■光景：ムバーラクは檻で寝て過ごし、証人に「反論はない」と発言
一部の弁護士は裁判に参加している弁護士からの侮辱に対し抗議の退廷
2011年09月07日『クドゥス・アラビー』

退任に追い込まれたフスニー・ムバーラク元大統領は昨日の審議中大半の時間を寝て過ごした。一方、ガマールとアラー(訳注：フスニー・ムバーラクの息子たち)は、法廷にはカメラがないのにもかかわらず、父の側に立ち続け、怒りと驚きの入り混じった眼で裁判中の出来事を追いかけるだけだった。

アフマド・リファアト判事は、被告席の檻の中のムバーラクに対し、証人の証言をはっきり聞き取れたかどうか尋ね、さらにその証言に対する反論はないかと尋ねた。するとムバーラクは「何の反論もない」と答え、アル＝アーディリー(訳注：前内相)は「反論はありません。ありがとうございました」と答え、残りの被告たちも「ありがとうございました」と答えた。
5名のクウェイト人弁護士らは、法相が速やかな介入を行い、彼らに許可を与えたため（クウェイトとの兄弟的関係を守るため）、裁判に出席することができた。しかしムバーラクの弁護団は、このクウェイト人弁護士らが弁護に参加することを許さず、裁判に出席し傍聴するのみとすると発表した（そしてもちろん名声のための記者会見の開催も行う）。

弁護団は、クウェイト人の弁護士らに対して出席許可を出さないよう要望した。なぜなら、彼らの出廷は弁護士法に明記されている内容に反しているからであり、また同法は外国でエジプト人弁護士が同様に取り扱われることを規定しているからだ。

弁護団の一人は、エジプト国外に6200億ドルに上る財産を隠匿したとしてムバーラクを非難する証拠書類を持っていると述べ、さらに、同人物の手元にはアメリカの諜報機関による1月23日付の書類が存在し、それにはムバーラクが実弾を発砲してデモ隊の集団を追い散らすよう明瞭かつ明白な命令を出したことが指摘されていると確認した。

今回の審議は前例のない混乱状態であった。弁護士の一人はムバーラクを侮辱し、それによりサーミフ・アーシュール、ムハンマド・ディマーティー、アブドゥルムンイム・アブドゥルマクスード、ハーリド・アブーバクルらを筆頭とする原告団の何人かが退廷した。これは、彼らの同僚から予想外に行われた侮辱に抗議してのことであったが、彼らは再度戻って来た。

アフマド・リファアト判事は、昨日法廷で起こったことはどのような人の力をも超えており、同判事が統括している刑事裁判所の管区では、衝突や喧嘩、合理的でない要求などのような昨日起きたようなことを経験したことがなく、昨日起きたことはまったく法曹という職業に就く者に相応しくないと語った。

数十人に上る革命による犠牲者の遺族は水曜、中央治安当局の元局長であるアフマド・ラムズィー少将の弁護人であるガミール・サイード弁護士に暴行を加えようとしたが、それはサイード弁護士を前大統領の弁護人を務めるファリード・ディーブ弁護士であると思い込んでのことだった。デモ隊は、前大統領の弁護人を務めるファリード・ディーブと思い込んで、罵倒を浴びせながらながらガミール弁護士の自動車のいくつかの部分を破壊した。

昨日、ホスニー・ムバーラク前大統領の写真を掲げたデモ隊の一群は、前人民議会議員で『アル＝ウスブーウ』紙の編集長であるムスタファー・バクリー氏の10月6日市にある自宅を破壊した。デモ隊はバクリー氏に対して敵対的なシュプレヒコールを繰り返していた。これは前大統領およびムバーラク時代の著名人らにとって不利な報告をバクリー氏が検察に提出したことを理由とするものだった。

「ムバーラクの子たち」というグループは、治安部隊と革命犠牲者の遺族らに対する暴行の容疑で同グループのうちの数名が逮捕された後、裁判所前の「戦いの広場」から姿を消した。同グループは、今後テレビ画面上での争いに終始するようである。同グループのメンバーの1人が、ある討論番組に出演して、「いかなる資金援助も受け取ってない」と主張した。しかし視聴者の1人は番組に電話をかけ、以下のように質問した。「ムバーラクがあなた方の父親なら、母親は誰なんだか知りたいです。」
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ナイル・テレビ局は、ムバーラク体制の「フィラ（エジプト方言で残党を意味する単語の単数形）」を番組のゲストとして登場させ続けており、ムバーラク後のエジプトについて不安を煽るような形で彼らに裁判についてのコメントをさせている。また、ムバーラク政権の残党は、しばしばムバーラク元大統領について偽善的な情報を流していたのであるが、そのムバーラク政権期にエジプトが到った状態に関して誰が責任を負うのかということについて問う者を見出していない。

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（ 翻訳者:石川貴子 ）
（ 記事ID:23886 )