コラム:リビアの新しい政権の前に立ちはだかる挑戦
2011年08月24日付 al-Hayat 紙

■リビアの新しい政権の前に立ちはだかる挑戦

2011年8月24日 「アル=ハヤート」

【アブドゥッラー・イスカンダル】

一昨日の夜、多くのカメラマンの前に(カッザーフィーの息子である)サイフル・イスラーム・アル=カッザーフィーが姿を現した、あの劇的な場面は、もしかするとその父親あるいは兄弟によって繰り返されるかもしれない。またカッザーフィー側の勢力が革命勢力に降伏していない以上、トリポリその他の地区で血なまぐさい衝突が起きることもありえる。

しかしながらリビアはもう後戻りできない形でカッザーフィー後の段階に入ってしまった。それはNATOの支援を受けた革命勢力が戦場を制圧しているという点でも、そしてまた国際社会が完全に暫定国民評議会を承認しているということからも言えるのだ。

カッザーフィーはリビア国内の軍事的な対決においても、そして国外の外交的な闘争においても敗北した。彼に関して残っているのは、世界各地の空想的な闘争のために数十億ドルをばら撒いた話や、リビアの富を組織的に盗み取った話、そしてその取り巻きの間に蔓延した腐敗の話、彼の奇行ぶり、そしてカメラを向けられるたびに、特に彼が出席する会議、およびテントとラクダを携えた外遊の折に繰り返す芝居や悪ふざけに対するジャーナリストのため息だけだ。

カッザーフィーの時代は終わった。彼は例がないほどの執拗さで、国家や機関と関連するすべてのもの、その人的資源をすべてリビアから枯渇させた。石油から得られた富、そして東洋、西洋の拡大する資本主義による利益を賄賂として提供しつつ。

そこでは人権には何の配慮もされない。利益だけが重要なのだ。彼は遊牧民の鋭さを持ってこれを利用し、リビアの富を散財し、その選良を放逐することに余念なく、結果として類まれな独裁制を打ち立てたのである。リビアで民衆による抗議運動が起きる数ヶ月前になってもなお、カッザーフィーは巨額の契約を求めて洋の東西を問わず世界各地からやってくる要人たちが詣でる訪問先だったのだ。たとえそれがリビアの民衆の自由と尊厳を犠牲にすることにつながったとしても。

おそらくは、暫定国民会議は同じように要人たちの訪問先となるだろう。外国の要人や大統領たちが、リビアの再興計画や成長プログラムを携えて集まるだろう。彼らは石油で潤うリビアがあらゆるインフラ整備を切実に必要としていることに賭けているのだ。

これこそが、リビアの新しい支配者たちにとって大きな挑戦となる。彼らはまず再建に当たって優先順位の問題に遭遇するだろう。さらに、入札においても契約においても甘く見てはならない。

新しい支配者たちは通常の事柄を動かすのに、また国家機関を再建するのに、前政権の執務官を必要とするかもしれない。ここにおいて彼らはまた一つ別の挑戦に出会う。それは新しい国家およびその諸機関の建設と古い時代の残存物の処理をいかにして成功させるかである。

カッザーフィー側の勢力との軍事的な対決はその結果がほぼ決定的となった今も、政治的な戦いは複雑さと深刻さを減らしてはいない。前政権から利益を得、あるいは前政権の機関で動いたため、それと運命を共にする者たちからなる軍隊と対決するなかで、この事実は何らかの影響を及ぼすだろう。要するに彼らを新しい政権の中にどうやって包含するかだ。

とはいえ、最大の挑戦はこれから生まれようとしている政権の性格にある。旧政権打倒に参画した勢力は、きわめてリベラルな陣営から非常に原理主義的な陣営まで、考え方も思想も多種多様だ。思い描く将来の図には根本的な矛盾が存在する。

乾ききった40余年を経て、リビアの民衆には平和を享受し、自由と尊厳ある生活を楽しむべき時がやってきた。

さて未来の像は暫定国民会議が設定したロードマップどおりに定まるだろうか。それは選挙と民主的かつ多数政党制に基づく選択につながるものであるが。それともリビアの革命はそれに先立ついくつかの革命と同じように、その申し子たちに牙をむき、今日は革命勢力とカッザーフィー派の対決であるものが、明日は革命勢力内部の対決に変わるだけなのか。だとすれば、当初設定した目的とは遠いところに政権が確立することになってしまうのだが。

アブドゥル・ファッターフ・ユーヌス将軍の暗殺というようなごく少数のいまだ明らかにされていない事例を除いて、少なくとも、革命勢力はかなりの程度の成熟ぶりを見せている。それは軍事行動の指揮においても、政治的な提案においても同じだ。このことは政治的な変化が多数政党制にもとづく民主的な文民統治につながるのを確かにするだろう。それこそ、すべての人々がそれに向けて努力することを明確にした目標である。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:23740 )