社説:イエメン人女性活動家のノーベル平和賞受賞とアラブの春における女性の役割
2011年10月07日付 al-Quds al-Arabi 紙
■クドゥス・アラビー社説:「幸福なイエメン」の幸福な日
2011年10月07日『クドゥス・アラビー』
イエメンの女性政治活動家のノーベル平和賞受賞という前例のない出来事は、民主化や圧政と腐敗の体制打倒を求めて始まった「アラブの春」と呼ばれる動きの中でアラブ女性、特にイエメン女性が果たした大きな役割の重要性を確認するものだ。
イエメン人はこの歴史上先駆的な出来事を、2度祝う権利がある。一度目は、彼らの革命の正統性を世界が承認し、変革を求める公正な要求を実現するための彼らの平和的な闘争を支持したことに対して。二度目は、何十年ものあいだ脇に追いやられていた彼らの国が、栄誉ある文明的な理由によって、メディア地図、ひいては政治地図の上に位置を得たことに対して。
ここ数年、イエメンという国の名は暴力やテロ、治安の悪化、内戦、外国人観光客の誘拐、アル=カーイダの主要な支部が国内に創設されてからは西側諸国、特に米国の標的を狙った攻撃計画などと結びついていた。世界的に最も有名な賞を女性が獲得したことは、こうしたイメージを変える効果があるだろう。イエメンという国だけに留まらず、アラブ女性全般に関わるイメージを。
男性と肩を並べて国と社会を改革する、政治的闘争のモデルを提供した3人の子どもの母であるタワックル・カルマーン氏は、ノーベル平和賞にふさわしい人物である。また彼女がこの受賞はイエメンのあらゆる青年と女性、8か月以上も革命のために広場を埋め尽くし、治安部隊の弾圧にひるむことなく自由のための殉死者を多数差し出して来たあらゆるイエメン人を顕彰するためのものだと述べたのは、まったく正鵠を得ていた。
アラブ女性は男性社会の中でないがしろにされ、周縁化されて、国の再興に参加する最小限の権利も禁じられてきた。それが「アラブの春」と呼ばれる一連の革命によって公正な扱いを受け、存在感をとり戻し、正面に躍り出た。これらの革命によって、女性と男性の間の障壁は取り除かれ、権利と義務における平等がより浸透し、最前線で変革のプロセスに参加できる大きな能力があることを女性は証明した。
この若きイエメン女性の大きな勝利は、抑圧されているすべてのアラブ女性の後押しとなり、現在進行中のものであれ、開始の時を待って胎動している状態のものであれ、変革を求めるアラブ諸国の革命に対する大きな精神的支えとなるだろう。
タワックル・カルマーン氏は、チュニジアで、エジプトで、シリアで、バハレーンで、サウジアラビアで、革命に参加した全てのアラブ女性の大使であり、彼女たちの輝く顔である。サウジアラビアでも女性たちは、政治参加と完全な権利の獲得を妨げているあらゆる障害に挑戦している。
幸福のイエメン[訳注:イエメンがかつて「幸福のアラビア(Arabia Felix)」と称されたことにちなんだ表現]では、苦難の増大と自由の欠如、腐敗の広がりのために幸福な日々は数少ない。だが、リベリア人女性2人と合同で若きカルマーンがノーベル平和賞を受賞したと発表された日は、イエメンとイエメン人にとって間違いなく幸福な一日であり、それどころか毎年祝われるべき国民の祝日なのだ。
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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:24204 )