キュタフヤ地震、新月社救援物資をAKP選挙宣伝カーが配布―苦情殺到
2011年05月25日付 Milliyet 紙


キュタフヤで起きたマグニチュード5.9の地震により激しく揺れたスィマヴ郡で、トルコ新月社による救援物が、 AKP(公正発展党)議員の候補者用宣伝カーで配布されたことが分かった。多数の人がこれについて非難しており、新月社が共和国検察に送検されることとなった。この件に関する取調べはすでに開始されており、2人の証言がとられた。

地震の傷跡からの復旧に励んでいるスィマヴ郡では、大地震で被災した人たちがテント暮らしを続けており、新月社から提供された救援物資が自治体の車で配布される事態が続いている。このような状況の中、AKP(公正発展党)キュタフヤ選出議員候補のベディハ・トゥルクユルマズ氏所有の選挙用ミニバスに新月社のベッドが積み込まれ、これを目撃した人々がこのミニバスを追跡した。ミニバスは、タバクハーネ地区のユスフ・コユンジュオウル小学校に到着した。同小学校の校庭には100近くのテントが建てられている。校庭で小学校の職員がベッドをミニバスから降ろすのを目撃した人々は、これを非難した。ミニバスを運転していたイスマイル・チャイラク氏、ベッドをミニバスから降ろしていた小学校用務員のセリム・イイト氏と、現場にいあわせた人たちの間で口論が起きた。この事態は、スィマヴ危機管理本部にいたケナン・チフッチ・キュタフヤ県知事にも伝えられ、検証の結果、新月社はスィマヴ共和国検察に送検されることになった。主席検察局に寄せられた通報で取調べが始められ、イスマイリ・チャイラク氏とセリム・イイト氏の証言が取られた。

一方、ミニバスに気づいて追跡し、事態を写真に収めたムザッフェル・オズジャンさんは、新月社による救援物資が一政党の所有する車で運ばれることに強い違和感を感じたと話す。オズジャンさんは、ミニバスに乗せられたベッドが校庭に降ろされるところをカメラに収めたと述べ、「とても残念だ。被災者に対する救援物資さえも政治に汚されてしまうなんて」と話した。また、販売店を営むメフメト・ギュチュルさんは、ミニバスが店の前を通り過ぎるのを見たと話し、次のように述べた。「すぐに自分の車に飛び乗り、(ミニバスを)追跡した。車が小学校に入ったのを見てから彼らに抗議すると、職員たちは私を脅してきた。それで、私はスィマヴ危機管理本部にいるケナン・チフッチ・キュタフヤ県知事のもとに行き、事態を説明した。知事はこの事態について詳細を調べると言ってくれた。」

また、タバクハーネ地区長ユスフ・ヴラル氏は、ベッドが市民に配布されるのに自身は関係していないと述べた。トルコ新月社広報局長のセラーハッティン・クナル氏もこの事件に関して調査を始めており、救援物資が選挙の道具とされることは相手がどの政党であっても決して許されることではないと述べた。

■物資がストックされているという通報

さらに、スィマヴ共和国検察のレジャイ・ビルギン主席検事は、別件として、ある人物の家に新月社による救援物資がストックされているという通報があったとして、これについても審議したと述べた。ビルギン主席検事によると、事件に関わった一人の人物が逮捕され、家宅捜索の結果、多数のベッドと2組のテントが押収されたという。これらの物資は新月社に返却されている。

また、レジャル・ビルギン主席検事は、スィマヴ郡ではあらゆる種類の強盗、窃盗事件に備えた警備体制も、早急に整えたと述べた。スィマヴ郡の四方八方の出入り口に警備隊が配置されているという。その結果、地震が発生した2011年5月19日から今日にいたるまで、スィマヴ郡では強盗および窃盗事件は発生していないと話した。

■カマラク至福党党首から政府への申し入れ

この間、ムスタファ・カマラクSP(至福党)党首がテント村を訪れ、被災者を見舞った。パナユル地区にあるテント村で市民の不安に耳を傾けたカマラクSP党首は、次のように述べた。「トルコ共和国は強大な国家だ。国は国民の救済に奔走している。今、季節が夏であったことで、困難は大きく軽減されたことだろう。冬に向けた準備が一刻も早く行われることが必要だ。これを被災地から政府に訴えたい。」

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( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:22646 )