マルディンのムヘッレミー派の村、今年もマイケル・ジャクソン追悼礼拝
2011年06月27日付 Radikal 紙

マルディン県ミドゥヤト郡にあるメルジメキリ村で、昨年と同様に今年もマイケル・ジャクソンの命日6月26日に追悼礼拝が行われる。

イマームが最後に「神は偉大なり」と述べ、後ろに並んだ信者も祈祷後に右へ左へと礼をして追悼礼拝を終える。とても普通のことのように見えるが、これがおもしろいのはその追悼が行われている対象が2009年に亡くなった世界的に有名なポップスター、マイケル・ジャクソンだということだ。
人口350人で、住民のほとんどがムヘッレミー派であるこの村が、毎年マイケル・ジャクソンの追悼行事を開くのには、ある理由がある。ムヘッレミー宗教・言語・文明間対話協会のメフメト・アリ・アスラン会長はこのことをとても当然のこととして受け止めている。アスラン会長によると、ロックンロールの伝説の王者エルヴィス・プレスリーはムヘッレミー派の出自を持ち、彼の家族は1860年代にマルディン県サヴル郡にあるデレイチ村からアメリカへ移住した。またプレスリーの祖父がベス・シェム族であり、何年か後にデレイチ村に来て残っていた親戚たちをアメリカへ連れて行ったという。
エルヴィス・プレスリーの親戚であることに誇りを持つムヘッレミー派の人々は、エルヴィス・プレスリーの娘リサ・マリーと結婚したマイケル・ジャクソンも婿として扱っている。昨年ジャクソンの一周忌で追悼礼拝を行ない、メヴリトを詠んだ理由もこれによるものだ。

■ただ親戚だからではない

アスラン会長は、マイケル・ジャクソンに対する賞賛は、ただ親戚関係にあるからというわけではないと語る。村では長年ポップ界のキング、マイケル・ジャクソンの歌が聞かれており、多くの世代が彼の歌とともに育っている。「特に、我々は多くの困難を味わったため、『They Don’t Care About Us(彼らは私たちのことなんて気にしていない)』という歌を自分たちに重ね合わせた。マイケル自身も黒人で、(歌に)社会的差異を反映していることも、我々の彼に対する共感を生み出した。」
昨年このイベントがメディアに出ると、協会に対する捜査が始まり、メフメト・アリ・アスラン会長は、協会法違反の罪で3ヶ月の禁固刑を受けた。アスラン会長は、これに異議を申立て、裁判で無罪となったが、問題は今も続いており、特に事務的障害に苦しんでいると話した。昨年、協会が公正発展党のミドゥヤト郡支部と市民団体(STK)から反発を受けたのはこうした理由からである。
アスラン会長は、追悼礼拝が行なわれて以降、ムヘッレミー派やメルジメキリ村への関心が増していると話す。マイケル・ジャクソンの死の2ヶ月前に起きた、44人の命が失われたビルゲ村虐殺事件でマルディン県は国際的な報道で取り上げられたが、そのイメージが変わり、この追悼礼拝後にアメリカ、カナダ、ドイツの記者から電話で問い合わせがあったと言う。

■ジャクソンたちをもてなすことができる

また、協会は事務的障害以外にも経済的な問題を持つとして、ムヘッレミー派とミドゥヤト村を紹介するために出来る限りのことをすると話している。「昨年の追悼行事では祈りを捧げ、メヴリトを詠んだ。犠牲肉も皆に、近所の人や貧しい人たちに配られた。もう少し経済的な余裕があれば、もっと色々なことをやっただろう。さらにはスポンサーがいたらジャクソン家の家族もメルジメキリ村に招待したいと思っている」と話す。
2009年に亡くなったポップ界のキングのために来週も追悼行事を行なうムヘッレミー派の人々は、エルヴィス・プレスリーやマイケル・ジャクソンを愛する全ての人をメルジメキ村に歓迎するとしている。

■ムヘッレミー派とはどのような人たちなのか?

自分たち固有の言語、文化、習慣を持つムヘッレミー派の人々は、約3500年ものあいだアナトリアに暮らしている。もとはアッカド人に辿るこの集団の言語は、アラビア語の最も古い文字史料によると、ムスル地方で話されていたクルトゥ方言である。言語学者の研究によると今日残っている言語の中ではアッカド語に一番近い言語であると言われるムヘッレミー語は、同時に人類の最も古い言葉のうちの一つであり、聖イエスも話していたアラム語にとても似ている。
古代シリアの資料では、ムヘッレミー派の人々は元々アッシリア人、キリスト教徒であり、言語と起源はアラム人から来ている。そしてムヘッレミー派は1600年代の初めイスラムを選んだとされているが、アスラン会長はこの主張を否定している。「我々は首相府のオスマン帝国のアーカイブにある土地登記書を研究し、村の歴史を明らかにした。オスマン帝国時代は宗教によって居住地が分かれていた。メルジメキリ村も1500年代以降ムスリム・ムヘッレミー派として記録のなかに残っている。」
トルコに住むムヘッレミー派の多くはイスラムのシャーフィイー派を信仰しているが、国外では相当な数のキリスト教、またはユダヤ教を信仰するムヘッレミー派がいる。祖国が中東であるこの集団の人々は、時代の流れとともに様々な理由でアメリカやヨーロッパに移住した。トルコでは、マルディンを始めとして、バトマン、アダナ、イスタンブルに暮らすムヘッレミー派が50万人ほどいる。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:小川玲奈 )
( 記事ID:23054 )