経常収支の赤字増前年比121%、元凶は過剰な消費と貯蓄減
2011年07月12日付 Yeni Safak 紙

トルコの経常収支赤字は、今年の最初5ヵ月で、前年比121.3%増加し、372億7400万ドルとなった。赤字の元凶は、貯蓄の減少と、消費増加である。

中央銀行により発表された2011年5月に関する国際収支統計によると、経常赤字は2011年1~5月期で、前年同期比204億3500万ドル増加した。前年同期は、経常赤字は168億3900万ドルの水準だった。

2010年5月に29億4400万ドルの赤字であった経常収支は、今年同期で77億5300万ドルの赤字となった。経常収支赤字の増加には貿易収支赤字の増加が影響を与えた。

■観光収入は60億ドル

サービス業部門の項目にある観光収入は、前年同期比で21.3%増加し、61億3500万ドルに達した。観光支出も17.3%増加し、20億3400万に達した。この時期の投資収入部門の項目である「直接投資」は、「ポートフォリオ投資」と利子から集計される「他の投資」といった項目の正味合計であり、始めの5ヵ月で39億500万ドルとなった。2010年同期の合計は、28億5000万ドルの水準だった。

■債券に熱いまなざし

海外における債券発行に関連して銀行部門は、5月の合計5億ドルの有価証券発行とともに2011年始めの5ヵ月で合計23億ドル分の債券を海外で発行した。海外在住者により、5月に合計11億700万ドル分の国債(DIBS)売りが行われた。これにも関わらず、2011年始めの5ヶ月間で合計94億2400万ドル分の国債買いが行われた。昨年1~5月期にこの合計は、49億9100万ドルの水準だった。一方で、銀行部門の国内有価証券発行については、海外在住者は始めの5ヵ月で7700万ドルの購入を行った。

■70億ドルを超える銀行消費

銀行部門の実質ローン利用は、1~5月期で70億2400万ドルだった。前年同期で実質的ローン利用は、27億1600万ドルの水準だった。銀行の2011年1~5月期で実質ローン利用は、21億8800万ドルの長期貸し、48億3600万ドルの短期貸しとなった。中央銀行の説明では、2011年5月に関する国際収支統計によると、経常収支は、2011年始めの5ヵ月で前年同期比204億3500万ドル増加し、372億7400万ドルの赤字となった。

■ トルコリラ預金は減少

外資系銀行が(トルコの)国内銀行で保有していた外貨預金は、同期で20億4400万ドル増加し、トルコリラによる預金は56億1600万ドル減少した。金融部門の最終項目を占める準備資産における公的準備は、5月に30億3300万ドル増加し、最初の5ヵ月で81億6900万ドルに達した。5月に増加した主な理由は、諸銀行が中央銀行に保有せざるを得ない外貨の増加が影響した。

■海外投資の増加

資本・金融の項目で、ポートフォリオ投資は2010年始めの5ヵ月と比較すると、75億1800万ドルから148億3600万ドルに達した。海外居住者がトルコ国内へおこなった実質的純投資は、始めの5ヵ月で前年比30億3500万ドル増加し、56億1300万ドルに達した。この期間に海外居住者が国内に対して行った実質的不動産投資は、10億8600万ドルに達した。国内居住者が、海外に対して行った実質的投資も同期で12億400万ドルであった。海外居住者は、債券市場で5月に1億9300万ドルを売るとともに、最初の5ヵ月で6億4900万ドルの売りを行った。

■ 中央銀行の対策にもかかわらず

銀行部門の実質的ローン利用は、前年同期で27億1600万ドルであり、2011年同期で70億2400万ドルに増加した。他のセクターでは、昨年同期では32億8700万ドル分の実質的ローン支払っており、2011年同期をみると34億8000万ドルのローン利用となった。中央銀行は、市場を冷却させるために対応を強めるとの方向で決定した。特に消費者ローン、及び住宅ローンを制限する一方で、諸銀行でのローン増加は、この対策は効果がなかったと考えられる。

■消費増は財政収支を不安定にする

中央銀行顧問のザフェル・ユクセレル氏による分析では、ここ最近に増加した経常収支赤字は、(トルコ経済が)急速に成長していることによるものではないと述べ、(経常収支赤字の)拡大の根本にあるのは、消費による影響だとした。この分析によると、「2005~2010年におけるトルコの経常収支赤字増加の主な理由は、貯蓄率の低下である。この状況は、国内需要に重点を置いた成長戦略をとるギリシャ、スペイン、イタリア、米国といった国々においても顕著に見られるものである」との見解を披露した。

■貯蓄が減少

1997~2010年の間の経常収支統計は、貿易収支に連動していた。トルコはこの時期、慢性的な経常収支赤字であった。この期間の経常収支赤字は、国内総生産(GDP)平均2.9%であった。経常収支の動きで、主要な要因である投資と貯蓄率を見た際にも、トルコの貯蓄マイナス残高は注意を集めた。2009年末に約140億ドルであった経常収支赤字は、2010年末には476億ドルとなった。2011年以来、経常収支赤字の増加が加速しているために、(トルコ)経済の舵取りは、冷却対策を実行し始めた。

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:23246 )