エジプトの様々な政治勢力がイスラエル大使館およびギザ保安局前での暴力行為を非難
2011年09月11日付 Al-Ahram 紙

■諸政治勢力語る:『隠れた手』が革命の頓挫を目論む
■4月6日運動はガマール・ムバーラクを非難
■ムーサー、ジュネーブ訪問を中断
■サバーヒーは残党を非難、アワーは大使館破壊に否定的見解

2011年09月11日『アル=アハラーム』

【アマーニー・マーギド、ガマール・アブーダハブ、サミール・サイイド、サーミフ・ラーシーン、ハーニー・イザット、ハーズィム・アブードゥーマ、ヒバ・サイード】

様々な政党や政治勢力が、国家にとって欠かせない戦略的施設や建造物への攻撃や破壊という、一昨日(9日)エジプトで起こった事件に対し、不快感と深い憂慮を表明した。

エジプト大統領選への立候補を予定しているマグディー・ハタータ候補は、革命勢力と治安機関の間に事件を引き起こすなど、様々な方法で1月25日革命を失敗させようと企てる『隠れた手』が存在すると明言した。

同じく大統領選への立候補を予定しているアイマン・ヌール候補は、イスラエル大使館前の出来事は繰り返されるイスラエルの犯罪行為、[特に]その最新の事例であるシナイ半島の国境で起きた[エジプト兵殺傷]事件に対する政府の弱腰に責任があると述べた。同時にヌールは、国際条約や原則に基づき国際的不可侵とされる戦略的機関の建物の安全確保をしなかったとして政府を非難し、こんな仕事ぶりなら総辞職せよと政府に求めた。

一方、ハムディーン・サバーヒー候補は、革命の平和的性格に反する暴力事件によってイメージを歪曲しようという試みを激しい表現で糾弾した。ハムディーンは、革命の平和的性格の保持は軍、政府、革命勢力や大衆の責務であると述べ、暴力やエジプトの施設・建造物への突入を呼びかける行為は、反革命の残党の計画、あるいは政治的未熟さの表れであると指摘した。同様に軍最高評議会に対しても、シオニスト国家[=イスラエル]に対する大衆の要求や正当な怒りに応えるよう要求した。

アムル・ムーサー候補は、エジプトでの事件発生を受け帰国するため、ジュネーブで開催されている国際戦略研究所の年次会議の参加を早々に切り上げた。

ムハンマド・サリーム・アワーも昨日の声明で、大使館を襲うという考えは否定されるべき考えで、エジプトの利益になるどころか害になり、内外の治安を危険にさらすと述べた。またワフド党最高機関のメンバーであるサフィール・ヌールは、エジプトの青年たちが大学橋上とイスラエル大使館前に設置された防護壁に向かってしたことは、イスラエルの眼前に掲げられた赤信号だと述べた。一方、エジプト・アラブ社会主義党のアーディル・アル=クラー党首は、残念な事件であり、政党や政治勢力の指導部とその若いメンバー達との関係が弱いことが原因だと述べた。

ナセル主義党のサーミフ・アーシュール党首は、平和的な意思表明やデモの権利は支持するが、大衆のものである公共施設の破壊は否定すると述べた。アーシュールはまた、一昨日の激怒の状態は、大衆がエジプトにイスラエル大使館を欲しておらず、大使館の存在は望まれていないことを示していると付け加えた。さらにアーシュールは、この事件の原因を作った人物や実行犯の傾向を特定することは誰にもできないと述べた。

一方、国民統一進歩党(タガンムア)の主要リーダーの一人であるフサイン・アブドッラーズィクは、一昨日の暴力行為や騒乱の責任は「軌道修正の金曜日」の100万人デモに参加した政党や政治勢力にはない、なぜならその日のデモは一連の要求を掲げたものであって、そうした行為を呼びかけたのではなかったからだと述べた。そしてアブドッラーズィクは、こうした犯罪行為を犯した勢力を特定して取り調べ、裁判にかけるよう国の機関に出来る限りの努力を求めた。

政治活動家のジョルジュ・イスハークは、重大な施設や建築物を標的とした全ての破壊行為を非難し、革命勢力には意見を表明する権利があるが、大使館や省庁に押し入る権利はなく、それは誰にも受け入れられない危険な行為だと発言した。そして国際条約は尊重されなければならならず、世界中が我々の平和的革命に注目しているのだし、我々は文明人なのだと述べた。イスハークはまた、内務省と国防省という組織は、国家の機構に影響を与える侵すことが許されない一線であると明言した。さらにイスハークは、革命勢力は平和的であり、あのようなことはしないとして、事件の背後に革命勢力がいることに疑念を呈した。そして、ならず者の一団を目撃したと断言し、あらゆる革命勢力に対して革命の最初の瞬間から訴えてきた平和的という原則を遵守するよう求めた。

ムスリム同胞団は、遅滞なき民主化と民政移行の道筋を示す、明確なスケジュールを要求し、それこそが革命を頓挫させたり、革命への失望を人々に感じさせたり、あるいは移行期間が長期化する間に混乱や騒乱を広めようとする国内外の勢力の動きを阻止することになると述べた。そして同胞団は、内務省を襲撃し、刑事裁判の証拠書類が保管されている建物に再度放火した行為やギザ保安局を襲って兵士と衝突し、車両数台に放火した行為は、同胞団には受け入れられないものであるとして、公正な捜査を急ぐよう求め、また国民の財産[への侵害]であるとして犯人を非難した。

他方、アフマド・マーヒル率いる4月6日若者運動は、同運動は一昨日のイスラエル大使館前での衝突とは無関係であると発表し、「軌道修正の金曜日」デモに参加した後、敵国[イスラエル]の大使館前に居合わせたメンバーは誰もいないと否定した。そしてホスニー・ムバーラク前大統領の支持者たちがギザ保安局で起きた暴力沙汰を計画したと非難し、革命派の若者達はエジプトをそうした方向に引き込もうとする動きを拒否すると強調しつつ、国内に混乱を起こす誘惑に駆られている者たちを断固阻止するよう、エジプト国民と革命派の若者たちに訴えた。4月6日若者運動の政治局メンバーであるムハンマド・アーディルは、前大統領の息子ガマール・ムバーラクが、トゥラ刑務所の中から金で人を雇い、ハビーブ・アル=アーディリー前内相の手下たちと共謀してエジプトを混乱状態に引き込むことで、ムバーラク前大統領とアーディリー前内相の裁判を失敗に終わらせようとしていると語り、今回の事件はアーディリー前内相とその手下たちの手口だとみなした。

名高いSNSサイト「フェイスブック」上の「我々はみなハーリド・サイードだ」のページは、敵であるシオニスト国家[イスラエル]の大使館への突入の試みは、革命の基本目標を忘れた子どもじみた集団の行為であって、エジプトを国内的・対外的な問題へと引き込み、革命の火を消すことにつながると評した。

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( 翻訳者:石川貴子 )
( 記事ID:23921 )