ユニセフ、アフリカ東部の干ばつ悪化を予測
2011年07月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

■国連機関、アフリカ東部の干ばつ悪化を予測
■数百万人が飢餓、50万人の子供が死ぬ恐れ

2011年07月17日『クドゥス・アラビー』

【ケニア(Lodwar):AFP】

国連の高官が、アフリカ東部を襲っている深刻な干ばつに苦しむ数百万人の今後の状況について、収穫が遅れ、雨が数か月先まで降らないと見られることから、さらに悪化すると予測した。

ここ数年の雨不足によって、数千人のソマリア人が自国から移住せざるを得なくなり、ケニアやエチオピア、ジブチでは数百万人が困窮している。

国連児童基金(ユニセフ)のアンソニー・レイク事務局長は、干ばつの被害を特に受けているケニア北部に向かう前に、「本当の大惨事はこの数か月に起こると我々は予測している。(…)状況を改善するために我々ができることを何でもするつもりである」とAFPに語った。

同事務局長は「状況は非常に悪い」と考えており、今年中には多くの収穫が見込めない事から、「これから6か月、非常に困難な状況になるだろう」と語った。

レイク事務局長はトゥルカナ(Turkana)地区も訪問する予定である。オックスファム(Oxfam International:貧困と不正根絶を目指す国際)人道支援団体の情報によれば、同地区はケニアで最も被害の大きな地区とされ、住民の37%が栄養不足に苦しんでいる。2010年にはその数字は15%だった。

トゥルカナ地区最大の都市ロドワル(Lodwar)の看護師がAFPに語ったところによると、今回の干ばつは彼女が人生で経験した中でも最悪であり、栄養失調で入院している子供の数が倍増したという。「多くの子どもたちが弱った状態で病院に運ばれてきます。病院に来られただけでも彼らは恵まれているんですけどね」と同看護師は言う。

また、ケニアには世界最大の難民キャンプがあり、紛争から逃れてきた数十万人のソマリア人が身を寄せているが、干ばつのせいでさらに数千人が日々避難してきている。ユニセフによると、干ばつや紛争によりソマリアで生じている人道的危機のせいで、毎日約1300人がダバーバ難民キャンプにさらに押し寄せることになっている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官によれば、1991年に9万人を収容するために作られたそのキャンプでは現在、38万人以上が避難生活を送るようになった。そのうち5万9千人がキャンプの外側で生活している。

人道問題に携わる人たちにとって、難民が押し寄せてくる状況への対処は難しく、彼らはケニア政府に新たなキャンプの設営を求めた。その要求は叶えられたが、キャンプはまだ運用されていない。

欧米やその他の資金援助諸国は数百万ドルの支援提供を約束したが、レイク事務局長によれば、その金額では必要な額をカバーするのに十分でないという。

ユニセフは先週、3180万ドル(2248万ユーロ)が、今後3か月間に生命の危機にさらされる数百万人の女性や子供を助けるために必要であると明らかにした。ユニセフによれば、「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ北東部では200万人以上の子どもが栄養失調に苦しんでおり、彼らには命綱として緊急支援が必要だ。また、そのうち50万人が深刻な状況にあるという。

イギリスは土曜日[16日]、5200万ポンド(5900万ユーロ)の緊急支援を約束した。ソマリアの50万人、とりわけ、干ばつによる栄養不足に苦しむ7万人の子どもを支援するためである。イギリスのアンドリュー・ミッチェル国際開発相はケニアに向けて出発する前に「もともと治安に問題を抱えていたことから、ソマリアの状況は悪化し、非常に深刻になっている」と語った。

国連食糧農業機関(FAO)は7月8日に世界食糧計画(WFP)やオックスファムと共同声明を発表し、同地域では1200万人が栄養失調で、深刻な状況にあえいでいるとして、国際的な支援集めを呼びかけた。該当する国々はジブチ、エチオピア、ケニア、ソマリア、ウガンダで、これらのアフリカの地域は往々にして干ばつに直面する。とりわけ政府が問題を放置し、電気・道路・水道といった基本的な衛生施設や教育施設が整っていない事が、問題を深刻化させている。また首都から遠く離れたこれらの地域は、反乱や資源の支配をめぐる抗争にも苦しめられている。

アフリカの現在の干ばつの波は、過去60年間で最悪のものとみなされている。この危機を引き起こした要素について、ユニセフ事務局長は「我々がここで経験しているのは、荒れ狂う嵐のようなものだ」と語り、危機の原因はソマリアの紛争、ガソリンや食品価格の上昇、干ばつ、雨不足にあるとした。

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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:23326 )