Cengiz Candar コラム:国会危機打開の責任は、BDPでなく、AKPに
2011年06月24日付 Radikal 紙

高等選挙委員会(YSK)の決定と、与党のこの決定に対する「消極的な」態度が、この国に何をもたらすかを予測することはそんなに難しいことだろうか?
6月12日にトルコでは全世界を驚かす選挙が行われた。そして、この選挙で二つの政党が圧倒的勝利を収めたことに、ともあれほとんどの人が納得した。AKP(公正発展党)とBDP(平和民主党)である。
あれから11日が過ぎたが、トルコ大国民議会が開かれずに、6月23日に選挙の結果は無効とされてしまった。
BDPの支持を得て無所属で当選した議員らは、ディヤルバクルに集まり、ハティプ・ディジレ氏の当選無効に関する高等選挙委員会の決定と、クルディスタン社会連合(KCK)裁判で服役中に当選した5人の仲間が議員として登院することが妨害されていると抗議し、トルコ大国民議会をボイコットすることを決定した。
ハティプ・ディジレ氏に対する高等選挙委員会の決定は「混乱を引き起こすもの」であると考え、そう表明する人が多数存在する。無所属の議員ら―彼らをBDPと呼ぼう―が国会をボイコットする可能性がある中、誰もが「良識」を呼びかけた。
しかし、結果としてBDP党員らはDTK(民主社会会議)の前日の提言に従って、トルコ大国民議会のボイコットを決定した。
さて、私たちは何をすべきなのか?
BDP党員を、「混乱を求めている者のわなにかかっている」、「良識ある行動をとらなかった」と非難して、我々が良心の呵責を感じずに道を進むことなどできるだろうか?
「BDP党員は、トルコ大国民議会をボイコットすると言ったらボイコットする。国会議員は550人もいるのだから、35人が来なくとも、515人が集まり、議会の本分を尽くす。来るか来ないかは、BDP党員の勝手だ」といって我々は寝ていられるだろうか?

■この状態ではトルコ大国民議会は憲法を改正できない

6月12日の選挙で誕生した国会と政権の役目は、憲法改正ではなかったのか?この新憲法の最も重要な役割は、クルド問題―国の最大の問題―のために新しいプロセスの道を開くことではなかったのか?
このプロセスにおいてもっとも意味のある、そして機能的な役割を果たすべく選ばれた36人(もしくはハティプ・ディジレ氏を欠いて35人、KCK裁判の逮捕者を欠いて30人)がボイコットすることで、新しい憲法は何百万人もの国民が満足するような形になりうるだろうか?
新憲法として―その中にクルド人も満足する多くの条文が盛り込まれることを願うが―刷られる条文が、トルコで施行されることは可能だろうか?
クルド人が苦労して選出した人間がボイコットした、すなわち「クルド人を排斥しつつ、クルド問題へのアプローチ」を表明する条文が、何百万ものクルド人の国民に受け入れられるだろうか?
トルコにおいて目の前に立ちはだかる問題は、足し算―引き算、割り算―掛け算で解決できる、単なる「算数の」問題なのだろうか?

■首相とAKPにかかっている

YSKの決定と、有権者の50%の票を獲得した与党のこの決定に対する「消極的な」態度が、この国でどのくらいの死者や不要な混乱を生み出すことになるか予測するのはそんなに難しいことだろうか?
問題は、現状では、BDPではなくAKPと首相にある。
BDPに36人の議員で持ってトルコ大国民議会の一角を占めさせた責任と課題は、国の全てを代表する与党と為政者らにある。
YSKがトルコを混乱に導いたのは、なにもハティプ・ディジレ氏に関する決定が最初ではない。その決定はといえば、一連の最悪で間違った決定の中でもトップクラスである。
YSKが端緒を切った危機の、最初の48時間におけるAKPの行動は、危機を乗り越えるための回復剤とはならなかった。しかし、まだ時間はある。
まず、ハティプ・ディジレ氏の議員資格の剥奪をうけて、AKPディヤルバクル候補者名簿6番目の―アンカラ在住の―候補者が、間髪おかずに議員証書を受け取ることは、道徳的問題をはらんでいる。
AKPは、ディヤルバクル住民が選ばなかった候補者を、国会議員の数が327に増えたと言ってトルコ大国民議会に何食わぬ顔をして連れてきて、果たして民主的な憲法制定において主導的役割を果たせるのだろうか。
それは、政治的にのみならず、道徳的な観点からも大いに問題がある。

■必要なこと

最初になされるべきことは、AKPがハティプ・ディジレ氏をオヤ・エロナト氏とともに支持しないことを明言すること、そして「道徳的な」問題としておくことである。民主主義、そして自身の民主主義的なアイデンティティ確認のためにも。
2番目、そして最も重要なのは、タイイプ・エルドアン首相がYSKの決定を受け入れないこと、そして状況を解決することを表明する会見を行うことである。そして、これを早急に行う必要がある。
2007年の大統領選をめぐる危機に際して、YSK同様、高等司法機関である憲法裁判所がだした367票が必要であるとの奇妙な決定を受け、エルドアン首相が即座に行動を起こして、この危機を打開しなかったというのだろうか?
今回も同様のことをする必要がある。可能である。
状況を収拾し、危機を打開し、選ばれた36人がトルコ大国民議会で議員となることを保証する法改正に関して、政権与党であるAKPが責任を持つことである。混乱した無益な論争に時間を費やす代わりに、BDPや無所属議員と話し合いをすすめ-もちろんCHPとも―、トルコ大国民議会最初の仕事として、議会開会後、状況を改善する法改正の問題のため、今から手順を踏んで合意しておくべきである。
現状は、BDP党員にとって「彼らは来ないと言ったら来ない」と受け流されるような、「算数の」問題ではない。その36人(の行動)は、個々人や全員がどうというより、さらに先にある「比重(重要なこと)」を意味していることは明らかだ。
状況は、国家の最重要で焼けつくような問題であるクルド問題に関するものである。
クルド問題を、クルド人代表を合法的チャンネルに参加させながら解決すること、そして暴力や死者やトルコ国内の流血を防ぐこと、こうしたことは、誰よりもまず「合法的で民主主義的立憲制」から最も利益を受ける人にかかっている。
それゆえに、ボールは、AKP、そしてまずタイイプ・エルドアン首相のフィールドにあるのだ。

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( 翻訳者:小松裕美子 )
( 記事ID:23027 )