トプカプ宮殿博物館局長、セリム3世の玉座を自室に持ち出し疑惑
2011年06月03日付 Radikal 紙


トプカプ宮殿博物館局長にある疑惑が持ち上がっている。セリム3世の玉座を自室に運び出させたが、この歴史的な玉座が部屋のドアを通らなかったために、結局倉庫に移動させたというものだが…。

エリュトゥールル・ギュナイ文化観光大臣は、(トプカプ宮殿博物館内の)ハレムにあったセリム3世の有名な玉座が、ユスフ・ベンリ博物館局長の自室に運び出されたという疑惑について、調査を開始させた。大臣は(証拠)写真つきの告発に驚いた様子で、「誰も同情はしません。トプカプ宮殿は私が最も重視している場所の一つで、(疑惑については現在)調査をさせています。告発通りであれば、必要な措置を講じます。」と語った。イルベル・オルタイル博物館長も事件に関し、「おそらく局長は自室とハレムを混同したのでしょう。(すべては)調査中です。」とコメントした。(疑惑の)ベンリ博物館局長は疑惑を否定した。


■「雨の中運ばれた」

エリュトゥールル・ギュナイ文化観光相に送られた告発文を(今回)ラディカル紙は入手した。告発文によると、トプカプ宮殿博物館局長ユスフ・ベンリ氏は、ハレムの『スルタンの間(Hünkâr Sofrası)』にあった、セリム3世の玉座を博物館内にある事務室に移そうとしたという。雨の降るなか、手荒に扱われた二つとない玉座は、局長室の入り口まで運ばれたが、後から付けられた仕切り板を通らなかったため、しばらくドアの前に置かれた。その間、雨から守るために玉座には白いカバーがかけられた。

ベンリ博物館局長は、玉座が入らないと告げられると、後付けの仕切り板を「壊してもう一度(玉座を)入れろ」と命令した。職員たちは仕切り板を壊す準備をしたが、事務室の内部にもともとあるドアも狭いことに気付いた。後付けの仕切り板を壊しても、玉座は入らないことを局長に告げた。こうして玉座は事務室に入れられることなく、倉庫へ運ばれた。

■「歴史的なテーブルで朝食」

ベンリ博物館局長に関する告発はこれで終わりではない。局長が特別な来客と「メジディエ・キョシュク」の歴史的なテーブルで、朝食をとっていたとの疑惑も出てきた。キョシュクの「奥の間」と呼ばれるところにあるこのテーブルは、表面に絵が描かれた大理石製のもので、ルイ14世の所有物であった。局長が朝食をとったために汚れ、しかもその汚れが落ちないという。

■博物館局長:「玉座は倉庫に」

(以下、ベンリ局長との一問一答)
「ハーレムにあるセリム3世の玉座を自室に運び出したとの疑惑を出ています。これは本当ですか?」
―「自室に運んだという事実はありません。」
「運んでいない?」
―「我々は調度品を保護しなくてはいけません。もっとも環境の良いところに持っていく必要はあります。」
「そこが事務室だと?」
―「事務室ではありません、もちろん。」
「玉座は今どこに?」
―「倉庫に…」
「事務室には全く運んでいないと?」
―「運んでいません。」
「ルイ14世のテーブルで朝食をとり、大理石の面が地面に置かれて汚れてしまい、落ちないという話ですが…」
―「いいえ、それは違います。私は自分の部屋で朝食をとっています。」

■オルタイル館長:「ここに局長室はないはず」

トプカプ宮殿博物館のイルベル・オルタイル館長は「大臣が電話で私にこの件を伝えました。知らなかったため、非常に恥ずかしく思いました。現在調査を進めています。部屋のドアを通らなかったために元に戻したようです。彼はハレムと事務室を混同していたのでしょう。事務室に私の机はありません。アンカラから私の書棚を持ち込み、事務室に置きましたが、それは外に出されてしまったようです。本に用はないと。ここに事務室があるのは正しくありません。セミナー室にしなくては。メジディエ・キョシュクで朝食をとったことは私も聞きました。そこを閉鎖しました。ベンリ局長は就任以来、自分勝手なことばかり行い、それについて何も報告しませんでした。」

■マイケル・ジャクソンは玉座に座りたがったが拒否された

ハレムはトプカプ宮殿博物館の来訪者が最も注目するコーナーの一つだ。『スルタンの間』は、ハレムの中でスルタンがハレムの女性たちと娯楽に興じたり、祝祭を祝った場所だ。この場所は16世紀にミーマール・スィナンによって建設された、ドーム天井のサロンである。このサロンの支配者の席にスルタンの玉座が置かれていた。セリム3世のものと言われる玉座は、18世紀の傑作としてハレムに関するあらゆる写真にも写っている。
ポップスターのマイケル・ジャクソンは、1992年にこの玉座に座ることを希望したが、拒否された。トルコを訪れた際、アメリカのポップスターはハレムに入った際、玉座に座り、それをミュージッククリップに使用することを望んだが、当時の博物館側はジャクソンに許可を与えず、彼はハレムでクリップを撮ることをあきらめた。

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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:22757 )