Cevdet Askin コラム:クルド問題のUターン
2011年07月19日付 Radikal 紙
オジャランの平和的なメッセージに反し行なわれた平和民主党(BDP)の国会ボイコットや民主的自治区宣言は政治面において、スィルヴァンの銃撃戦は軍事面において、緊張が高まったことを表している。
■誰が何を言ったか?何をしたか?何を意味するか?
・アンカラ
イスタンブル、アンカラ、イズミル、メルシン、マイサ、コンヤ、デニズリ、アフヨン、ボル、カラビュク、チョルム、エルズルム、スィヴァス、クルッカレ、サムスン、マルマリス、エラズー、デュズジェ、カイセリで昨日開かれた集会において、スィルヴァンでのPKK(クルディスタン労働者党、非合法組織)の攻撃に対し抗議が行なわれた。
シュルナクのキュペリ山麓で4日前軍事行動が始まり、軍需品移送が行なわれている。ドアン通信(DHA)が昨日伝えたところによると、移送物の中にはポータブルキッチンも含まれているという。
・イラン
フラト通信が昨日伝えたところによると、一昨日カンディル地方への移動を始めたイラン軍は、昨日も軍事行動を続けた。イランと交戦中のPKKの関連組織PJAK(クルディスタン自由生活党)は、イラクとの国境内のドラ・コケ、デステ・ウェズネ、ゼレにおける銃撃戦で108名のイラン兵士を殺害したとし、PJAK側の死者は7名であったと発表した。
・PKK
PKKの武装組織部門HPG(人民防衛軍)は一昨日の会見において、7月14日にスィルヴァンの複数の地点で銃撃戦が起きたこと、軍事行動を継続していることを明らかにした。HPGは、新たな銃撃戦が発生しうると述べている。
PKKは昨日、オスマニイェのガヴル山麓に位置するジェベル・ヤイラス(高原)の、ニッケルを産出するアクダーラル採掘所の工場を急襲、機械3台を燃やし、従業員4名を誘拐した。ドアン通信の報道によると、誘拐された従業員は後に釈放された。
■この展開は何を意味するのか
クルド問題解決をはかる中、政治・軍事面で生じたここ一週間の展開は、6月12日の選挙結果とオジャランの「平和評議会の設立に関し、政府と合意に至った」というメッセージによってもたらされた前向きな空気を霧散し、再び「高度の緊張」状態に戻ったことを示している。
政治面においては、オジャランが直近の発表で穏やかな発言を行なっているのにもかかわらずBDPがハティプ・ディジュレ(の当選無効判決)に関し強硬な姿勢をとったため無所属議員の国会参加が秋まで持ち越されたことや、民主社会会議が7月14日に民主的自治区宣言を出したことは、アンカラに対する圧力の強化を目的とし、「あなた方が解決しようとしまいと、我々は自分でこの問題を解決する」という意味を持っていたことが分かる。
軍事面におけるPKKの応酬攻撃の増加と誘拐、道路の封鎖、工場襲撃といった行動は、組織全体が戦闘態勢に移ることなく組織の存在感を強めるためであったことが分かる。スィルヴァンでの銃撃戦は、PKKにとっては決して戦略の変更ではない。あの銃撃戦は、そこでの死者に関する「味方の誤爆か敵の攻撃か」という無意味な議論はさておき、今まで通りの展開を示しているのであり、トルコ国軍(TSK)がPKKの軍事力を削ごうと活動を継続する間は、残念ながら―戦争の性質上―同じような死者が発生するということを示唆している。
政治・軍事両面においてBDP/PKKの存在感が強まったのを受け、アンカラが同組織に―北イラクのキャンプを含め―大規模な打撃を与える準備をしていることや、この流れの中でイラン軍のカンディル出兵が重要な機会を生み出したことが見てとれる。一方で、政治面において世論の抗議運動等がBDPに圧力をかけることや、民主的自治区宣言に対する法的措置が早まるであろうことが予想できる。
7月11~17日は、クルド問題解決プロセスにおける決定的な一週間として歴史に残り、近いうちに結果を感じ取れるであろう「Uターン」を示唆している。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:23328 )