物資を得ているのか。

・トルコでこれほどまでに大規模な組織をつくれるのは、はたして国家以外に存在するのだろうか?この問題についての捜査は行なわれているのだろうか?

こうした疑問とともに、次のような疑念が募ってゆく。

「この事件は、MHP執行部によるものではない。あまりに大規模だ。トルコ全体が舞台となっている」

こうした疑問は、この嫌気のさすような陰謀の背後に横たわる暗闇に投げ込まれて、その闇を照らすことになる信号弾にもなりうるものなのだ。

「MHPを刷新したがっている者たち」という首相の言葉の真意をより理解するため、私はエルドアン首相の側近で、信用のおけるある人物と話をした。

首相の「再構築(刷新)」という見方の大意は次の通りである。

「ある者たちが、まずバイカル率いるCHPの希望を断ち切った。そしてCHP執行部を刷新するため行動に移った。入手していたビデオを公開したのだ。これと同じように、バフチェリのやり方にも希望が持てないと考え、新たなMHPの構築のためにこの大規模な作戦に打って出たのである・・・」

もしそうであるならば、次のようなことが考えられる。

・もし彼らがMHPの破滅を望んでいたなら、ビデオの公開によってMHPへの支持が高まったのを見てとったため、(刷新計画を)継続しなかったはずなのだが。

では別の疑問を考えてみよう。

・この再構築計画を行なうことができるだけの物資や技術力を、プロとしてどこから見つけてきたのか。手下がいるのだろうか?

そう、首相がこの「ビデオテープ陰謀」の背後に潜む勢力のことを「CHPとMHPを刷新したがっている者たち」と表現した理由はこれである。

私は気が付いた。

トルコに存在するさまざまな陣営の間には、このビデオ映像事件にともない、驚くべき解釈の違いがあるのだ。

たとえばCHPとMHPの関係者やシンパは、AKPを非難している。AKPは、闇の勢力がAKPの対抗勢力にするため、力を失っているCHPとMHPを刷新しようとしたのだと言っている。そしてこの土煙の中で「かの闇の勢力」を見失ってしまう可能性があると認識している。

この事件は、もはや政治以上の国家的問題となってしまった。国家安全保障評議会で取り上げられなければならない。大統領も加わらなければならない。

でなければ、これら全ての議論や主張は、暗闇で(怖くないように虚勢を張って)口笛を吹く程度の意味しか持たなくなってしまう。

私が昨日述べたように、我々はホラー映画の中で叫び声を上げるのが似合っている。

この汚い闇は、アンカラ検事の捜査によって解消されるようなものではない。

国家規模なのである。

だから私は飽くことなく同じことを言い続けている。

もはや民主主義の力や市民の道徳、そして勇気の光を灯すべきだ。

ビデオテープによって汚された民主主義から、隠しカメラによって腐りきった政治から、幸福は生まれるまい。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:22628 )