シリア出身でノーベル文学賞候補の詩人アドニースがアル=アサド政権を批判
2011年06月14日付 al-Quds al-Arabi 紙

■詩人のアドニース、発言権と決定権を国民に返還せよとシリア大統領に求める

2011年06月14日『クドゥス・アラビー』

【ベイルート:AFP】

シリア出身の詩人アドニースがバッシャール・アル=アサド大統領に対し、与党バアス党のこれまでの誤りを「清算」し、シリア国民に「発言権と決定権を返還」するよう求めた。

シリアのアラウィー派出身で、本名をアリー・アフマド・サイードという詩人のアドニースは、火曜日にレバノンのサフィール紙に掲載された公開書簡で次のように述べた。「アラブ社会主義バアス党は、イデオロギーの力によるシリア支配の維持には成功せず、治安部隊の鉄拳の力によって維持しているにすぎない」。「過去の経験から、こうした鉄拳が…限られた期間しか支配を保証できない事は確かであり…支配下に置いた国民に提供できるのは、分裂と後進性、侮辱と人間の尊厳の剥奪にすぎない」。

また、シリア国外在住のアドニースはこう続けた。「バアス党は誰にも、人間としてのいかなる地位も認めてこなかった…バアス党は模範的な大学を一つたりとも建てず…自由で市民的な文化の育成を妨げ、人間の倫理観を破壊した。党への忠誠心や党の敵への敵対心、あるいはその大半が表面的で底の浅い福音を告げるスローガンを基準として、文化の価値を判断してきた」。

そしてアドニースは、アラブ社会主義バアス党は「国家と社会の指導政党」であると規定したシリア憲法第8条に言及し、この条文は「もはや圧倒的多数のシリア人を納得させえないし、この条文を堅持するには、もはや暴力に頼るほかない。だが暴力は長続きしない。いかに武装した軍事力も、国民に打ち克つことはできない。いかに彼らが非武装だったとしても」と述べた。

その上でアドニースは、以下のように続けた。「こうした経験の過ちを清算し、発言権と決定権を国民に帰すのが、あなたの運命であるように思われる」「その時、あなたの友人はもちろん敵たちも、シリアの歴史、いやおそらくはアラブ地域全体の歴史において、新たな政治段階の礎を築いた者としてあなたを語るようになることだろう」。

シリアでは3月15日以来、父ハーフィズ・アル=アサドから大統領職を引き継いだバッシャール・アル=アサド政権に対する、前例のない抗議運動が続いている。

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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:22900 )