問題は交渉の事実ではなく、その内容―MİT-PKK秘密折衝テープ漏えい
2011年09月17日付 Radikal 紙

国家諜報機構(MİT)とテロ組織PKK(クルディスタン労働者党、非合法組織)の間で行われていた交渉は、予期された反応を引き起こさなかった。批判は交渉の事実ではなく、その内容に向けられており、今後も議論は続くだろう。

国家諜報機構(MİT)のハカン・フィダン次官とテロ組織PKK(クルディスタン労働者党、非合法組織)の幹部達が行った交渉記録の存在は、一見トルコで予期された騒ぎを引き起こすことはなかった。漏えい内容よりも多くの時間が、誰がリークしたのかということに割かれており、共和人民党(CHP)と民族主義者行動党(MHP)は「何故交渉が行われたのか?」という代わりに交渉内容の誤りを問題にしている。同様の状況では過剰な反応をみせるはずの、通りにあふれる民族主義者達や国粋主義者達、殉職者の遺族組織の反応も、(この事件では)ほとんどなかった。一体何故?政治家達に、そして民間組織の代表者達に、私たちが尋ねるこの質問の回答は、二つのグループに要約される。
私たちが受け取った最も多くの答えは、PKKと交渉が行われたことが、あるところを通じてすでに全社会に知られているということだ。PKKとの交渉が行われたことは、6月12日の総選挙前に取りざたされていたが、有権者は6月12日に公正発展党(AKP)へ50%の票を投票し、これをはっきりさせる必要性はないと考えていることを明らかにしていた。AKPのヒュセイン・チェリキ副党首は「世界のあらゆる場所で同様の(秘密)折衝が行われています。『血が流されることを止めるため、必要とあれば悪魔とも折衝する』と彼らは言います。我が国民もこのような折衝が良い意図のもとに行われていたと、時間の経過とともに考えるでしょう」と述べた。
CHPのセズギン・タンルクル副党首によれば、社会を覆う空気も、PKKと交渉が行われたことについての報せを待っていたという。人々は、問題を解決するかもしれないこの種の取り組みを、すでに選択肢として考えていると語る。
その他の共通認識は、メディアが事件を(世間に)十分に伝えていない、というものだ。多くの新聞で、記録が流出したことを報道し、その中身について簡単な情報を伝えたものの、一紙か二紙を除いて、MİTとPKKの折衝の詳細を読者に伝えてはいなかった。メディアを批判し、そして「本来言うべき多くのことがある」と話すMHPのオクタイ・ヴラル氏によれば、(事件への)反応は大きいものの、メディアはそれを無視しているのだという。一方で、(記録の)流出の目的が、越境軍事作戦を妨害することにあると指摘し、政府をほんの少しでも支持したMHPのメフメト・シャンドゥル氏の発言は、ほとんどすべての新聞で取りあげられていた。

■ 議論は沸き上がるだろう

私たちが会った何人かの政治家達はといえば、反発は高まるだろうと話している。(漏えい)記録の中で話されていることを「裏切りの情報」と見なすMHPのヴラル氏は、彼の党がクズルジャハマム・キャンプを終了した日(9月18日)に、デヴレト・バフチェリ党首が幅広く批評を行う予定であると語った。ヴラル氏は「(フィダン次官が)PKKから休戦を引き出すことを望んでおり、またMHPに対し協力を行いました。野党に票を獲得させないために、PKKと票の取引を行っていたことが、ある種打撃だったのです」と述べた。ヴラル氏は流出の目的は交渉の事実を国民に受け入れさせることにあると主張する。クルチダルオール党首が「もし本当に国内の平和をもたらすのであれば、この種の折衝を行う可能性がある」と言ったCHPもまた、反発の色を濃くしている。例えば、ギュルセル・テキン副党首は、フィダン次官が(漏えい記録の中で)しばしば使用した「親愛なるオジャラン」や「指導者」といった言葉が多くの人々の逮捕につながると指摘する。CHPが反発を強める二つ目の問題は、フィダン次官が交渉の中でCHPとMHPを中傷していることだ。クルチダルオール党首はこの問題により深く言及する用意を整えている。この交渉記録についてはトルコ大国民議会(TBMM)が開く10月1日以降に、より集中的に話し合われるようである。

■ エルドアン首相:私たちはハカン次官(フィダン)を切り捨てたりしない

エルドアン首相はMİTとPKKの折衝に関し「我々はエムレ氏(前MİT次官のエムレ・タネル氏)とハカン氏をイムラルに、良心にもとづき派遣しました」と述べた。流出事件を調査させることを述べたエルドアン首相は、「特定の者達が過去においてもハカン氏を狙ったことは知られています。しかし、彼に誤りがあったとしても、ハカン氏をそのような理由で切り捨てたりはしません。私たちはそう易々と人を粗末に扱ったりはしないのです」と話した。一方でエルドアン首相は、イランとカンディルのことで協力する可能性を示唆した。アンカラのバフマン・ホセインプール駐トルコ・イラン大使は「現在、共同軍事作戦は議題にのぼってはいません。しかし、このことについてイランとトルコは良い対話を続けています。PKKもPJAK(クルディスタン自由生活党、非合法組織)も私たちは掃討しなければならないのですから」と語った。

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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:24001 )