リビア:ヒューマンライツ、カッザーフィーによる囚人殺害の広がりを懸念
2011年08月29日付 Al-Ahram 紙

■リビア:ヒューマンライツ、カッザーフィーによる囚人殺害を懸念

2011年8月29日 「アル=アハラーム」

ムアンマル・カッザーフィー(カダフィ)大佐の軍が裁判もなしに数十人を殺害したことに関して、先週、国際的な懸念が広がる中、カッザーフィー軍がカッザーフィーの故郷であるシルトに向けて逃走した後、リビアの反体制勢力はジュメイルの町に入り、トリポリの西に位置する地域に対する支配を強化している。リビアの暫定国民会議は彼が降伏する前に、反体制派とともに暫定政府を作る交渉をカッザーフィーに提示する用意はない。

暫定国民会議の要人の1人であるアリー・タルホーニーは、リビアの反体制派による政府はカッザーフィーが降伏するまで、彼と交渉することはないだろうと語った。また続けて、石油や財政の問題に関しても、カッザーフィーとの間に交渉が行なわれることはなく、もしも彼が降伏と望むのであれば、反体制派は彼と交渉し彼を拘束することとなるだろうと語った。

APによると、すでにカッザーフィー側のスポークスマンであるムーサー・イブラヒームは、カッザーフィーが反体制派とともに暫定政府を作るべく交渉を申し出たということである。そしてカッザーフィーが依然としてリビア国内にいると指摘した。ムーサーはカッザーフィーが国内にいると語ったが、もちろん場所を特定してはない。また、カッザーフィーの息子であるサーイディーがこの交渉を行なうと言った。

ロンドンでは、ウィリアム・ヘイグ外相が昨日、カッザーフィーに対し、権力を反体制派に委譲すべく交渉に入るよう、その希望を伝えた。ただその権力とは、暫定国民会議が現在、リビアを支配している以上、空想上のものに過ぎないが。BBCの伝えたところでは、ヘイグは次のように語ったということだ。カッザーフィー政権の残党に今求められているのは、戦闘を止めることであると。

戦場に関して言うと、アラビーヤ(テレビ局)の伝えるところでは、反体制側が地中海岸のリビア国内では中央に位置するシルトの町まで30キロのところに来ているということだ。反体制側の軍を率いるサーリム・ミフターフ・リファーディー大佐は、カッザーフィーの出身地であり、その支持派の拠点のひとつであるシルトを制圧するには10日以上かかるであろうと語った。また続けて大佐は、反体制側は東西の両方からシルトに向かっているが、この町が降伏できるよう交渉を試みると言った。しかし必要であれば、戦闘も辞さないということである。

情報筋によると、実弾で撃たれた複数の遺体が放置され、その特徴を消すために、ガソリンをかけられ火をつけられているという。ヒューマンライツ・ウォッチによると、カッザーフィー軍が行なったと言われている皆殺し作戦から逃げてきた3人とインタビューを行い、その中の1人の男性はこう伝えたという。傭兵たちは囚人たちを殺すよう命令を受け、25人の囚人がいる部屋に向けて発砲し、彼も三度撃たれたということである。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:23793 )